ケンカ♪

神戸に来て、一緒に生活するとほんの些細なことがお互いに気になったりすることがある。

ケンカまではいかないけど、主張をしあうことはある。
でもまぁ、人生初めての同棲はまずまず上手くいっていると言っていい。

なんて、満足げに夕飯を作っていたら、ふとあることに気が付いた。

ケンカしないんじゃない———

ケンカにならないように三浦さんがいつも先に上手く譲ってる?

そう考えだしたら、ここ数か月の三浦さんの言動を次々と思い出した。

夕飯を作る手を止め、テレビを消してソファーに座り込む。
う〜ん。考えれば考えるほど、三浦さんが上手く
私が嫌な気持ちにならないように立ちまわっている・・・

「ただいまー」
何時間考えていたのか、三浦さんが帰って来ちゃった。
まずい!夕飯の用意が途中だ!

「あれ?まみちゃん?まみちゃんおる?」

電気もついていない部屋にびっくりしたようで
バタバタと玄関から入ってきた。

「お帰りなさい」

真っ暗な中でソファーに座り込む私にさらにびっくりしたようで

「なんかあったん?」

と、電気をつけて隣に座り込んだ。

「う〜ん。あったというか、気が付いたというか・・・」
「な、何に?」

「三浦さんとケンカしないな〜と」

「は?ケンカしたいん?俺は したないんやけど」
「いえ。そうではなくて。
ケンカしないんじゃなくて、ケンカする前に三浦さんが上手く譲ってると気が付いたの」
「・・・うん。それで?」
「それって、三浦さんストレスたまらない?」

「なんや・・・そんなことか」
「重要よ!だってこれからずっと一生一緒にいるんだよ!」

「うん」
と言って三浦さんは嬉しそうに私を抱きしめる。

「全然ストレスなんか感じてへんから。
それに、まみちゃんのしたいことが俺のしたい事やから」

でた。三浦さんの甘やかし。

「それより、ずっと一緒におるってまみちゃんの言葉で聞くとめっちゃ嬉しい」

もう・・・三浦さんさんったら。

「あ!夕飯つくりかけだった!」

「そうなん?」
「うん。作ってる最中でそれを思ったらなんかじっくり考えてた」

「夕飯中断してまで俺の事、考えとったん?」

うん?まぁ、そうだけど・・・

「まみちゃん愛してる」

三浦さんは嬉しそうに私にキスをした。

「もう。私も愛してる。夕飯作っちゃうから着替えてきてね」

ケンカは当分しそうにない。


END****


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# by ichigo-ichigo205 | 2018-08-16 08:01 | ・素肌のままで | Comments(0)

君が泣かないためならば


好きな人がいる。

入社以来ずっとずっと好きな人だ。
手の届かないところで笑っていた。
幸せそうに笑って、幸せそうに綺麗になって行った。

友達としてそばにいられればいい。
せめてもの願いとして、友達としてでもそばに居たい。

そう思って来た。

その人の幸せだけを願って
その人の笑顔だけが見たかった。

その人を幸せにするのが俺じゃなくても
その人を笑顔にするのが俺じゃなくても
そばにいられるだけで十分だと思った。

男と別れて
心からの笑顔が見られなくなって
俺は何も助ける事が出来なかった。

そばに居ても、その人を幸せそうに笑わせる事は出来ない。
自分で自分のふがいなさに、泣けてきた。

やがて、俺の気持ちにほんの少し答えてくれて
彼女の隣の席に座る事が出来た。

夢みたいだった。

でも明日香―――

本当はあいつを心の奥底で忘れていない事は分かってる。
2番目でも良いんだ。
そばに居られるなら。

2番目でも良いんだ。
そばに居てくれるなら。

そう思って来た。

だから、俺が全部かぶってやるよ。

幸せになれ。明日香。

俺が幸せに出来るのなら1番いいんだけど。
でも、それは出来ないんだよな。

大好きだよ。
世界中で誰よりも。

例え、世界中の人が俺をカッコ悪いと笑っても
君が泣かないためならば俺は何でもしよう―――


END*****


皆様、残暑お見舞い申し上げます!
まだまだ暑い日が続きますのでご自愛ください

 2018/夏 いちご








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# by ichigo-ichigo205 | 2018-08-10 14:51 | ・君が泣かないためならば | Comments(0)

夏の名残り③

デートの場所をどこにするか、で綾香と口論になって3日。
お互いに何でも言い合う関係はとっても新鮮だ。
俺の言葉を、むくれながらも反撃してくる女子はそうそういない。

「もう知らない。当分話しかけないで!」

と、目に見えて怒りながら離れていく綾香を可愛いとさえ思った。

口論の後なのに、その後ろ姿を見てプッと笑いがこみ上げた。

さて、しばらく話しかけないようにするか。

そんな時、近頃、ビーズアクセサリー作りに凝っている妹から、駅前のファンシーショップで「この」ビーズを買ってきて!と
写真付きのメールが来た。

「自分で買いに行けよ」
そう呟きながらも、似合わないお店の中で画像を見ながら同じビーズを探す俺は
世の中の類にもれず、妹に甘い。

「高っ」
こんなちっちゃいもんがこんな値段すんのかよ。
そう思いつつ、レジに並んでいると、いつだったか、桃花ちゃんを騙したフェロモンの液の小瓶が売っていた。
俺は苦笑いしながらそれを手に取った。

「綾香」
次の日、構内で見つけた綾香を呼び止める。
「何よ!当分話しかけないでって言ったでしょ!」
「ほら」

おもむろに差し出した瓶は緑色の液体で。
「な、に。これ」
「フェロモンの液」
「・・・・」

そう言って蓋を開ける。
まだ新しいからメロンの匂いがして
「嗅げよ」
と、近くに差し出した。

「・・・・」
「何だよ?」
「ブルーじゃない」
「あ?」
「桃花ちゃんが、白木が持ってるのはブルーのだって言ってた」
「あ、ぁ」
「なんで入れ替えたの?」
「なくしたんだよ」
「うそ!絶対なくしてないのに。なんでブルーじゃないの?」

「お前さぁ、ガサツなくせに、変なところ細かいよな」
「ガサツ?あんた彼女の事ガサツだと思ってんの?」
「いや・・・」
「ガサツだと思ってんのね!」
「つつましくはないだろうが!」

「まぁ、ね」
「だろ?」
「うん・・・」

「で!話がそれた!なんでブルーじゃないの?」
「いいだろ」
「言いなさいよ」

「ったく・・・・
ブルーのはいやだろ?乃恵ちゃんも知ってるから。
どうせお前の事だから『乃恵にも嗅がせたんじゃないの』とか言い出すだろ」
「・・・・」

「だから、昨日作ったんだよ」
「・・・・」
「これ瓶も新しいやつな。買ったの」
「わざわざ?」
「わざわざ!」

「私のために?」
「そう!」
「私と仲直りするために?」
「そう」
「・・・・」

「仲直りしてくれる?」
「・・・・それ嗅いだら、仲直りする」

「良し。そのまま、俺の事もっと好きになっちゃえ!」


END****




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# by ichigo-ichigo205 | 2018-08-02 13:49 | ・恋のばんそうこう | Comments(2)

トリプルお礼☆

皆様、お暑うございます。

今回はお礼を3つ。

1つ目は、明日で最後の章を公開予定の「恋のばんそうこう」ですが
「恋のばんそうこう」のネーミングアイディアを頂いた「こもも姫」にお礼を言いたかったからです。

こもも姫とはケータイ官能小説さんの「先生、早く縛って」で書庫化されました、ももはちゃんのお嬢様です。
こもも姫は、も~サイコーのワードセンスを持っていて私は大大大ファンなんです!!

