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いちごの妄想小説

ichigooooo.exblog.jp

サイドストーリー

「こーちゃん」

俺の事をそう呼ぶ子がいた。
時に、愛しそうに
時に、楽しそうに
時に、優しく
時に、すねて。

「こーちゃん」

そう呼んで全てを許してくれていた子がいた。

俺を、愛して
俺を、許して
俺を、包んでくれた。

その呼び方は8年たっても変わらなくて
俺は戸惑っていたのかもしれない。

彼女だけを愛していればいい学生時代と違って
いくつも重なる仕事と納期
食事中も頭から離れないプログラミングと数列に
いつしかそれだけに追われ、他の事がめんどくさくなっていった。

「こーちゃん」

そう呼ぶ声が
次第に、少なくなって
次第に、悲しそうに
次第に、乾いた口調になって
俺はますますその声から遠ざかった。

その声を手放して8年。

彼女と付き合った、同じ年数分俺はひとりで彼女を思い出す。

あの時の選択が
正解だったのか
間違いだったのか
他の道はあったのか
いつも考える。

俺の身勝手で手放してしまったあの声を
きっとこれからも忘れない。

「こーちゃん」

そう呼んでいた声は
去年のゼミの同窓会で「多田くん」と変化を告げて
16年前の呼び方に戻っていた。

遠く離れた席で、目があった時
幸せそうに笑って口の動きだけで
「元気?」
と聞いてきた。
うなづくだけの俺に優しく笑って
「ありがと」
そう口元を動かした。

その全てを読みとれるだけの時間を俺たちは一緒に過ごした。

「こーちゃん」

きっとこれから先も
俺の事をそう呼ぶ子は現れない。

彼女だけが―――
そう呼んでいた。

END***





# by ichigo-ichigo205 | 2019-06-06 14:17 | ・砂漠の薔薇 | Comments(0)
やっと先ほど「砂漠の薔薇」の最終章が公開されました。

実はこの章は土曜日の午後に公開申請してたんですけどね~
遅くなってすみません。

今回はGWもはさみ、公開日が大幅に遅れたりしましたが最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

pipiさんはいまだに仕組みがよくわからないのですが
公開申請をだして、管理人さんが全部読んでいるんですかね?
管理人さんがOKを出さないと公開されないのかな~?
とにかく書き手が公開申請をしてもすぐには公開されない仕組みのようです。

不便ちゃー不便ですが、そのサイト・サイトで特性がありますので、ご理解のほどお付き合い下さればと思います。

無事に最終章も公開されほっとしています。
約1か月のお付き合い、ありがとうございました。

また次回作&このブログでのSSでお会いしましょう!

急に暑くなったのでご自愛くださいね~!

# by ichigo-ichigo205 | 2019-05-26 23:15 | 日記 | Comments(6)
砂漠の薔薇」の「あべさん」ですが漢字が錯綜しておりました…(苦笑)

安部、阿部、安倍とごちゃごちゃでした。スミマセン!
言いわけをさせていただくと、私は1本を書くのに2台のPCと1台のスマホで編集していて、統一できていませんでした。大変申し訳ない。
「阿部」で統一変換し、再更新申請しています。
しかし、私の事ですからねぇ~…
変換忘れがある事でしょう。気が付き次第直して行きますのでご了承ください。

さて、今回は申請してもすぐに公開されてないようです。
管理人さん忙しいのかな。

今日も申請しているのでそのうち公開されると思います。

半分が終わろうとするところです。
宜しくお願いいたします~!


# by ichigo-ichigo205 | 2019-05-14 13:21 | 日記 | Comments(0)
皆様こんにちは。
GWも終わりましたね・・・
終わってしまいましたねっっ!
私は平成最終日と令和初日の御朱印を求め伊勢山皇大神宮へ行ってきました。

伊勢山皇大神宮は4/30日は3人待ちぐらい。へ~同じ事を考える人もいるんだな~と思って・・・
5/1に行きましたら何と2時間待ち!
超ビックリ!お正月より混んでるじゃん!

でも、頑張って並んだ甲斐がありました・・・(明治神宮に並んだ人は凄いと思う!)
御朱印帳の見開きに同じ神社で平成と令和でいただけました。

即位のお祝いの記帳もして、大満足です!
これで昭和・平成・令和の三代天皇に記帳した事になります。

そんななか
「砂漠の薔薇」を読んで頂きありがとうございます。

なんか足らんな~と付けたしていったら最後の章が13pになってしまったよ・・・
と言う事でもう1つ章を分けました。

8章になってしまいました。スマン。

8章目は5/26に公開予定です。

GWは管理人さんもお忙しかったらしく、私も朝申請しなかった事もあり公開日がずれました事をお詫びいたします。

GWの楽しい話があったら教えてね~!

# by ichigo-ichigo205 | 2019-05-07 13:07 | 日記 | Comments(0)
こんばんは。
GWがついに始まりましたね
皆さんは何連休ですか?

私は10連休で、今日はゆっくりと韓国ドラマを見ました。

さて、たった今「砂漠の薔薇」を公開申請しました。
おそらく、サイトでの公開は明日のお昼前ぐらいになると思います。

全7章。
以下が公開予定日です。

第1章:4/28
第2章:5/2
第3章:5/6
第4章:5/10
第5章:5/14
第6章:5/18
第7章:5/22

よろしくお願いいたします☆

感想を聞かせていただけたら嬉しいです☆




# by ichigo-ichigo205 | 2019-04-28 02:12 | 日記 | Comments(6)
皆様お久しぶりです!

やっと新作がかけ「そう」です(笑)

先月末にタイに行ってきました!
めっちゃ楽しかった!

あ~その日記も書こうと思っていて書いてないです!

そして先週の土曜日は遊びまわって
夜はパーカッションだけのライブに行ってきました。
楽しかったです~!
この日記も書きたいわ~

(そのうちにタイとライブの日記書きますね)

で、新作です。
官能小説さんの方と両方見てくださっている方も多いですが
官能小説さんの日記で「フルボディ」で書いているとお知らせしましたが
(お忘れの方、知らない方、結構です。そのまま忘れましょう♪)
どうにも進まず、保留状態です!
すんません。

そして新しい作品が7章中(これは未定だけど)5章書き終わりました。
題名は「砂漠の薔薇」です。

今週中には書き終わる予定です。

誤字脱字チェックをしなければならないですし(してもあるじゃん、とは言わないで~)
矛盾チェックをしなければならないので(これは重要)

恐らくGW中の公開かな?とは思います。
GWは皆さんお忙しいと思いますが読んで頂けたら嬉しいです!

