願い事

お正月の三が日はそれぞれ親戚の家に行くから会えなくて。
4日になって蒼くんから
「遊びに行こうぜ」とメールが来た。

待ち合わせて行った場所は、カウントを数えている時に初めて行ったデートの場所で
海の近くの水族館だった。

クラゲが有名なその水族館で、あの時と同じように私たちは大きな水槽の前で
手をつないで動かなかった。

硝子1枚を隔ててある向こうの水中の景色は幻想的で
吸い込まれちゃうような感覚がずっと私を包み込む。
現実に立っている証拠は蒼くんとつないでいるこの手だけだった。

ぎゅっと握りしめると蒼くんもギュッと握り返してくれた。

その後、ゆっくりと江の島に渡って。
日の入りが早い冬は5時半には真っ暗だった。

江の島へ渡る橋を歩いていると、両方からザパンザパンと波の音が絶え間なく聞こえてくる。
真っ暗な景色の中で波の音だけが規則正しく響いている。
何の光にも照らされていない夜の海は、真っ暗で引き込まれるように怖かった。

ギュッと握った蒼くんの手をもう一度握り直す。

「海、怖いよな」
蒼くんがぽつりと言う。
「・・・うん」
蒼くんも怖い?
「吸い込まれたら帰ってこれないもんな」
真冬の冷たい海風に縮こまって肩を寄せ合って
手を離さないようにギュッと握る。
「離れるなよ」
安全な橋の上のはずなのに私たちはお互いを離さないように手を握る。

江の島に着けば、緩やかな坂が目の前に現れて
両端にいかにものお土産屋さんが並ぶ。
夜に江の島に来たのは初めてだ。
真っ暗な闇の中にお土産屋さんの光だけが浮かび上がって
何とも不思議な雰囲気のなか
坂を登ると小さい神社が見えてきた。

「里香と初詣したくてさ」

そう言ってさらに石段を登るともう夜だからかひと気の少ない神社が現れて
提灯の明かりだけが本堂を照らしていた。

幻想的な雰囲気の中、私たちは二人で手を合わせて参拝した。

「里香、なに頼んだ?」
蒼くんはちょっとニヤッとして私に聞くから
「え?それって口にしちゃいけないんじゃないの?」
「いいじゃん」
「絶対秘密」
「ケチ」

ケチとかそーゆー問題なの?
「俺はね、里香とずっとずっと仲良く一緒にいられますようにって
お願いした」
「だから!口に出したら叶わないよ!」
「マジか!」
蒼くんはくすくす笑いながら
「まぁ・・・大丈夫だろ」
なんて、私を抱き寄せた。
「俺、もう絶対里香を離さないから」

うん。大丈夫だよ。
私も同じ願い事だもん。
私は口に出してないから、私の方でその願いは叶うはず。

「里香も教えろよ」
「絶対秘密!」

大好き。蒼くん。今年もよろしくね!


END****





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Commented by おーひら at 2018-01-11 15:25 x
いいねー。
水族館デート!
手とか繋いでドキドキするの。

何年か前、日本に住んでいない時
一緒にだんなさんとお買い物してる時に
信号渡るのに、もう何十年かぶりに
手を繋がれたの。ていうか、ひっぱられた?
そのまましばらく繋いで離したんだけど
あれは、海外ゆえの開放感からだったのか
わたしのボケからの危険防止だったのか?
きゅんときた、と言いたいが
驚いて、???でいっぱいになったよ。
あの頃、なんかよく繋がれた、、と
思い出したσ^_^;

江ノ島水族館、実は行ったことなくて
ベテラン女子グループで去年行きました。
また行きたいな〜。
いちごちゃんのssは、景色が思い浮かぶから
臨場感ばつぐん。地元だからか😆
Commented by ichigo-ichigo205 at 2018-01-14 15:58
おーひらちゃん
あら!ドキドキダーリンとの思い出おのろけ♪
キュンと来たでしょ!来たわよね?!!
エノスイいいよね~!
一緒に行きましょう!帰りは飲み会で(笑)
臨場感は地元だからです(笑)
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by ichigo-ichigo205 | 2018-01-11 14:49 | ・カウントダウン | Comments(2)

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