昨年、ももはちゃんと話していて、こもも姫が言った「恋のばんそうこう」に感激して、ももはちゃんに「いつかこの題名で話を書かせて!!」とお願いしていました。

今回、書く前も「本当に書いていい?」と確認したところ快諾していただき
この題名で公開が出来ました。

こもも姫、ももはちゃん本当にありがとうございます。
心からお礼申し上げます。

チャーミングプリンセス・こももへ最大級の感謝をこめて♪

皆様も、最後までお付き合い下さい。


2つ目は、Feardさんで、年に1回のコンテスト(今回は3回目)で佳作を受賞しました。
「赤い泪」です。
Feardさんしか公開していないので、お時間がある方は読みに来てね。
会員にならなくても読めます。
このサイトの「ワープ」の「ミステリー小説」さんでサイトに飛べます。


3つ目は、今年も見事に忘れていましたが!
pipiさんで書き始めて丸6年が過ぎました!
7年目です!
本当に本当にありがとうございます!

以上3つのお礼日記でした!どうもありがとうございました!

暑いのでご自愛ください。




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# by ichigo-ichigo205 | 2018-07-25 11:41 | 日記 | Comments(0)

ヘアドネーション

そう言えばこちらで日記にするのを忘れていました。
暑くてボケてるな…
すんません。

1週間前に髪をバッサリ切ってきました。

2回目のヘアドネーションです。
1回目にしたのが2年半前。
前回は肩ぐらいの長さに切ったので2年半で2回目をする事が出来ましたが
今回は首が見えるほど短くしたので(最低長さが決まっているため)
3回目は当分ないです。

さて、新しい読み手さんに今一度ヘアドネーションのご紹介です。
ヘアドネーションとは 30センチ以上の髪を一気に切って
小児がん等の子に無料でかつらを作ってあげるボランティアです。

ヘアドネーションの公式サイト
http://www.jhdac.org/

本当の人毛で、その子にピッタリのかつらを付けて
少しでも外出しようと思ってくれたらいいな。

長い髪の毛を、少しでも欲しいと思ってくれる子がいるのなら。
と、このボランティア参加を決めました。

このボランティアはあまり知られていないので
普及のために日記にしました。

ボランティアに行く時間がない方も何をしたらいいか分からない方も
これなら参加できるんじゃないかな?と思って。

髪が長い方はご一考下さい♪

今、ショートで洗うのが楽ちんです~(笑)



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# by ichigo-ichigo205 | 2018-07-24 14:50 | 日記 | Comments(2)

絆創膏

皆様、ごきげんよう。
毎日暑いですね~

ご家族皆様で熱中症にはお気を付けください。

さて!今公開中の「恋のばんそうこう」ですが

絆創膏は一般名称です。
みなさん、商品名で呼ぶ事が多いかと思いますが
これが、地域によって全く違う!らしい!

以下某サイト参照
いかがですか?

私は神奈川ですが、バンドエイドと呼ぶけど、カットバンとも言います。
が、リバテープとかサビオとかキズバンは聞いた事もないのです~
さて、この分布図、あっていますか?
これ以外の呼び方で呼んでいる地域もあるのかな?

・絆創膏の呼び方の分布
絆創膏: 石川県、福井県、新潟県、長野県、静岡県

カットバン: 青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、山梨県、岡山県、鳥取県、島根県、山口県、愛媛県、高知県、長崎県、鹿児島県

バンドエイド: 栃木県、茨城県、千葉県、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、大阪府、滋賀県、京都府、兵庫県、香川県、徳島県

リバテープ: 奈良県、福岡県、佐賀県、大分県、熊本県、宮崎県、沖縄県

サビオ: 北海道、和歌山県、広島県

キズバン: 富山県


2人の恋の傷にもピッタリ合う絆創膏がありますように♪

では最後までお付き合いくださいね!





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# by ichigo-ichigo205 | 2018-07-18 12:37 | 日記 | Comments(0)

豪雨の被害にあわれた皆様へ

とにかく、昨日は西日本各地で記録的な大雨で
見たこともない広範囲での被害にびっくりしています。

該当地域の方、本当に無理をなさらずご安全にお過ごしください。

日本各地の豪雨の被害にあわれたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。






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# by ichigo-ichigo205 | 2018-07-08 08:44 | 日記 | Comments(2)

願い事

梅雨が記録的な早さで明けた7月。
土曜日だって言うのに直哉は相変わらず仕事で
私は一人で買い物に行って、夕飯を食べた。

大して面白くもないテレビを見ていると
ガチャっと音がして玄関のドアが開く。

「葵、いる?ごめん。遅くなった」

大して悪びれもせずに、機嫌のいい声で直哉が来た。

ガサッガサッと音とともに部屋に入ってきて
何事かと思ったら、笹を抱えていた。

「な、なに?」
「七夕」

あぁ・・・今日は七夕か。
大人になって、願いごとをすることもなくなって
七夕というイベントよりも、会社が休みの土曜日のほうが重要になっていた自分に
ちょっと悲しくなった。

「短冊書こうぜ」
「ええぇ?」
「短冊」

短冊・・・ねぇ。

「いいね!」

うん!いい!
子供の頃みたいに願い事を書こう!

サインペンを出してきて
厚手のメモ帳を細長に切った。

何を願おう・・・
直哉と結婚できますように?
直哉とけんかしませんように?
仕事が上手くいきますように?
健康でいられますように?

え・・・

子供の頃は短冊に書く願い事なんかすぐに決まったのに。

私はいざ書こうと思うと、1つに決められなかったし
1番の願い事の、直哉のことは『願う』事とは違う気がした・・・

「何考えてんの?」

う~ん、とうなっていたら、不思議な顔をした直哉がここっちをじっと見ていた。

「願い事、何にしようかな。と思って」

と、いうと、サインペンをクルクル回した直哉が

「何でも好きなこと書けよ」
と笑った。

あぁ。
そうだよね。
願い事だもん。
自分の好きなことを書けばいいんだよね。

「直哉は?何を書いたの?」
ちょっとワクワクして聴いてみた。

「俺?」

ちょっと照れくさそうに自分の書いた短冊を私に見せた。

「葵と明日の日曜日は思いっきりイチャイチャ出来ますように」

「・・・・」
なにそれ

「今の俺の1番の願い」
へ~・・・

直哉は私の呆れた顔を笑いながら、私の身体ごと自分に引き寄せた。

「近頃、なかなか一緒にいられなかったから」
「うん」
「思いっきりイチャイチャしたい」

「だね!」

別に大層な願い事なんかいらない。
直哉と1日ずっと仲良く出来ればそれで充分。

私たちは、キスをした後に、ベランダに笹の葉を飾った。


END****

日本各地の豪雨の被害にあわれたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。





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# by ichigo-ichigo205 | 2018-07-07 23:59 | ・恋人宣言 | Comments(2)

本気の彼女

「光先輩!夏休みになったら、サークルで海に行きませんか?」

ワクワクした顔で『いい事思い付きました!』みたいにこっちを見る。

「あのさ?夏休みの計画はこのレポート仕上げたら言えば?」

桃花は苦手な授業のレポートに四苦八苦している。

「て、手伝ってください!」
「はぁ?意味ねーだろ」

この教授のレポートはめんどくさくて有名だ。

「あ~。俺行きたいな」

横でエントリーシートの入力をしている白木が答える。
「俺たち就活だろ」
「夏休み前には終わんだろ」
白木はそう呑気に答えて、薄いノートPCを閉じた。

「行きたいです!行きたいです!来年は光先輩は社会人だし
きっと、大手とは名ばかりの夏休みもろくに取れないブラック企業でお盆時期も企業の歯車です!」
「桃花・・・縁起悪いこと言うな!」