どうぞよろしくお願いします。




# by ichigo-ichigo205 | 2019-04-22 15:29 | 日記 | Comments(0)
「三浦さん!白浜にパンダを見に行きたいです!」

派遣の仕事から帰って来て夕飯を作りながらテレビを見ていたらすくすくと育ったパンダの赤ちゃんの映像が映っていて
公開が始まったという。

わ~!なになに!上野よりもパンダが多い!
見に行きた~い!
赤ちゃんパンダ見たい!

と、帰ってきた三浦さんにおねだりしてみた。
「あぁ、アドベンチャーワールドかぁ」
「そうそう」
確かそんな名前だった!

「分かった。また白浜へ行こか」

え・・・・?
また?
またって言った?
またって何?

私、白浜へ行くの初めてなんだけど。
他の・・・元カノと間違えてるの?

「今度の日曜日にしよか?」
「やっぱりいぃ・・・・」

他の人と行った思い出と間違えている場所に行きたくない。

「でも、パンダの赤ちゃん見たいんやろ?」
「いい。今度横浜に帰った時に上野に行く・・・」

少し拗ねた私を三浦さんは後ろから抱きしめた。
「なに拗ねとぉん?日曜日に一緒に行こ?な?」
「やだ」
「急にどうしたん?」

優しく顔をのぞかれて
「一緒にずっと暮らして行くのに、思ったこと言わんと息が詰まるって。」
そう促す三浦さんに小さい声で告白する。


「私は白浜へ行ったことないよ・・・」
「うん。だからまた行こう、って」
「だから!その『また』って、なに?私は初めてなんだってば!」

「あ~・・・・・もしかして」
「なに?」
「『また』って方言?」
「え・・・」

三浦さんは苦笑いをして私を抱きしめた。

「ん~『また』って1度も行ったことなくても
今度行こう、って意味あいでも使うから」

「1度も行ったことがなくても?」
「うん」
「そう、な、の?」
「うん。俺、アドベンチャーワールドに行くの子供の時以来やもん」

そう言って私を安心させるようにニカッと笑った。

「そうなんだ。ごめんなさい」
「1つ1つ。今みたいに正直に話してお互いに誤解を解いて行こな」
「はい」

「で。正直に言うと今の話で1つだけムっときた言葉があるんやけど」
「え?」
「横浜に『帰った時』って言ったよなぁ?」
「あ・・・」
「これは方言でも何でもないやんな?まみちゃん?」
「・・・」

「真美ちゃんにとってまだ『帰る』のは横浜なん?」

目に見えるようにシュンとした顔をして
今度拗ねているのは三浦さん。

「ふふ。横浜弁ですよ。遊びに行くって意味です」

そう嘘をついて三浦さんの頬にチュッっとした。

「ふ~ん。今回は騙されてやる」

私たちはキッチンで熱い熱いキスをした。

END****


おまけ****

「ほな、今度の日曜日に一緒に行こうな」
私が真似をした関西弁を

「何それ」
と 三浦さんは笑った。

「私も三浦さんのまねをして関西弁をしゃべってみました」
「あ~。真美ちゃんめっちゃ可愛い!」


# by ichigo-ichigo205 | 2019-02-13 01:37 | ・素肌のままで | Comments(0)
今日は加奈の成人式だ。

朝6時に成人式会場の近くのホテルで着つけだって言うので
着つけが終わった頃迎えに行く。

「眠いです・・・」

綺麗に着飾って慣れない振袖で歩く加奈は可愛くて
少しお茶をして時間をつぶして
「式の最中寝るなよ」
そう言って横浜アリーナに送りだした。

1時間ほどで終わった会場近くは
午後の部に出席する新成人と午前の部の新成人と入り乱れ
ごった返しだった。

やっとのことで加奈を見つけ出し
「夕方から高校の同窓会だろ?」
どこの高校でもこの日に同窓会がある。

それまでの時間、一緒にいたくて
2人でそのまま鎌倉に行った。

鎌倉で2人で写真をとって
加奈の成人を鶴ヶ岡八幡様にお祈りした。
ずっと一緒に居られますように―――

「加奈。そろそろ時間。振袖を着替えて行くんだろ?」
1度家に帰って着替えて行くらしい。

「・・・・」
「どうした?」
「吉岡先輩『お代官様、あ~れ~』が出来なくて残念でしたね」
「・・・・加奈さぁ、いい加減に俺のイメージ訂正しようか?」
「でも、そうですよね?」
「・・・・」
「いいよ。同窓会行って来いよ。『お代官様ごっこ』は今度にするよ。
俺は振袖姿の加奈ちゃんと写真撮れただけで十分満足だよ」
「お父さんみたいですねぇ~」
「・・・・」

う、ん。言われてみれば。
でも本当にそう思うんだ。

加奈と万が一別れたとしても・・・・
そんな事はないと思いたいし、別れないけどっ!
でももし何かがあって別れたとしても
加奈が成人式を思い出すたびに俺が隣にいたことを思い出してくれたら・・・
それだけでも嬉しい。

「お代官様ごっこはしませんが・・・」
「ん?」
「同窓会はやめます」
「え?」
「立食なのでひとりぐらい欠席しても大丈夫です」
「うん?」

「もう少し、この振袖のまま吉岡先輩と一緒に居たいです」
「加奈」
「吉岡先輩に、私の振袖姿を覚えていてほしいです」
「・・・・うん」

神様、ありがとう。

俺は加奈をギュッと抱きしめながら本殿に向かって小さくお辞儀をした。

END****




# by ichigo-ichigo205 | 2019-01-15 14:46 | ・プレイボーイの憂鬱 | Comments(0)
皆様、遅ればせながら…

2019年、明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします。

さて~
今年は何か変わったことをしようと思い付き
1ヶ月に1話更新の連載をしてみようと思い立ちました。

予定としては毎月10日前後に(日にちをきっちり決めないところが私らしい…)
1話更新の1年プロジェクトです!

ということで1月分を公開申請してみました。
(まだ公開されてないけど)
12月に完結予定!

題名は「遠恋カレンダー」です。
宜しくお願いします。

このほかに通常通り思いついたら話を書いて行きます~!

では今年もよろしくお願いします!