白木はそんな俺たちの会話に大笑いで
「海に行きたいよな?」
「行きたいです!」
こいつはいつも桃花の味方をする。

「良いじゃん。海ぐらい」
そうニヤケて笑うけど、こいつは俺の考えが丸分かりの様で・・・
「それとも海に行きたくない理由があんの?」
「・・・」
性格悪い奴だな~

「え!光先輩泳げないんですか?」
「泳げるわ!」
「斉藤は泳げるのに行きたくないんだぁ~?なんで~?」

尚も白木は笑い続ける。

「俺、ドリンクバー」
そう言って席を立って、その場を離れると
白木は声を大きくして笑った。

「桃花ちゃん、斉藤は桃花ちゃんの水着姿をサークルのメンバーに見せたくないんだってさ」
「えぇぇ!」
「男心分かってやんなよ」

「余計な事言うんじゃねーよ」
白木は本当に一言多い。

「じゃ、じゃぁ、BBQならいいですかっ!」
「あ?」
「BBQなら一緒に行ってくれますか?」
「あー・・・」
「桃ちゃんは斉藤と思い出が作りたいんだよね?」
「・・・・」
「そうです!」
「いいじゃん。BBQなら。桃ちゃんの水着もみんなに見られないし」

白木はクックックと笑い続ける。

「お前さ?お前も本気の女が出来たら、今の俺の気持ち分かるよ」

「・・・・だといいな」

一瞬、寂しくなった雰囲気に
それに気が付かない桃花が
「それって、光先輩が私に本気だって事ですかっっっ!」
と言った一言で笑いに変わった。

お前も、いつの日か、本気の両想いの・・・彼女が出来たら分かるよ。
好きなオンナの肌は見せたくないってな。

「くだらないこと言ってないでレポートやれ」
「くだらなくないです!」
「レポート書け!」

そんな俺たちの会話を白木は笑いながら聞いていた。


END****





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# by ichigo-ichigo205 | 2018-06-28 14:45 | ・キスの後で… | Comments(0)

やっと次回作☆

皆様こんにちは。

先日、群馬と大阪に大きな地震がありました。
該当地域の皆様は大丈夫でしょうか?
まだ余震が油断ならないようです。
ご安全にお過ごしください。

やっと新作が書き上がりそうです。
残り数ページ。(最終章書き途中)

全7章連載になります。

題名は「恋のばんそうこう」です。

公開日(予定)は以下の通り
6/26:1章
7/1:2章
7/6:3章
7/11:4章
7/16:5章
7/21:6章
7/26:7章

梅雨の季節に少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
今日は夏至なんですよね~

ではまた変更がありましたら、ご連絡します。
いつもありがとうございます&宜しくお願いします。




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# by ichigo-ichigo205 | 2018-06-21 15:12 | 日記 | Comments(5)

心理テスト


「ねぇ。蒼くん。今から聞くことを正直に答えてね」
「いいけど・・・なに?」

里香が雑誌を持ちながら、真剣な顔をした。

「心理テスト」
「なんの?」
「・・・浮気願望」

何だそれ。

「だから!真面目に正直に答えてね!」
「・・・はいはい」

「じゃぁ、第一問!蒼くんの好きな場所は?」
「里香と行った場所すべて」

「・・・・第二問。蒼くんの好きな野菜は?」
「里香と食べた野菜」

「・・・好きな果物は?」
「里香と食べた果物」

「好きなデザートは?」
「里香と食べたデザート」

「好きな服装は?」
「里香が着ている服」

「ちょっと!真剣にやってよ!」
「正直に答えてるんだけど?」
「・・・・」

「ほら、次は?」
「嫌いな場所は?」
「ひとりでいる場所」

「嫌いな野菜は?」
「ひとりで食べた野菜」

「嫌いな果物は?」
「ひとりで食べた果物」

「嫌いなデザートは?」
「ひとりで食べたデザート」

「・・・嫌いな服装は?」
「里香に会えなかった時に着ていた服」

「きらいな・・・」
「里香」

「な、に?」
「ひとりでやった事は全部嫌いだ」
「蒼くん」
「俺をひとりにしないで」

「・・・しないよ」
「心理テストなんかどうでもいいから」
「うん」
「こっちにおいで」

俺は里香をギュッと抱きしめた。

END****





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# by ichigo-ichigo205 | 2018-06-13 14:28 | ・カウントダウン | Comments(0)

行ってきました!台湾旅行

皆様おはようございます。

無事に台湾から帰ってきました。

1日目:9時ごろ台湾到着。荷物をホテルに預けてさっそく市内観光。
まずは腹ごしらえ!いつもは行き当たりばったりの食事ですが
1回ぐらいは有名店で!と調べてあったショウロンポウの専門店へ!
鼎泰豊ではありません(笑)これは日本でも食べられるからね!

でも~・・・サイトで「美味しいショウロンポウ15選!」に入っていなかった・・・
本当に有名店か?私の選択!(笑)

が、めっちゃ美味しかったです!

3日間の旅行で3回ショウロンポウを食べましたが、このお店が1番私好みでした。
お店によってこんなに違うとは!

しかし、さすが私の選択!裏路もいいところ・・・迷いそうになったぜ!

そして目指すは龍山寺。路線図を見て地下鉄に乗って行きました。
台湾は地下鉄が本当に発達していて、しかも飲食禁止。
とっても綺麗でした!

b0308047_11283031.jpg
龍山寺はパワースポットとして有名なんですが、それよりも台湾の方はものすごく熱心にお祈りされていて
私も一緒になってお祈りしてきました。
お祈りの内容が「とにかく健康」になってきて、年齢を感じずにはいられません(苦笑)

入口でなっがーいお線香を1本頂き30センチ以上かなぁ?
それを持ちながら、お寺の中のいくつもの神様に参拝します。

その後は、龍山寺周辺にある小さいお寺を5~6個回りました。
龍山寺は観光客もたくさんいましたが
地元のお寺は観光客はひとりもいなく、結構危ない場所だった。

これは、こんなところをひとりで歩いてると分かったら母に叱られるな、と思いながら
チープな下町も満喫しました。

そろそろチェックインの時間なのでホテルへ行き、チェックインだけして
九分ツアーへ。

今回はフリーのひとり旅でしたが、九分だけは日曜の夜ということもあって
(土日はバスの制限が厳しいらしい)
ツアーに参加しました。夜だったしね。

いや~綺麗でした!ジ●リさんは否定していますが、本当にあの世界!
本当に夢の世界でした!

b0308047_11283920.jpg
そしてそのまま夜市へ。
活気あふれて、臭豆腐が臭くて(笑)
あ~台湾だ~!って感じで楽しくて楽しくて♪
帰りは、もちろん乗ってみたかったタクシーで帰りました。

2日目:この日は市内観光と決めていて朝早くに出発!
行天宮でお参りをし、総統府を見に行き、中正紀念堂で衛兵交代式を見て(これ有名ですが、衛兵の交代に30分かけるんだよ!)
故宮博物院で白菜と肉を見て(笑)、忠烈祠も見てきました。
そのほかに、ふらりと寄ったお茶屋さんで、色々話し込んで、日本からのツアー観光客と一緒にセミナーに参加させてくれました。

ひとりなので、興味のあるところに何時間もかけたり
本当に自由で、楽しかった!

夜は台北101へ!2010年まで世界最高の高さを誇っていた展望台へ夜景を見に行きました。
遅い時間はエレベーターも混んでいなくて楽ちん!(昼間は予約制らしい)
素敵な夜景でした~
b0308047_11283513.jpg

ひとりの初台湾にしては行きたいところは全部回りました!

そして夜中は全身マッサージ&足裏マッサージへ。
ドクターがやっているお店に行き、悪い場所を指摘してもらいました。
気持ち良くて痛かった。

3日目:この日は街中のフツーの台湾を満喫!
デパートを見たり、雑貨屋さんを見たり、スーパーを見たりしてお土産を物色。

旅行の3日間は台湾の地元料理を食べ、台湾ビールを飲んで、タピオカミルクティーなんか何杯飲んだ事か(笑)

次回の台湾は十分に行って、ランタンをあげて来たいです。
そして台北以外の地方に行きたい!

夢見心地で帰ってきて、羽田空港で始発が動くまでソファーで過ごして帰宅。
仮眠をとって出社しました。

とっても楽しい台湾旅行でした!




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# by ichigo-ichigo205 | 2018-05-31 12:01 | 日記 | Comments(2)

台湾旅行

皆様こんにちは。

急に5月末に仕事が2日休める事になったのが4月の半ば。

土日と会わせて4日!

こりゃぁ旅行に行くしかないでしょ!
と、母を誘いましたが
「え~仕事休めないわ」という
友人を誘ったら
「GWの月に有給なんか使えないよ!」という

まぁ・・・ごもっとも(笑)

友人が1日でも休めれば
土~月で京都でも良いかな?と思ったけど

誰もいけないなら、この際、
自分の行きたい所へ、行きたい日数、行きたいように行くか!
と、言う事で・・・

明日から台湾一人旅に行ってきます!

ものすごい強行突破の旅行です!
(友人と一緒なら計画しなかったかも)

土:夜に出国
日~火:自由行動
水:早朝帰国→荷物を家に置いてその後、出社(会社は半休)

水曜日がちょっと心配だけど(笑)
(この旅行日程を母に言ったら、その年で帰国日に出社!と呆れられた)

楽しんできます~♪

中国語、全く話せません~♪
行き当たりばったりです~!
(私の海外旅行、いつもこんなんばっか)

帰国したら報告日記書きます~!

では行ってきます!



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# by ichigo-ichigo205 | 2018-05-25 15:00 | 日記 | Comments(4)

おそろい


区役所に行ってもらって来た婚姻届にサインをする前に
花がメモ帳に新たな自分の氏名を書いていた。

「楠花。楠 花」

そこで少し、う~ん・・・と考えて
「ねぇ駿ちゃん。楠 花って変じゃない?」
なんていう。
え?いまさら何言ってんだよ!

「いや。凄く合ってる。
生まれた時から俺のお嫁さんになるのが決まっていたかのようにピッタリ!」

「そう?」
「うん。もう楠花以外の名前はしっくりこない!」
「そう?永坂花って気に入ってたんだけどな」
「え!変えたくないの?」
「ん~。そこまで強い思いはないけど」

「名字を変えるのがイヤなら、俺が永坂になる?」
「えっ!」

「そんなことほんとに小さいことだから!名字なんかどーでもいいから」
「でも駿ちゃん、お仕事とか困るんじゃない?」
「んなもん、どーにでもなる」

花屋で働いている私と違って、商社に勤めている駿ちゃんが名字を変えるのは
仕事上に支障が出たり、好奇な目で見られたり色々大変だと思うけど。

それでも小さい事なんて言い放っちゃう駿ちゃんは本当に心の大きな人だと思う。

「別に楠になるのがイヤって訳じゃないけど・・・
楠花、って名字も1文字名前も1文字で変じゃない・・・よね?」

「なんだ。花そんな事を気にしてたのかよ。
俺なんか生まれた時から楠駿だぞ」
「うん。なんか駿ちゃんはピッタリだからいいと思う」

「花だってピッタリだよ。生まれた時から俺のお嫁さんだな。
名字が1文字で名前が1文字なんて、俺とおそろい」

駿ちゃんは嬉しそうに私をハグしてキスしたけど。

夢ちゃんだって1文字の名前だし
駿ちゃんの弟の昴だって1文字じゃん

なんて事は、言わないでおいた。

ちょっとゴネてみただけ。

駿ちゃんと二人で婚姻届にサインをして。
私は、楠花になります。

END****








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# by ichigo-ichigo205 | 2018-05-15 14:59 | ・花の咲くころ | Comments(0)

朝凪×蛍 博之の想ひ


ナツ。
キミのことを想うこの気持ちをどんな言葉で言い表せばいいのだろう。

愛しくて、愛しくて
悔しくて、悲しい。

愛しているとそんな言葉じゃ軽いとさえ感じる。

キミを残して逝くことにどれほど悔しい思いをしただろう。

これから先、年老いて寿命を迎えることを信じて疑わなかった。
その年月を一緒に過ごして一緒に成長し
一緒に家族を作り、それを一緒に微笑む時間を過ごせると思っていた。

キミが俺以外のだれかを愛するのが許せなくて
ずっと君が一人でいればいいとさえ思った時期もあったよ。

でも、今は。
キミを支えてくれる男がいればいいと思っている。
1人で泣くキミを見るのはつらいよ。

キミを支え
キミを包み込み
キミの悲しみを半分にして
キミの嬉しさを共に笑える相手が。
そして俺と同じぐらい君を愛してくれる男が・・・

いつまでも泣いていてはいけないよ。

キミには笑っていて欲しいんだ。

その顔が大好きだったから。

その笑顔を引き出すのが俺じゃなくなったことは悔しいけれど
その役を、その隣を、信之に譲ろうと思う。

あいつは、ずっと昔からキミが好きだったんだ。

あいつに幸せにしてもらえ―――

俺が唯一、キミの隣を許した男だ。

きっと君を笑顔にしてくれるだろう。

でも。
願わくば。
たった1つの俺のわがままをかなえてほしい。

年に1日でいいんだ。
ほんの少しの時間だけ俺にくれないだろうか。

そうだな。
想い出すのは、俺の命日でもなく誕生日でもなく・・・
あの日がいいな。

高校1年のあの日。
その年の夏のにおいがしたあの日。
俺がナツに初めて好きだと告白したあの日。

ほんの一瞬でいい。
あの日に心を飛ばしてほしい。

俺だけのナツだった日を一緒に旅したい。

愛してるよ。
誰よりも。

幸せにしてもらえ―――

愛してるよ。


END****




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# by ichigo-ichigo205 | 2018-05-05 14:59 | ・蛍の想ひ人 | Comments(2)

朝凪×蛍 信之の想ひ


由布子さんと出会ったのは中学2年の時だった。
兄貴の彼女として紹介してもらった由布子さんは
クラスの女子なんかとは違って、いい匂いがした。

掃除の時、ほうきを持って「男子掃除しなさいよ!」と声を荒げるクラスの女子たちと
本当に同じ生き物なのかと疑いたくなるような女の子で。
年上なのに可愛いと思ったのが第一印象だ。

それでも少しでも一緒にいれば、兄貴を好きで好きでしょうがないって気持ちがダダ漏れで。
そんなところも、俺からすれば大人に見えた。

高校の制服を着てほほ笑む姿や
大学生になり、真夏に髪を持ち上げてうなじの汗をふく姿にドキドキした。

由布子さんはいつも兄貴だけを見つめていて
兄貴だけを好きだった。

兄貴が死んで・・・
由布子さんの心も死んだ。

去年まで兄貴と過ごしたクリスマスを由布子さんがひとりで過ごすにはあまりに酷で
俺はクリスマスディナーを予約する。
兄貴のいなくなった由布子さんの隣の席にこっそり座ろうとしていた。

俺のそんなこざかしい策を見透かしているのか、俺の誘いを笑って断る。
「信くん、私の事は気にしないで。
可愛い女の子と楽しんでいらっしゃいよ」

だからさ!
俺にとっての可愛い女の子は由布子さんなんだよ!