# by ichigo-ichigo205 | 2019-01-09 14:38 | 日記 | Comments(0)
安達さんと迎える初めての大晦日、そして新年。

「大晦日の夜中、出られる?」

そうデートに誘われて
「ちょっとだけおしゃれしておいで」
職場近くの赤レンガに二人で行ってみれば、赤レンガではカウントダウンパーティが開かれていた。

「うわっ」

大人の世界に踏み込んだようなそのパーティになんだか子供が紛れ込んだようでドキドキする。

「大人って!こんな素敵な年越しパーティをしてるんですか!」

渡されたピンク色のシャンパンが薄暗い店内にきれいに光った。

その時、店内でカウントダウンが始まった。
新年へのカウントダウンだ。

「5・4・3・2・1・・・」
「0!」

と、声をそろえたとき、大きな汽笛が聴こえ始めた。

「なになに!すごい!!」

その汽笛の大きさにびっくりした私に安達さんは楽しそうに笑った。

「これが横浜の新年だよ」
「すご~い!」
「新年の0時に横浜港に停泊中の船が一斉に汽笛を鳴らすんだ。
横浜の除夜の汽笛だよ」

あまりに大きな汽笛の音に話はお互いの耳元に口元を近づける。

「美鈴、あけましておめでとう」
「安達さん、あけましておめでとうございます」

「俺からのプレゼント」
「え?え?」
左の手のひらに乗せられたのは小さい細長い可愛くラッピングされたもので
「開けてごらん」
安達さんは私の右手からジャンパングラスを受け取った。

ラッピングを開けると口紅で
「口紅?」
「そう」
安達さんは私の手から口紅をそっと奪い取ると
私のあごをもって上を向かせた。

安達さんに会うために一生懸命したお化粧は、口紅がもう取れかけていて
その唇に、安達さんは今くれた口紅をそっとつける。

そしてそのまま、周りも気にせずにキスをした。

「この口紅を付けるたびに、俺とのキスを想い出せ」

そう言ってニヤッと笑う。

横浜港の汽笛はまだ鳴り続いていた。

END***


2018年も作品を読んでくださってありがとうございました。
2019年もよろしくお願いいたします。



# by ichigo-ichigo205 | 2018-12-31 22:52 | ・5センチの景色 | Comments(0)
毎年のようにクリスマスの日に磯子にある横浜プリンスホテルを予約する。
レストランと部屋を。

毎年、そのリザーブは当日キャンセルする。

毎年の事でレストランでも話題になっていたのかもしれない。
何回目かのキャンセルの電話を入れた時、レストランの支配人が「本日は最後までリザーブとさせていただきます」
と言って「reserve」の札を置いたままにしておいてくれたらしい。

あ・・ぁ。1度使われたな。
新田が使ってくれたんだった。

予約主の現れないその席は毎年レストランで話題になっていたらしい。

そして、今日。兄貴が亡くなった翌年から予約を始めて6回目のクリスマス。
俺は静かにその席に座る。

6回目にしてやっとこの席に座る事が出来た。

「信之」

優しく俺の名前を呼ぶその声に嬉しさをかみしめてゆっくりと目を開ける。

「由布子さん」
「お待たせ」
「いや・・・俺も『いま』来たところ」

6年間のその想ひは全てこの瞬間に溶けていくようだった。

そう。「いま」来たところ。

俺たちのこれからは「いま」から始まる。

向かいに座った由布子さんの手を取ってその指先にキスをする。
「ちょっと」
少し恥ずかしそうに手を引っ込めようとする由布子さんに
俺は逆に手を引っ張る。

「世界中に見せびらかしたいんだ。俺の恋人を」
「・・・・」
「由布子さん、メリークリスマス」
「信之、メリークリスマス」

俺は再びその指先にキスを落とした。


END*****

皆様メリークリスマス!
素敵なクリスマスをお過ごしください☆






# by ichigo-ichigo205 | 2018-12-25 14:33 | ・蛍の想ひ人 | Comments(0)

新田常務の奥様の洋子さんが今日は同窓会だというので夕飯がないらしい。
「加賀、飲みに行こうぜ」
きっと夕飯を作っておくという洋子さんを『そんなこといいから楽しんで来いよ』なんて送りだしたんだろう。
「え?ヤだよ。今日は由布子さんと外食の予定だから」
加賀部長はそっけない。
「武田さんを誘えよ」
「イヤですよ。森川、昨日帰国したばっかりですよ?」
「じゃぁ、森川くんも誘うか!」
「・・・・イヤです」
「社内にばらすぞ?」
「何パワハラしてんですか・・・・」
「俺は帰るからな!」

全く、仕事以外ではいつまでたっても学生のような会話をして
三人でエレベーターに乗り込んだ。

数階下でエレベーターは止まってポンと言う小さな軽快音とともにドアが開く。

「ん?」

目の前の光景は、経管の岡本主任がウチの中村さんを抱きしめているところで・・・
岡本主任は腕の中から抜けだそうとする中村さんをさらにギュッと抱きしめた。

「俺たち乗らないのでどうぞお先に」

と、岡本主任はしれっと中村さんを抱きしめたまま言った。

静かに閉まるドアに新田常務と加賀部長は笑いをこらえていて
私は小さくため息をついて目をつぶった。

「武田さん、ちゃんと岡本に言ったか?社内では慎めって」
「言いましたよ!加賀部長こそ岡本主任は部下でしょう!」
「俺も言ったよ!仕事とプライベートは分けろって!新田は言ったのか?」
「言ったよ。仕事が終わるまでは秘書に手を出すなって」

「で?中村さんをモノにできると思う?」
新田常務がニヤッと笑った。

「どうかな~?アイツまだ仕事でいっぱいいっぱいだからな」
加賀部長もニヤッと笑う。

「止めましょうよ。部下の恋愛で賭け事するの・・・」
「何だよ?武田さんは賭けないのか?」
「・・・・そうですね~柳下くんが1枚かむのにランチを賭けます」

「柳下?」
「広報の?」
「ええ。あの子、意外と面白いですよ。野田岩さんのランチにしようかな♪」
「野田岩?武田さん勝ちに出たな?」
「ふふふ」
「へ~ぇ」
「柳下ね。覚えておこう」

その時、1階に着いてポンと言う小さな軽快音とともにドアが開く。
「加賀、俺久しぶりに由布子さんに会いたい」
「しょうがないな。一緒に連れてってやるよ」

そんな事を言いながら2人はタクシーに乗り込んだ。

「本日もお疲れ様でございました」

私はそのタクシーが見えなくなるまでエントランスで頭を下げていた。

END****






# by ichigo-ichigo205 | 2018-12-11 06:58 | ・約束のピンキーリング | Comments(4)
12/7~9日の2泊3日で京都旅行に行ってきました。

メンバーは女子4名!
先週末は「寒くなるよ~」と天気予報に散々脅されました。
始めは雨マークもついていましたが、当日は気持ちがいい程の冬晴れで本当に気持ちが良かったです。
覚悟したほど寒くもなく、カイロがいらないぐらいでした。

メンバーの1人が大阪の方で本当に京都をまんべんなく、無駄なく案内してくれました!
旅館の女将さんに「大人の修学旅行ね」と言われましたが
学生の修学旅行顔負けのタイトスケジュールで(笑)

有名どころは全て抑えたぞ!って旅行でした(笑)

私は御朱印も集めているのですがそちらも大満足!

お土産は全部八橋と決めていたので(笑)
旅行中は何も買うことなく、お茶で休むこともせず(笑)
ドンドン名所をクリアーし、周る周る!

平等院では内部拝観のために6:30起きで頑張りました~!
最後に行った仁和寺では372年ぶりに公開された五大明王壁画も特別拝観出来ました。

本当に素敵な旅行でした~!

ちなみに私は25年ぶりの京都でした!(笑)

1日目
清水寺ー八坂神社ー祇園ー錦市場―鴨川ー東寺(夜景ライトアップ)
2日目
平等院―宇治上神社ー伏見稲荷神社ー東福寺ー三十三間堂
3日目
金閣寺ー龍安寺ー仁和寺

ものすごく楽しい旅行でしたが、私が感動したものの中に
「電車のドアを開閉するボタン」でした!(笑)
なんと!ドアが自分で開閉できるんですよ!!
初めてあのボタンを見ました!
開閉するチャンスはあったのですが…恥ずかしくて出来ませんでした(笑)


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# by ichigo-ichigo205 | 2018-12-10 13:04 | 日記 | Comments(2)
皆さんこんにちは。
凄く眠い私です…

本日の更新分を持って「約束のピンキーリング」が終了です。
(14:40現在まだ更新されていないけど)
今回は2,3回更新が遅くなったよね…
申し訳ありませんでした~
(私はちゃんと更新申請したよ…←いい訳)

さて、経管の新人主任とアラサーの秘書の話はいかがでしたでしょうか?
楽しんで頂けたら嬉しいです。
感想を聞かせていただけたらなお嬉しいです!(笑)

私は明日からちょいと旅行に行ってきます。
また帰ってきたら日記でも書きますのでお暇な時間がある時にでも読んでね☆

では今回も連載を応援してくださってありがとうございました。





# by ichigo-ichigo205 | 2018-12-06 14:48 | 日記 | Comments(0)
「見えるところにキスマーク付けるのが好き。
おれのだ~って主張するのが好き」」

大分酔ってるな。コイツ。

3連休の前に同期で飲みに来た。
いい感じに酔いが回ったところでゲンがそんな事を口走った。

「主張しなくても優衣ちゃんはお前のだよ・・・」
俺は呆れてそう言う。

「見えるトコ?大学生じゃあるまいし。お前独占欲の塊だね」
そう呆れて言うのは年上の奥さんのいる森川で
「それだと休日前しかつけられないじゃん。
俺は、見えないところに毎日付けるのが好き」

お前の方がよっぽど独占欲の塊じゃん・・・
社内では秘密にしている結婚を見えないところで主張したいんだろう。

「へぇ。じゃぁ、武田さんの身体のどこかに毎日キスマークが付いてるんだ・・・」

思わず言った俺の感想に
「紗江子さんの身体を想像するなよ!」
と、酔った勢いのまま、結構な力でぶんなぐられた。

「で?金子は?」
「俺?」

「お互いに同じ場所につけ合うのが好き」

「お前が1番ヤラシイわ!」
「本当にな。山口も可哀そうに」

遠距離の俺たちは、2人の時間が終わった後、次に会えるのはずっとずっと先で・・・
2人で会っていた時間を目に見えるもので残せるのがキスマークだ。

「まぁ、でもその気持ちは分かる」
俺と真樹のキスマークの意味を説明していないのに森川は分かる。と言いながら困ったように笑った。

「いっぱいつけてやれ」
冗談めかしてそう言ったゲンも励ますように俺の肩を叩く。

キスマークは「俺のモノ」だっていうシルシ。

だから、お前は俺のモノ―――






# by ichigo-ichigo205 | 2018-11-07 14:58 | ・横浜ホールディング | Comments(2)
「篠塚くん!」
「中村。この前はありがとうな」
「ううん。とっても素敵な式だった!」

先月同期の篠塚くんの結婚式だった。

「片桐くんにも久しぶりに会えたし」
「あぁ、あいつもあっちで頑張ってるよな」

「篠塚、中村!」
「珍しっ。こんなに同期が廊下で会うなんてめったにないよね」

石島くんもたまたま通りかかった。

「篠塚、素敵な式だったよ」
「石島もありがとうな」
「奥さんもきれいだったよね~。私達より4つも下なのよねぇ」
「中村・・・お前今の彼氏と結婚するつもり?」
「今フリーだもん」
「はぁ?また別れたのかよ」
「またって何よ」
「まただろ?」
「うるさいな!」

「お前、仕事忙し過ぎだろ?」
「・・・」
「中村よっぽど俺達よりデカイ仕事やってんじゃない?」

これは、篠塚くんと石島くんが私をからかう常套句になってる。
私の仕事が忙し過ぎて彼氏にフラれるからだ。

その時、
「篠塚さん、この書類なんですが」
確か、経営管理部の・・・岡本くん、だっけ?

書類の記入の仕方を篠塚くんに聞きに来た。
「あぁ、それで良い。書き終わったらPDFで俺の社内メアドに送っといて」
「はい。失礼します」

ちらっとこちらを見て丁寧に頭を下げて離れて行った。
「経管の岡本くんだっけ?」
「あぁ。あれは上に行くぞ」
「へぇ。篠塚くんがそう言うなんて珍しいね」
「プロジェクトの予算の動かし方で分かるんだよ」
「ふ~ん」

改めて岡本くんの背中に視線を投げかける。

「あーゆー男と付き合えば?」
「年下はイヤよ」
「なんで?」
「婚期が遅くなるから」
「年下じゃなくても遅くなるような気がする」

篠塚くんと石島くんにからかわれて
3人で笑いながらその場を離れた。

同期で話すのは楽しい。

経管の岡本くんか・・・・

その時の岡本くんが翌年、同期より1年早く主任に出世して
篠塚くんが
「ほらな」
と、ちょっと自慢げに飲み会で話した翌日、
私は岡本くんが率いるプロジェクトの専任秘書に辞令が出た。


END*****








# by ichigo-ichigo205 | 2018-11-02 14:27 | ・約束のピンキーリング | Comments(0)

皆様こんにちは。

なんだか知らないけど、昨日今日とめちゃめちゃ筆が進みました(笑)

キリがいいので11/1の「1」の日に公開します。

最終章が書き上がってないけど
とりあえず最後が見えたので
1章の公開が出来るかな~と思ったので。

1章:11/1
2章:11/6
3章:11/11
4章:11/16
5章:11/21
6章:11/26
7章:12/1
8章:12/6

以上が公開日となります。
変更があったらまたご連絡します。

題名は「約束のピンキーリング」です。

宜しくお願いします。

# by ichigo-ichigo205 | 2018-10-30 15:14 | 日記 | Comments(0)
皆さま、こんにちは。

先週の日曜日から楽しい事、満載でした。

21日:女性3人で中華街に行って来ました!
ベルばらのトリックアートを見て大盛り上がり!
その後中華の食べ放題へ行って手相占いもしてきました!