兄貴がいた時に、絶対に口から出せなかった言葉は今も出せない。

由布子さんにとって1番は兄貴で
兄貴しか愛してなくて
それは永遠に続くかのように思われる。

兄貴はずるいなぁ。
いつまでも由布子さんの心を握って離さないんだな。

俺はいつまで待てばいいんだろう。
俺はいつまで貴女を想っていればいいんだろう。
俺はいつまで・・・貴女を愛せばいいんだろう。

愛しても、愛しても愛しても・・・
報われない恋ならば。

いくら愛しても、貴女が振り向いてくれないのならば
いっそ諦めるのも・・・愛なのか―――

俺は最後の賭けに出る。

END****







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# by ichigo-ichigo205 | 2018-05-03 07:00 | ・蛍の想ひ人 | Comments(0)

朝凪×蛍 ナツの想ひ


「好きな人、出来たよ」

そんな私の嘘を見破るように博之は聞いて来る。

「その男に決めた理由は?」

どんな理由を挙げたって私の中で博之に敵う男はいない。
どんな理由にしようかと一瞬迷った時
ふと、先日博之の弟の信くんに言われた言葉を思い出した。

27歳になった信くんは今年・・・・
博之の年を追い越した。

「・・・10年以上、私と一緒にいてくれるって約束したから」

信くんはそう言って、私を背中から抱きしめた。

「・・・・そうか」

きっと博之は全部全部、全部気がついてる。
その言葉を言ったのが信くんで
少し前から信くんに告白されてる事。

そして―――好きな人が出来たって言う、私の嘘も。

それでも10年以上一緒にいるなんて
今の私には何よりも欲しい言葉で
信くんはそれを知りながら、私を抱きしめた。
10年以上一緒にいて。
でも、その言葉は言葉にならなかった。

寂しさで一緒にいてもらったとしても
信くんを博之の様に愛する事は出来ないから。

博之は私が好きな人が出来たって言わないと
いつまでもこの世をさまようことになる。

成仏して、欲しい。

亡くなった直後は、どんな理由でもどんな姿でも
例え1年に1度でも一緒にいたかった。
そばに居てほしかった。

でも、もう十分だよ。
その心を開放して、あげたい。

「これで、やっと成仏できるよ」

博之は全てを知った上で
私の気持ちも知って
そして、私のために成仏すると言ってくれた。

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

引きとめてごめんなさい・・・

この涙が枯れることなんてあるんだろうか。

博之を過去にする事なんて出来るんだろうか。

それでも私は博之の心を私から解放する義務がある。

―――あんなに愛してくれたんだから。

愛してるよ。
愛してる。

なにがあっても愛してる。

あいしてるよ、ひろゆき・・・


END****





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# by ichigo-ichigo205 | 2018-05-01 14:09 | ・蛍の想ひ人 | Comments(0)

「蛍の想ひ人」が賞を頂きました‼

皆さんこんにちは。
楽しいGWをお過ごしでしょうか?

さて「蛍の想ひ人」がpipiさんで賞を頂きました。
ありがとうございます。

と言っても今回は3作しかエントリーしなかったんですけどね~…

でも評を頂いたのでご紹介です


****


今回の作品『蛍の想ひ人』は、他の作品の登場人物とリンクしているので
より一層親しみを感じ、感情移入できました。

以前のあの話はこういうことだったのかと思う部分もたくさんあり、とても楽しめました。

また、登場人物ひとりひとりの心情もよく理解できる描写だったので、
読みながらすべての登場人物に共感できました。


新田くんの加賀くんを思う男の友情。
由布子さんの博之さんや、加賀くんに対する複雑な思い。
大好きなお兄さんに対する加賀くんの嫉妬心や、由布子さんへの愛情。
吉村ちゃんの加賀くんへの本当の思い。


登場人物ひとりひとりがとても魅力的で、
それぞれが誰かを思う気持ちがたくさん溢れていて、
読みながら切ないけれど、心が温まるお話でした。


小説を読んで涙したのは、この作品が初めてです。


いちごさんの書く小説はとても読みやすく、登場する人物の描写や情景描写がうまく書かれているので、
どんどんその作品の世界に引きずり込まれてしまいます。


これからも、素敵な作品を楽しみにしております。

本当にありがとうございました。


***

なかなか評を頂くことはないので嬉しいです。
また、運営さんはエントリー以外の作品も読んでくれてるのかな~?
なんて思ったり。


いつも読んでくださっているみなさんのおかげです。
ありがとうございました。




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# by ichigo-ichigo205 | 2018-04-29 13:04 | 日記 | Comments(4)

初恋

ゴールデンウィークの初日
昨日までずっと残業続きだった野口さんと
久しぶりにゆっくりとDVDを借りて来て観ている。

ソファーに座りながらのんびりと観る3本目のDVDは初恋をテーマにした映画で
6時間近く観ていればだいぶ疲れて来て首をぐるりと回した私に
野口さんは小さく笑って
「おいで」
と自分の足をポンポンと叩いた。

え?
膝枕してくれるって事?
それって普通は女の子がしてあげるんじゃないの?
多少の疑問を抱えつつ
それでも疲れた体勢を変えたくてお言葉に甘えて
長めのソファーにごろりと横になった。

「この初恋上手く行くのかな」
野口さんは私の髪をなでながら主人公の心配をする。

「チコちゃん、初恋はいつ?」
「小学生、かなぁ~?」
「そっか」
「野口さんは?」
「ん?俺?チコちゃん」

嘘ばっかり!
「それは嘘でしょう~!」
「本当だよ。嘘はつかない約束だろ」
「大人になって初恋って普通ないでしょ!」

「チコちゃんほど本気になった女の子はいないし。
チコちゃんより前に出会った女の子は全員忘れちゃったよ」

「・・・・」
このオトコは・・・・
たまに聞いてるこっちが恥ずかしくなるようなセリフを恥ずかしげもなく言う。

「俺の初恋はチコちゃんだよ」

そう言って私の手を握って持ち上げて
手首の内側にキスをする。

「超時間見て疲れたな。夕飯でも食べに行くか」
エンドロールが流れているなか
私の頭を膝に乗せたまま、野口さんはう~ん、と伸びをした。

「今日はゆっくりしたから、明日は出かけるか」
GWだからどこも混んでるかな・・・
呟くように、デートの行き先を考え込んで

「ずっと、この部屋でまったりで良いよ」
「ん?忙しくてあんまりデートに連れて行ってやれないから。
連休ぐらい外に行こうぜ」
「疲れてる癖に・・・」
「大丈夫だよ」

「私が、2人きりで過ごしたいの」

下から野口さんの顔を見上げて
そっと笑えば

「ほら。またチコちゃんに惚れなおしちゃった」

身をかがめて上を向く私にキスを落とす。

「いつまでたっても初恋から抜けだせないな」

そういって嬉しそうに笑った。


END*****







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# by ichigo-ichigo205 | 2018-04-26 13:34 | ・嘘つきは恋の始まり | Comments(0)

おかえり

響子が学生時代の友人の結婚式に出席するために横浜へ出かけた。

結婚式を真ん中に挟んで2泊して来いって言ったのに
結婚式の当日の今日、始発で横浜に帰りやがった。

たまには横浜の親のところで甘えてくればいい。
俺がいくら甘やかしたところで、それとはまた違うだろう。

久しぶりのひとりの夕飯に
「何食べるかな」
思わず出た声に、時間が経つのが遅く感じられた。

「そろそろあがるか」
日が傾いた頃、畑から腰をあげ
明日の天気を予測する。
「晴れか」
アイツ、明日は何時ごろ帰ってくるんだろう。
横浜に迎えに行ってやろうか。
そうだ。家に帰って迎えに行くと連絡しよう。