27日:米津玄師氏のライブに行って来ました!
実は米津氏を私は知らなかったのですが(スミマセン)チケットが取れるというので急きょ曲を叩きこみ幕張メッセまで行って来ました。2万人だったそうです!
会場はさながらイントロクイズのように前奏の1音目でみんなが歓声をあげる(ファンすごい!)
そして、舞台構成が上手い!!曲の順番や音響や照明技術がものすごかったです。
Lemonは、み~んな泣いてました。
その空気感の中にいられたことが何より楽しかったです。

28日:大谷石の発掘城跡見学に行って来ました!
前から行ってみたかったのですが、ものすごい広大な地下城のようで人間の力ってすごいな~と思いました。あれだけの石を掘り出すのは本当に大変なことだったでしょう。
素晴らしい見学でした。

毎週毎週遊んでいますが…
新作もチョロッと書いています。

5章まで書き終わりました。
7章の予定でしたが、こりゃぁ7章じゃ終わらん…
書き終わりましたら、また公開日等ご連絡します。

題名だけは決まっています。

「約束のピンキーリング」です。

よろしくお願いします。



# by ichigo-ichigo205 | 2018-10-28 23:38 | 日記 | Comments(0)

人間の50年はきっと悟には一瞬に思える事だろう。

1千年をいい加減に生きてきたと言っていた。

それでも私に出会った3年間は毎日毎日、大切に生きてくれたように思う。

50年たった今でもあの3年間を思い出して生きている。

あの3年間が私と悟の全てだった。

悟の子を産んで、大事に大事に育て上げた。

あなたは人間ではないと小さい頃からそれとなく教えて伝えて
それでも成人するまでは半信半疑だった。

今目の前にいる50歳になる私の息子は
見た目は20代の青年にしか見えない。

「これから先、950年を有意義に過ごして。
たった一人の花嫁を見つけなさい」

その若い頬に手を伸ばす。

自分のしわくちゃになった手に悟と別れた年月を感じる。

「一人にさせてごめんなさいね」

悟は一人の時間をどんなに寂しく思った事だろう。
その寂しさを息子に味あわせたくないと思っていただろうに。

結局私も人間だ。
そろそろ天寿を全うする。

悟に恋い焦がれ
悟だけを愛し
悟の忘れ形見を大事に育ててきた。

その人生も終わろうとしている。

霧となった悟にあの世で会えるのだろうか。

「来世では、普通の人間の親子として会いましょう」

息子は静かに泣いていた。

あなたが天寿を全うする950年間
私は、そっと転生を願って待っているわ。

悟。
あなたが自分の弱さと象徴した息子は
私の強さの象徴でした。

あなたの思い出だけを抱いて人生を全うしました。

ありがとう。
来世でも、永遠の番いに―――


END****










# by ichigo-ichigo205 | 2018-10-11 15:19 | ・永遠の番い | Comments(2)
「じゃぁおやすみ」
「うん。また明日大学でね」

里香との電話を切って、電話をじっと見つめる。

『また明日』

何気ないその口約束は、当たり前のように毎日繰り返されて
当たり前のように翌日に会い
当たり前のようにまた明日の電話の最後にもどちらかが言う。

この何気ない当たり前の言葉にどれだけの幸せが詰められているのか
里香は感じているだろうか。

里香に・・・一方的に別れを告げられて
着信拒否をされていると知らずに何度も送ったメールの思いは
今どこに行ったのだろう。

話したいときに話せる。
メールをしたいときにメールが出来る。

その幸せにあの時の思いが救われる気がした。

じっと電話を眺めていると急になりだした電話は里香からで
「どした?」
何かあったのかと、急いで電話に出る。

「ううん。なんか電話を切った後さみしくなっちゃって」

そんな里香が可愛くて
そのことを素直に言ってくれることに嬉しくて
小さく笑えば

「笑ったな!」

と少しむくれる里香が安易に想像できる。

「明日、朝一番で会いに行くよ」

そう言えば

「ずっと一緒にいられればいいのに」

そんな可愛いことを言う。

「なに?それってプロポーズ?」

茶化して言えば

「え?え?え?え?ちがっ」

慌てた里香も可愛くて
もう少しからかおうとしたけど

「うん。プロポーズは俺にさせて」

そう本音がつい口から出た。

「そうく・・・ん」
「ちゃんと俺がするから、待ってて」
「うん」

「まださみしい?」
「さみしく・・・ない」
「よかった」

「おやすみ」
「おやすみ」

「またあした」


END****





# by ichigo-ichigo205 | 2018-10-07 01:53 | ・カウントダウン | Comments(0)
金曜日、1週間の仕事の疲れを身体で感じて、同僚とご飯を食べて帰ってきた。
しずかは忙しいらしく、明日の土曜日のデートもキャンセルの連絡が入っていた。

「明日は久しぶりにゆっくり寝よう」

この1週間はハードだった。

ゆっくりお風呂に浸かって、髪にトリートメントをした。
普段は洗うだけで精一杯。

髪を乾かして、顔にパックシートをして軽くストレッチをする。

今週の仕事を軽く思い出して
来週の仕事を思い浮かべる。

アラームをかけた時計を見ると後10分。パックが終わったら寝よう。

その時、玄関のドアがガチャガチャっと音がしてしずかが入ってきた。
「優衣、いるよな?」

ちょっとちょっと!
「来るなら言ってよ!」
慌ててパックをはがそうとする私の手を
「おっと。そのままでいいって」
と、止めた。

「メールしたけど?」
お風呂に入って、そのままチェックしていなかった。

「あのさ~?いくら彼氏でもこーゆー舞台裏的な事見せたくないんだけど・・・」
「ん?別にいいじゃん」
「いやよ」

「俺のために綺麗にしてんだろ?」
このオトコは・・・

「俺のために努力してくれてんだろ?」
このオトコは・・・

「その気持ちが可愛い」
この、オトコは・・・

「でも」
なによっ
「優衣はきっと年をとってもかわいい」
「・・・・」

ニヤッと笑いながら、そんな事を言うから
自分でも分かるぐらい赤くなった。

その時、パック終了のアラームが鳴って
意地悪な顔をしながら、しずかがそっと私のパックに手をかけて剥がした。

「優衣、まっか」

そう言って美容液がたっぷりしみ込んだ頬を人差し指でプニプニした。

「やっとキスできるな」

笑いながら顔を近付けて

「ただいま」

と、唇をかさねた。

END****





# by ichigo-ichigo205 | 2018-09-20 14:06 | ・キスマーク | Comments(2)

横浜の花火大会は、学生時代に来たきりで
思い出の中にある人ごみよりもさらに凄い人の波だった。

「会えんのかよ」

待ち合わせ時間を過ぎて
若干不安になった待ち合わせは桜木町駅で
「え~。職場の駅?」
と、美咲は嫌がっていたけど、もうここまでくれば
隣の関内駅だろうと、会社の人に会う確率は同じな気がする。

あんだけ社員数が多い職場で、横浜の花火大会で誰にもあわないはずはない。

「山崎!」

人の波を縫うように近づいてきた美咲は浴衣姿だった。
「浴衣着てきたんだ」
俺の思わず言ったその言葉に美咲はちょっとムッとして

「なぁに?嫌だった?遅れて悪かったわね」
「いや、俺も着てくれば良かったと思って。可愛いよ」
そう言った途端、照れてそっぽを向いた。

うん。可愛い。

「もう。何言ってんのよ。行こ」

改めて、この子と付き合えて嬉しいと思う気持ちが胸いっぱいに広がって
「危ないから」
と口実に手をつなぐ。
何回もつないできたはずの手なのに、いつも嬉しい。

「ちっちゃい手だなぁ」

「そう?」

俺の手のひらにすっぽり隠れる手のひらは絶対俺が守ってやると思わせる。

会社にほど近い横浜港から、花火が上がるのを2人で混みあう人ごみの中で顔をあげた。

あまりの混み具合で
俺は後ろから美咲を抱きしめるようにそっとくるむ。

浴衣姿の彼女に、他の男が触れないように。

「来年も来よう」
「うん。山崎と一緒に来たい」
「だな」

来年も一緒に見ようと約束できる当たり前が幸せ。

小さい手のひらをくるむことのできる当たり前が幸せ。

俺は花火を見上げる美咲のうなじにそっとキスをした。


END****





# by ichigo-ichigo205 | 2018-09-06 13:16 | ・乙女☆大作戦 | Comments(0)

田舎のお祭りは威勢がいい。
特に夏まつりは、お盆休みで帰省した若者たちが集まって
普段の町の人口の何倍かに膨れ上がる。

小さい時に行ったお祭りに、奥さんや子供を連れて自分の田舎を誇りに来る。
そしてご先祖様の霊を慰めるように華やかに花火が上がる。

箪笥の1番下の引き出しの奥に、豪のお母さんの浴衣が仕舞ってあったのを見つけたのは夏の衣替えの時だった。

「あ、おふくろの」

それだけ言って懐かしそうにその浴衣を着た私を豪は眺めた。

「ばあちゃんが、盆休みに来るおふくろのために用意してたやつだ」

豪の父親の故郷のこの土地にはお盆休みに毎年家族で帰って来ていたらしい。

でも結局、豪の両親はこの土地にUターンする事はなかった。
都内と横浜の一等地に有名なレストランを開いて、今は豪にレストランの経営を任せて
横浜で優雅に暮らしている。

私も横浜に帰るとお邪魔する。
2人の息子たちはこの夏中、横浜に遊びに行っている。

「へぇ。懐かしい。その浴衣を着たおふくろと俺の小さい頃の写真がどこかにあったはず」
「わ!見たい!」
「探してやるよ」

「響子が着てくれて、ばあちゃんも、喜んでる」

そう言った豪は日焼けしてがっしりした身体に浴衣が良く似合ってる。
前が少しはだけて、やけに色っぽい。

この浴衣はおばあさんが豪のために縫った浴衣だ。

「私より色っぽい・・・」
ちょっと拗ねてそう言えば
「何言ってんだよ」
そういって、私の胸元に手を入れようとする。
「もう!」

おいたする手をパチンと叩いて

「奏くん達も来るんだから。いい子にしてて」
「はいはい」

痛くない癖に痛そうに手首を振った。

「こんばんは」

ガラッと引き戸を開けたその先には、同じく浴衣姿の奏くんと茜ちゃんがいて。

茜ちゃんは初めてのこの土地に戸惑いながらも嬉しそうに下駄を鳴らしていた。

「奏くんのお母さんが私にも浴衣を用意してくれていて」

あぁ、上手く行ったんだ。
奏くんとお母さんはピアノの事でギクシャクした関係で
そのまま海外留学をしてしまった奏くんは、やっと数年振りかでお母さんに会いに来た。

自分の息子に過度な期待と重圧を与えてしまった後悔と、そして隠しきれない息子への落胆を
小野寺さんはいつも悔いてきた。

奏くんも、母親の期待に応えられない自分と、その自分を受け入れてもらえない葛藤の中で
母親に甘えたい時期をずっと孤独に過ごしてきた。

いくつになったとしても、和解出来て良かった。

「さぁ、行きましょうか!」

ドーーーンッッッ

と、花火の一発目が上がる音がした。

「茜さん早く!」
「待ってよ」

先に玄関を出た2人を嬉しそうに見る私に
「響子、帰ってきたら一緒に風呂に入ろうぜ」
なんて、豪がニヤッと笑った。

「じゃぁ、みんなにりんご飴買ってよね!」

私は笑いながら玄関をかけだした。

END*****





# by ichigo-ichigo205 | 2018-09-03 15:25 | ・田園シンデレラ | Comments(0)
暑い暑い夏。
自由に取れる夏季休暇を少し早めに申請した。

8月7日の花火の日に、山梨の花火大会に金子さんと一緒に行くためだ。
花火の街として有名な市川三郷町での花火大会に行こう。と金子さんが誘ってくれた。

ホームページで過去の画像を見るとものすごい花火で
さすが花火の街!と思うような花火だった。

ワクワクして朝早く家を出て山梨に行く。
渡されている金子さんの部屋の鍵で家主のいない部屋にそっと入る。

金子さんは午前中だけ仕事に行っている。

家事が出来るらしい金子さんの部屋はいつもきれいで
今日も私がやることはない。

「さて」

横浜から持ってきた荷物の中から浴衣を出す。
荷物になるから下駄は持ってこなかった。
サンダルで許してね。

つくり帯で簡単に着つける。
1人でも、着付けを知らなくても簡単に着られる浴衣に感謝だ。

「ただいま。真樹、来てる?って・・浴衣持って来たんだ?」

玄関でびっくりした顔で私の浴衣姿を眺める。

うん。この顔が見たかった。
持ってきてよかった。

「この部屋からも小さいけど見れるよ。出かけるのやめようか」

ハグしながらそんなことまで言う。

「行きたい。せっかく金子さんの住む山梨のお祭りだもん。
夏休みを取ったから2泊はいられるよ」
「え・・・明日以降も休み取ったの?言えよ~だったら俺も取ったのに」
「金子さん今忙しいじゃない。今日だって半休取るのやっとだったでしょ」
「そうだけど・・・」
「朝、送り出して、夜、お出迎えしてあげる」
「あ~・・・それいいな」