そう思い立った時、向こうから結婚式に出席した服のまま響子が駆けてきた。
「豪!やっぱり帰って来ちゃった」

ココに『帰ってくる』と思うオンナ。

「何?そのカッコで帰ってきたの?」
俺も気づかないふりして『帰ってくる』というフレーズを使う。

「着替える時間も惜しくて」
ココには不釣り合いの服を着て
ココでは歩きにくそうなヒールを履いて
ココでは誰もしていないような髪を結いあげていた。

「明日迎えに行ってやるって連絡しようとしたんだよ」
「え!そうなの?嬉しい。でも明日まで待ってられなくて」
「そうか」

厚手のビニールで出来た農作業用の手袋を外して汗をふく。
ビニールのはずなのに、指先は土で汚れていた。

いったいどこから土が入るんだか。

綺麗なカッコをした響子とは正反対で
土で汚れた服と手では、響子を抱きしめてやれない。

そんな俺の手を響子は両手で握った。
「おい。汚れるぞ」
「いいの。今日もお疲れさま。ひとりでありがとう。
凄く楽しかった。また明日から頑張るね」
そう言って俺の手を握る響子の指先は服や靴や髪型とは正反対に何も飾っていなかった。

「マニキュア」
「え?」
「マニキュア塗って行かなかったのか・・・」

綺麗にはしているが、飾っていない響子の手を見る。
「変?」
「変じゃないよ。綺麗だよ」
畑で働く手だ。

「俺と一緒に働く手だ」
「うん」
「帰るか」

帰ったらすぐにフロに入ろう。
綺麗に土を落として好きなオンナを抱きしめよう。

「綺麗だよ」
「えー。やだ照れるじゃん」
「愛してるよ。シンデレラ」

そう言ってそっとキスをする。
灰をかぶっても、土がついても
誰よりもきれいだよ。

「豪も」
「ん?」
「豪も誰よりもカッコいい」
「そうか」
「うん。結婚式に来ていた新郎の友人の誰よりもカッコいい」
「土まみれの手でも?」
俺は嬉しくなってニヤッと笑った。

「この手がカッコいい。
この手であの野菜が生み出されてるなんて凄いよ。
横浜でひょろっとした男性を見て
豪に会いたくなっちゃったから帰って来ちゃった」
「ふ~ん」
「豪は?豪も寂しかった?」
「あ?」
「だから!私がいなくて寂しかった?」
「寂しくねーよ」
「え~」

「恋しかっただけ」

そう言ってそっと響子にキスをした。

END****









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# by ichigo-ichigo205 | 2018-04-23 14:00 | ・田園シンデレラ | Comments(0)

武田紗江子健在!!

森川の娘の紗弥ちゃんが1歳を迎えたのでいつものようにお祝いにかこつけて飲み会をしようとしたら
「たまには家で飲まないか?」
と森川が誘ってくれた。

1年ぶりに見る武田さんは子供を産んだとは思えないような綺麗さで
秘書課に居た時と同じ笑顔で
「いらっしゃい」
と迎え入れてくれた。

紗弥ちゃんは森川に似ていて
悔しいけど可愛くて
俺も金子もちっちゃい森川にメロメロになった。

遊び疲れたのか、紗弥ちゃんは早く寝入って
俺たち3人は段々と酔って来た。

「紗江子さん。知ってますか?森川モテてますよ」
「あら。そうなの?」

「そうなんですよ。まぁこいつは前からモテてましたけどね」
「余計なこと言うなよ」
「いやいや。俺たちは紗江子さんに報告する義務があるから」

気軽に紗江子さん紗江子さんって呼び過ぎだよ。
と、森川のご機嫌はよろしくなかった。

俺たちはそんな森川が面白くなって
本来なら言わないような細かい事まで紗江子さんに告げ口していた。

「この前のバレンタインだって総務の新人の子が居酒屋でこっそりあげてました」
「あら」
「社食はいつもコイツの周りは女の子なんですよ」
「そうなの?」
「海外の新人で森川のサブになった女の子が可愛いんですけどね」
「うん」
「どうも森川に気があるみたいなんですよね~」
「そんな事ねーよ!」

「そういえば・・・・加藤君、彼女の上野さん。会社で受けたセミナーの後にバーで会って惚れたのよね?」
「・・・・はい?」
「その後に横浜ホールディングが合併の時のプレスリリース等のイメージ戦略を上野さんの会社にお願いするように常務に推薦したのは私よ?」
「え・・・・」
「もちろん初期の窓口は私。先方の担当者を上野さんに指名したのも私よ」
「・・・・」
「確か、それがきっかけで付き合いだしたのよねぇ?」
「・・・・」

「金子君」
「は、い」
「山梨研究所の三田所長はお元気?」
「は、い。元気です」
「そう。私、彼とは同期なんだけどね?」
「・・・・」
「彼、若いのに所長でしょう?」
「そうですね」
「彼が所長になる時にほんの少しだけ貸しがあるの」
「・・・・」
「そのために、三田君がこっちに出てくるといまだにランチに誘ってくれるんだけど」
「・・・・」
「金子君、今度新しい研究プロジェクトのチーフに立候補してるんですって?」
「はい」
「あのプロジェクトのチーフが出来たら業界でも名前が上がるわね~」
「そうです、ね」
「決定権限は・・・確か所長の三田くんよね?」
「そうです」
「ふふふ。頑張ってね」
「・・・・」

「そうだ!2人にお願いがあるの!」
「・・・・なんでしょうか?」
「ツカサは前からモテるし、私が見てもカッコいいわ」
「・・・・はい」
「それとな~くでいいの。ツカサが浮気しないように見張っててね♪」
「・・・・はい」

「あっはっはっは。紗江子さん、俺は絶対に浮気なんかしないよ」
「うん。信じてる」

紗江子さんつえ~・・・
退職してもなお、社内情報把握してるし!
ツテの先が半端ねぇ・・・

俺と金子はそっと目配せをした。


END*****









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# by ichigo-ichigo205 | 2018-04-16 14:34 | ・横浜ホールディング | Comments(0)

韓ドラ・ラグビーW杯

皆様こんにちは。

横浜はすっかり桜も散って春なんですが
朝晩は涼しいかな。
日中との寒暖差が激しいので皆様ご自愛ください。

さて、先日の日曜日
韓ドラを久しぶりに一気観しました。
10話分ね・・・長かったわ~
残りはまた今度。

あれは一気に観たいけど
一気に観ると疲れるよね(笑)

何か面白い韓ドラがあったら教えてくださいね。
あ~。でも長くても30話までぐらいが希望です・・・
トンイは長かった・・・(泣)

さて、2019年のラグビーW杯の開催地先行予約が終わりました。
申し込みました。
いったいぜんたい横浜は何倍なのか・・・
考えたくもないな~

割とくじ運は良いんですけどね。

そして先日は久しぶりにサッカー観戦に行ってきました!
楽しかった~!
3時間立ちっぱなし、歌いっぱなし、飛び跳ねっぱなしで
お局様の体力の限界を超えていました・・・
でも勝ったので良し!

もうすぐGW!
皆さんはどんなご予定ですか?



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# by ichigo-ichigo205 | 2018-04-13 07:04 | 日記 | Comments(0)

甘い朝

神戸に引っ越して来る時、三浦さんは2日休みをとってくれた。
土日を入れて4日。
三浦さんは至れり尽くせりだった。

もともと節約していた独り暮らしに大した家具はなくて。
大型の電化製品は全部リサイクル屋に売ってきたし
1番多い荷物は洋服だったけど、それは宅配便で送った。

三浦さんが「勝手にきめてもぉたけど」と言ったマンションは
三ノ宮駅から程近く、通勤に便利な場所で
「俺は海外時間に合わせる事も多いし会社の近くにしてん」
と言っていた。