ぎゅーっと私を抱く腕に力を込める。

「さ、行こう!金子さんの住む山梨の花火大会に!」

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# by ichigo-ichigo205 | 2018-09-02 22:43 | ・噂をすれば恋 | Comments(0)
今年の花火大会はことごとく見逃した。

私が常務と出張だったり、ツカサが海外出張だったり。
お互いに出張が続いて、月の半分以上顔を合わせないことはよくあるけど
それがことごとく花火大会と重なった。

南米出張のツカサが帰ってくるなり
「明日の日曜日、紗江子さん休み?」
と、ネクタイを緩めながら聞いた。
「うん。明日は休める」
「良かった。なら実家に行こうか」
「うん。明日香達呼ぶ?」
「もう連絡した」

長期の出張で、久しぶりに見るツカサは日焼けしてさらにいい男になっていた。

「その顔で出勤したら、女の子たちがまた騒ぐね」
「ん?」
「いい男になっちゃって」

10年間、成長を見続けてきたひとりの男の顔をなでる。

「何?急に」
「ううん。イイ男に成長したなぁ~って」
「そりゃそーでしょ」
自信ありげにニヤッと笑った。
「紗江子さんの隣に並んでも見劣りしない男になるために、
それだけを考えて日々を過ごしてますから」
少しおチャラけていうその言葉は、実際にはすごく努力している証だ。

翌日、疲れを取って夕方近くに森川の実家に行けば
明日香と啓はすでに来ていて浴衣姿だった。

「わ!明日香可愛い!」
「紗江子ちゃんのもあるよ」
「え!」
「ツカサ君が、今年は紗江子ちゃんと花火大会に行きそびれたから、みんなでやろうって。
サプライズでしたいから悪いけど紗江子ちゃんの浴衣も用意してほしいって
昨日連絡してきたんだよ」

え・・・・

「俺には花火を買っとけって言いつけやがった」
「言いつけたなんて人聞き悪いな。兄貴」
「ま、いいけどね」

「兄貴も明日香さんもありがとう。紗江子さん着替えておいでよ。
手持ち花火だけど、みんなでやろう」

「あら、花火?いいじゃない」

森川のお義母さんたちも家から出てきた
「ツカサの案?」
「買ってきたのは俺ですけどね!」

いつものようにみんなで啓をいじって笑って。
みんなで花火をした。

「はい。これで最後。みんな1つづつ持って」

と啓がみんなに線香花火を渡した。

「今年は忙しくてごめん」
ツカサと二人並んでジーッと小さな音がする線香花火を眺めながらツカサがそう言った。

「ううん。みんなでする花火のほうが幸せ」

ツカサと結婚してよかった。

「ツカサ、だ~いすき」
「俺も。どんな花火よりもきれいな紗江子さんが大好き」

周りのみんなに聞こえないように小さく小さく愛をつぶやいた。

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# by ichigo-ichigo205 | 2018-09-02 00:18 | ・キスの花束を | Comments(0)

「直子、今から町内のお祭りだけど一緒に行かねぇ?」

春先にフラれて、ボーっとしている事が多くなった。

何も考えずに仕事をすれば
残業する程多くの仕事を抱えているわけではなくて
毎日のように5時に上がれる。

好きだった人にいつ誘われても良いように
ここ1年ぐらい友達と遊びに行ってない。

こんな時に、泣きながら愚痴を言って
慰めてくれる友達なんかいやしない。

隣の家の3つ下のクソ坊主が、気にしてくれるけどガンムシだ。
年下は興味ない。

「行かない」

昔よく2人で行った町内のお祭りは
大きいわけでもなく、短い商店街に露店が出る程度だ。

「行こうぜ。近頃ふさぎこんでるだろ」
「あんたに関係ない」
「フラれたぐらいでなんだよ」
「うるさいな!」

こいつは年下とは思えないほど遠慮がない。

「だから、俺にしとけって言ってんだろ」
馬鹿じゃないの?
「年下には興味ないから」

年下には興味ない。

ううん。他の誰にも興味ない。

「なぁ、俺だってしっかり社会人してんだよ?」
「へぇ~」

「もう3つ下の隣のクソ坊主じゃねぇんだよ?」
「へぇ~」

「って、死ぬまで3つ下だけどさ」
「だね」
「クソッ。こんなこと言いたいんじゃないのに」
「悪いけど、ほっといてくれない?」

無表情でそう言えば、いきなり目の前が真っ暗になって何事かと思った。

一瞬ビックリした後、ああ、祥一に抱きしめられてるんだ。と気が付いた。

「直子バカじゃねぇ?」
「・・・・」
「お前純粋なくせに、遊んでるオンナの振りして」
「・・・・」
「そいつのそばに居たいからって、遊んでるオンナのふりして」
「・・・・」
「いつそいつから声がかかっても良いように、友達全部切って」
「・・・・」
「それで、本気の女と両想いになったからってあっさりフラれて」
「・・・・」

「直子、ほんとにバカじゃん」
「・・・・うん」

「だから!だから俺にしとけって前から言ってんだろ!」

涙が出てきた。
フラれてから、ずっと泣けなかった。
眠れなくて、辛くて、寂しくて、悲しくて。
それでも泣けなかった。

加賀くんが幸せになれるのなら、それでいいと思った。

「ほら!浴衣着ろ!」

祥一は、勝手知ったる私のタンスから浴衣を出した。

「俺のために着ろ!」

「・・・」

「んでお祭り行くぞ」

「・・・・うん」

「これからは俺にしとけ」

「・・・・」

「そこは、即答するところだろ!」

「あっはっはっは」
久しぶりに笑った。

うん。
すぐに加賀さんを忘れられる訳はない。
こんなに好きだったんだもん。
でも、きっと祥一はそれも分かってる。

でもゆっくり忘れて行こうと思う。

「忘れられるかな?」

ほんの少し気弱に言えば

「直子の事『吉村ちゃん』なんてふざけた呼び方するオトコなんか祭りから帰ってきたら忘れてるさ」

ニカッと笑った祥一は3つ下とは思えないオトコの顔をしていた。

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# by ichigo-ichigo205 | 2018-08-28 13:55 | ・蛍の想ひ人 | Comments(6)

昨日のお昼過ぎに、駿ちゃんが
「明日休みになった!」
と嬉しそうに電話してきてくれて

「みんなで集まろうか?」
と言ってくれた。
近頃駿ちゃんはものすごく忙しいらしくて
みんなで会うのは久しぶりだ。

「じゃぁ、料理は全部作るからチコちゃんとのぞみちゃんに浴衣で来てって伝えて!」

料理を作るのは苦じゃない。
花火大会をみんなで見れるチャンスなんかそうそうないもの!
せっかくだから浴衣で集まりたい!