私は仕事もまだ決まっていないし、土地勘もないから
三浦さんが住みやすいところ でいい。

「お帰り」
三浦さんは新神戸の駅でそう言って私を迎えてくれた。
「いらっしゃい」でも
「ようこそ」でもなく

「お帰り」だった。

一緒に食器を買いに行って
一緒に雑貨を買いに行って
一緒にそれらを部屋に並べる。
一緒にスーパーの位置を確認して
一緒に買い物をする。

結婚したわけでもないのに、同棲って不思議な感じ。

休みが終わって、今日から三浦さんが出社する時
朝ごはんを作って、玄関までお見送りに行く。

「今日ははよ帰ってくるから」
「でもお休み 明けだから。無理しないで」
「これから先、ずっとはよ帰られへんかもしれんし今日ははよ帰ってくるわ」
「分かりました」

「私も落ち着いたら派遣に登録するので」
「急がんでええよ」

「あんま無理すんなよ」

「え・・・」
「ただでさえ環境ががらりと変わったんやし。
真美ちゃん一人ぐらい俺、養えるから。でも結婚してへんのにそれはイヤなんやろ?」
引っ越してきた日の折半にしましょうと言った私の言葉を笑った。

「イヤ・・・です」
「うん。ちゃんと分かっとぉ。でも急がんでえぇ」
「はい」

「真美ちゃんの事は俺が守るから。安心して」

朝から・・・
朝からこのオトコは玄関で恥ずかしげもなくそんな事を言う。

「真美ちゃんが神戸に一生おってもえぇと思えるようになったら
ちゃんとプロポーズするから」
「・・・・はい」
「それまでは神戸を好きになる事だけを楽しんでくれたらえぇから」

三浦さんは嬉しそうに、笑いながら片目をつぶった。

「・・・・はい」
「じゃぁ行ってくるわ」

その言葉は『同棲』が始まったんだと改めて私に感じさせた。

三浦さんは背をかがめて私にそっとキスをする。

その行為に少しボーっとした私に

「スッピン、可愛いな」

と笑いながら出かけて行った。
「いってらっしゃ、い」

パタンとドアが閉まった。

END****







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# by ichigo-ichigo205 | 2018-04-06 12:51 | ・素肌のままで | Comments(2)

ありがとう


時間どおりに店のシャッターをガラガラと下ろしていると
店の前にある自販機から「ガラン」と缶が落ちる音がした。

「毎度」

そう言いながら自販機の方を見ると麻子で
ビックリしている俺をよそに、もう1本ビールを買った。

「何?海外行ったんじゃないの?」
「里帰りよ」
「ふ~ん」
「仕事終わったんでしょう?奢るわよ」

そう言って、今自販機で買った缶ビールを1本よこした。

「・・・・サンキュ」

店の横路地にあった形の違う椅子を2脚持ってきてエプロンを外して軽くふいて麻子に渡した。
麻子は小さく笑ってそれに座る。
俺ももう1つに腰かけて、ビールのプルタブをプシュッと開けた。

先に栓を開けて待っていた麻子と缶を合わせて乾杯した。
まさか麻子と2人で飲む日が来ようとは思わなかった。

「レンはまだ結婚しないの?」
「もう少し、な」
「ふ~ん」
「麻子は?上手く行ってんの?」
「愛されてる」
「あっそ」

「そして、私も愛してる・・・」
「・・・それはよかったな」
「・・・うん」

「麻子さぁ、前ハルトに・・・・
俺が梨乃の事を好きだってばらしただろう?」
「どうだったかしら」
「前にハルトから電話がかかってきた」
「へぇ」
「それで、決心して梨乃に連絡をとる事にしたんだ」
「ふ~ん」

疲れた身体にビールがしみる。

「ありがとうな」
「・・・・」

「ずっと言いたかったんだ」
「電話をしたのはハルトよ」
「ハルトにはもう言ったよ」
「・・・・」

麻子と会う日は月が良く映える。
こいつが結婚する前に会いに来た夜も月が綺麗だった。

「俺が梨乃を好きだって、どうして分かった?
ハルトさえ気が付かなかったのに」
「・・・・」

麻子はじっと月を見てゴクッとビールを飲んだ。
静かな夜にその音は響き渡った。

「レンはいつも切なそうに梨乃ちゃんを見ていたわ。
そのしぐさと、視線が、梨乃ちゃんを好きで好きでたまらないって感じだった」
「・・・・」

「私を許せない顔で見て、梨乃ちゃんとハルトを応援してたのよね」
「・・・・」
「いつもじれったかった。梨乃ちゃんを奪えばいいのに。
そうしたらハルトが私のモノになるのにってずっと思ってた」
「・・・・」
「意気地無しだって思ってた」

「その通りだよ」

「違うわよ。私たちの中で1番大人だったのはレンよ。
梨乃ちゃんを1番に考えて。梨乃ちゃんをそっと見守って。
それがレンの愛なんだよね」

「でも、麻子にはばれてたんだろう?」

学生時代の青い思い出が照れくさくて
少しふざけた口調でいえば

「バレバレよ」

麻子は月の光に包まれてそう笑った。



 しのぶれど色に出にけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで

――恋心を誰にも知られないように秘めてきたが表情には出ていたらしい
    悩んでいるのかと人が尋ねる程に――
(百人一首 40)






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# by ichigo-ichigo205 | 2018-04-04 13:00 | ・好きと言って | Comments(2)

授賞式


その日、山田が持ってきたネットのプリントアウトを握りしめてマンションに帰った。

「大川さん!!」
「どした?」

「ねぇ!グッドデザイン賞!受賞したんだって?」
「・・・早いな」

午後1番で発表されたその賞は、国内で有名な賞で
「授賞式に行きたい!」
私はリビングでこう叫んでいた。

「良いけど、陽菜が俺と公の場に出かけたいって言うなんて珍しいな」

大川さんとはなるべく公の場に出ないようにしている。
結婚しているわけでもないのに
同じような業界の力のある男と出かけて、いち会社の会社員として
変な目で見られたくないからだ。

口さがない連中は、私が大川さんに媚を売っていると噂する。
オンナの力で、仕事を融通してもらっているとも言われた事もある。

半田にどれだけ女子力がないか知ったら、あいつらぶっ飛ぶだろうな。
なんて野口は言ってくれるし

大川さん、家事全部やってくれてるんだろう?仕事してるのにな・・・
なんて楠は気の毒そうに言う。

山田に至っては
大川さん、選ぶ女を間違えたとしか言えねぇ。
と呆れてる。

私が色仕掛けで男を捕まえられるはずがない、と3人は笑い転げる。

私はそんな3人にいつも救われてる。

私と一緒に公の場に出ると大川さんにも迷惑がかかる。
だから、私は同伴を避けているんだけど
仕事を始動した大川さんは色々な場に呼ばれる事も多く
また国内外で沢山の賞を受賞した。

はっきりとイヤだと言った事はないけど
私の気持ちをそっと分かってくれて
大川さんは色々な場に独りで出席するようになった。

「今年のグッドデザイン賞は私が注目していたモノが賞をとったのよ!」
「へ・・ぇ」

「やっぱり取ると思っていたのよねぇ~」
「そうなんだ」

「こんなデザイン奇抜だもん!」
「な・・ぁ?」

「なに?」
「陽菜はそのデザインが好きな訳?」
「誰でも好きだと思うけど?」
「俺のデザインより?」
「え?」

「陽菜はさ?俺のデザインがこの賞をとるって思ってた?」
「・・・・」
「思ってないよな?でもその賞は取ると思ったんだ?」

俺はジリジリとソファーに陽菜を追い詰めた。

「お、おかわさん?」
「俺は陽菜を大好きで、陽菜の分の家事をやるのもいとわないよ」
「う、うん。ありがとう」
「陽菜が結婚していないのに俺の同伴者になるのを嫌がるのを知ってて
今回の授賞式も独りで行こうと思ってたよ」
「うん・・・」