「料理1人で大丈夫か?」
「大丈夫!」
「買ったっていいと思うけど・・・」
「大丈夫!作りたいの!」

それから下ごしらえをして
翌日は早々に料理は作り終わった。

私も浴衣を着ようとしたところで
「花ぁ、俺も浴衣あったっけ?」
「え!駿ちゃんも着てくれるの?」
「山田が着ろって言うから」
山田さんナイス!

夢ちゃんの会社のブランドの今年の新作を夏の初めにもらったんだった。
色違いでお揃いの浴衣だ。

「え?花と色違いのお揃いなの?」
「やだ?」
「いや。嬉しい。こんなのあるんだ」
「夢ちゃんがくれたの」
「へぇ~。たまにはあいつもやるな」
「これ素敵だよね」

2人でお揃いで着ると夫婦だなぁって感じる。

「花、可愛いよ」
「駿ちゃんもとっても素敵」

「いつもありがとう。みんなを呼んじゃってごめんな」
「ううん。私もみんなに会いたかったから」
「その代わり、早く帰そうな」
「え?」

「みんなが帰った後、たっぷり可愛がってやるよ」

駿ちゃんは私のほほにチュッとキスをした。

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# by ichigo-ichigo205 | 2018-08-27 14:30 | ・花の咲くころ | Comments(0)

横浜駅はものすごい混みようで、浴衣姿のカップルがどんどん根岸線のホームへ向かって行く。
今日は横浜の花火大会だ。

昨日山田さんから急に
「明日の花火大会、行ける?」
と電話があって
「行く!」
と即答した。

「楠に誘われてるけど、楠のマンションでいい?」

近頃経管は忙しくて
山田さんとのデートもままならないから楠さんや野口さんに会っていない。
チコちゃんや花ちゃんにも会いたい。

「うん。おじゃましたい」
「じゃぁ、言っとく。料理は花ちゃんが作ってくれるらしいから
酒だけでも持って行こう。
あ、あと、浴衣で来いって」

そう言われてお母さんに慌てて浴衣があるか確認して。
お母さんの若い時の浴衣をタンスの奥から引っ張り出した。
レトロな柄がとってもかわいい。

「買いに行けば?」
とお母さんは言ったけど。これがいい。
お母さんがお父さんとデートの時に着た浴衣だもの。

「山田さんまで浴衣だとは思わなかった!」
人混みの中で待ち合わせ場所にいる山田さんは
早く来ていたのか少し着崩れていて、それもかっこいい。
「野口が着て来いって言うから」
そう笑ってから

「のぞみちゃん、浴衣姿可愛いね」
そう言って、会社での顔からは想像できないほどやさしい顔で
その場でパシャっと二人の写真を撮った。

「常務に送ってやろう~っと」

ニヤニヤしながら携帯を操作して。
なんだかんだ言いながらお父さんと仲がいい。

山田さんは私の手を取って、人の波に乗った。

「今日は浴衣の女の子が多いな」
近頃はまた浴衣ブームだ。
「でものぞみちゃんが1番可愛い」

照れもせず、優しく笑いながら山田さんはそう言ってくれるから。
この浴衣着てきてよかった。

「山田さんもかっこいい」

私たちは人混みの中でギューッと手をつないだ。

END****








# by ichigo-ichigo205 | 2018-08-26 14:18 | ・恋心あれば水心 | Comments(0)
「わ~チコちゃん可愛いね!」

経管の8月の中旬はいつも忙しくて
毎年お祭りや花火大会はあきらめている。

それなのに昨日になって急に休みが取れたと野口さんから連絡が来て
久しぶりに楠の家で集まろうぜ!と言ってきた。

楠さんの奥さんの花ちゃんは料理上手で
「料理は全部任せて!だから浴衣着て来てね」
と言ってくれた。

楠さんのマンションは10階で丁度横浜湾が見渡せる場所だからだ。

デートを何回しても浴衣姿で野口さんと会うのは初めてで
ドキドキする。

でも、野口さんも浴衣姿で
「野口さんもかっこいい」
野口さんの浴衣を見るのも初めてだ。

「楠が着て来いって言うから」
なんて照れてたけど
わ~似合う!

いつもスーツ姿で忙しく仕事をして。
そんな野口さんの浴衣姿を見れるのは私だけなんだなぁ~と思ったら
すごく嬉しくて。

「野口さん大好き」
素直に言葉に出ていた。

「やめる?」
「え?」
「楠に行かれなくなったって言おうか?」

「もうっ」

野口さんのそんな言葉にくすくす笑って。

今日は初めて野口さんと花火を見に行きます。

END***





# by ichigo-ichigo205 | 2018-08-25 14:17 | ・嘘つきは恋の始まり | Comments(0)
オープンキッチンのカウンターに置かれている椅子をくるりと回して壁一面の窓の方へ向けて座る。

高層マンションから見る花火は地面から見る花火とはまた違った感覚だ。

真上ではなく『少し上』で花火が花開く。

「浴衣を着て来てくれるとは思わなかった」

カウンターに置かれたワインのボトルは
石島さんの会社が今年輸入を始めたワインだそうでとっても飲みやすい。
オーガニックレストランでだけ、飲めるらしい。

「ん?なんで?」

部屋を真っ暗にして
花火の音と閃光だけが部屋を包んでいた。

「外に行く訳じゃないから、普段着の方が楽だろう?」

そう言って、私の襟足を触る。

「この、浴衣の襟から出てるうなじ、凄い色っぽいな」

髪をアップにして、いつもは見せないうなじを見せる。
なんだか恥ずかしくなって、手で隠せば
石島さんは意地悪く笑ってその手を外し、そこにキスを落とした。

「ここにキスマークをつけたら帰れないな」

そう言って、今自分がキスをした私のうなじを親指で撫でた。

「つけなくても、帰らないわよ」

くすくす笑ってそう言えば

「花火が明るいうちにベッドに行く?花火の下で抱きたいな」

「だめ。花火は来年まで見られないもの。
一緒に見たいわ。そのために浴衣を着てきたんだもん。
花火が終わったら、抱いて」

「ライバルは花火だったか」
石島さんはそう苦笑いして、グラスのワイン越しに花火を見た。


END****






# by ichigo-ichigo205 | 2018-08-23 13:05 | ・心も抱きしめて | Comments(0)