「なのに!俺のためじゃなく、他のやつに会いたいから
授賞式に連れて行けって、陽菜ちゃんそれはひどくないか?」

グッと、陽菜の背中をソファーに押し付けて
手首の自由を奪い去る。

自分のイライラした気持ちを抑えられない。
陽菜が帰ってきたら、この賞を受賞した事を伝えて
2人でお祝いをしようと思っていた。

受賞式に2人で出席できなくても
家で2人でお祝いすればいいじゃないかと思っていた。

それなのに、他の奴の受賞を見たいから連れて行けって、
いい加減俺の立場は何なんだよ。

「ごめん。でもこの絵が好きで・・・」
陽菜は俺のデザインをそこまで好きだと言ってくれた事はない。
同業としてお互いに仕事には一線を引いていたからだ。

分かってる。分かってる・・・

「あぁ、そうかよ」
まさか、同じデザイナーにココまで才能で嫉妬するなんて思ってもみなかった。
いつも嫉妬される側だった。
女の一言で見たこともないデザインに心から嫉妬する。

たいした女だよ。陽菜。

「お、大川さんも好きになると思うよ!」
同業者のデザインを尊敬はしても好きになる事なんてなかなかない。

「ならねぇよ」
まして、好きな女がココまで惚れているデザインを素直に好きになれる程俺は単純じゃない。

「でもほら!見て?」
俺に拘束された手のひらの中で
ぐちゃぐちゃにされたA4のコピー用紙には
今日受賞が発表されたデザインがあって

「ほらこれ!」
と陽菜はそのうちの1つを指差した。

「・・・・」

「ね!!!」
「・・・・陽菜ちゃん、これ?」
「これだよ!」
「もうさ~発売からずっと気になってたんだよね!」
「へ~・・・」

「買いたいけど、必要はないじゃん?」
「そうだな」

「ちょっとデザインした人に会いたくない?」
「会いたいな」
「でっしょ~?」

「ね?ドレス買っていい?」
「あぁ、買ってやる」
俺はソファーに追い詰めたままの陽菜にキスをした。

「うれしい!ありがとう!」
まぁ・・・いいか。
どんな理由でも、陽菜が俺と久しぶりに公の場に腕を組んで同伴する気になったんだ。

ありがとうな、うんこドリル・・・

「うわ!大川さん!今日ごちそうじゃん!」


END******







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# by ichigo-ichigo205 | 2018-03-29 14:44 | ・出会いは必然に | Comments(2)

俺だけのひよこちゃん

美鈴と仕事帰りのデートの約束をした日の午後
急に外食営業とシステムの打ち合わせが遅くまで伸びる事が決定した。

社内メールで美鈴に知らせようと思った矢先
廊下ですれ違ったのでその事を告げる。

「美鈴、今日外食営業と打ち合わせが終わらない」
「あ、そうなんですね」
「近いうちに埋め合わせするから」

そう言った俺に美鈴はくすくす笑って
「埋め合わせなんて。大丈夫。仕事なんですから」
「あ、あぁ」

お互いの目的の方向に歩きだした時に
「あ!」
と美鈴が振り向いた。
「安達さん、予約入れてくれてたんですよね?」
「あぁ」
「私がキャンセルしておきますね」
「え、いいよ。俺が電話するよ」
「良いですよ。仕事忙しいんでしょう?」
「・・・・」

書類を抱えた美鈴がもう新人には見えなかった。

「少しは私に頼ってください」
そう笑って、俺のそばまで小走りで戻ってきた。
「ネクタイ。少し曲がってますよ」
キュッと俺のネクタイをまっすぐにして、ローヒールで先を急ぐ。

「安達さん。午後の打ち合わせだけど」
と、外食営業の石島さんが声をかけてきた後
「ん?」
と、口角が上がった俺に不思議な顔をした。

「何かいい事があった?」
「いえ・・・ひよこも白鳥になるんだな、と思って」
「?・・・なにそれ、IT用語?」
「ま、そんなもんです」

「ふ~ん。で、打ち合わせの会議室なんだけどな」

いつまでも俺だけのひよこで居るはずないか。
仮にも経管だもんな。

「第3会議室でお願いします。あそこがスクリーンの状態が1番いいはずです」
「分かった」

END****




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# by ichigo-ichigo205 | 2018-03-26 12:55 | ・5センチの景色 | Comments(0)

似た者同士②

「探偵く―ん」
「何ですか?」
「美咲ちゃんと別れたんだって?」
「・・・・早いですね」
「まーね~。経管ですから」

野口さんは人の恋地に首を突っ込むのが好きだ。

「おい!探偵君、井上さんと別れたのか?」

楠さんも早いですね。まぁ経管ですからねっ!

「探偵くん!今受付で美咲ちゃん食事に誘われてたぞ!」
「え・・・」

山田さん、それは俺が知りたくない情報です・・・

「あの人確か既婚者じゃなかったかな?」
既婚者・・・?

「あ、俺も見たぞ。すげー良いレストランに誘ってた」
「マジで?店の名前で誘うなんてイヤなヤツ」

「お前謝っちゃえよ」
「だな、早い方がいい。謝れ」
「今行って来い!奪い返して来い!」

「男が意地張ったってイイ事ねーぞ」
「それは言える」
「お前美咲ちゃんに不満あんの?」
「気が強いです」

「はぁ?んなもん上手くなだめろよ」
「お前男だろ?」
「美咲は凄い気が強いんですよ!」

「それでも―――だ」

「好きなんだろ?」
「お前に素直にわがままが言えてるって事じゃん」
「取り繕ってないって事だよ」

「お前が謝れ」

3人は一貫して、俺に謝れという。
美咲の気が強いのは素直な面と紙一重だという。

「あの男と食事に行ってもいいのか?」
「お前がいないところで美咲ちゃん酔うんだぞ?」
「井上さんがどれだけ可愛いかちゃんと認識してるか?」

「・・・・ます」
「あ?」
「今からちょっと受付に行ってきます!」

「おぅ!」
「しっかり取り返して来い!」
「美咲ちゃんに好きだってちゃんと言って来い!」

俺はエレベーターが来るのももどかしく
エントランスに降りて行った。

そこには秘書課の武田さんと常務がいて、村松さんと話していた。

俺はその3人に聞こえないように
「美咲、ちょっと」
「なに?」
「良いから。ちょっと」
「なによ!仕事中なんだってば」

「良いからちょっと来い!」
「やだ。言いたい事があるならココで言いなさいよ」

「あ~・・・もう!」
俺はいつまでも思い通りにならない美咲に舌打ちした。
「エントランスで舌打ちしないでよ!」

「お前さ?今誰か既婚者の男に食事に誘われてただろ?」
「え?」
「断った?」
「なんで・・・山崎には関係ないでしょ」
「あんだろーがよ」

「なんでよ!」
「お前が好きだからに決まってんだろ!
お前が他の男と食事に行くのを知っててわざわざ見逃す程バカじゃねーよ」
「・・・」
「愛してんだよ。分かんだろ?」

「分かんない、よ」
「何で分かんないんだよ。こんなに愛してんのに」
「言ってくれなきゃ分かんないよ!」
「感じ取れよ!でも感じ取れないなら毎日でも言ってやるよ。
お前を愛してるよ。美咲。だから他の男と食事なんか行くなよ」

シン・・・・ッ

とエントランスがなったのが分かった。

ハッと我に返ると
武田さんが笑っていて
「常務。私たち勝手に舞台に上げられたようです」
と、吹き抜けになっているエントランスの2階の廊下から
ニヤニヤしながらこっちを眺めている3人を見上げた。

「あぁ。なるほどな」
常務も苦笑いしていて

「山崎、今井上さん『たち』を食事に誘っていた既婚者の男は俺だ」

は?

「お昼休みに3人が常務のところに来て
たまには秘書課の女の子をねぎらったらいかがですか?ってわざわざ言いに来たのよ」
「・・・・」
「確かに秘書課は忙しくてなかなか懇親会とかできないから。思い切ってやろうという話になって」
「武田さんが調整をとってくれる事になったんだが、3人がたまには秘書課の仕事ぶりをねぎらうとともに
俺にも一緒に行けというから、それもそうだと思って来たわけだ」
「あの3人が『今行った方がいい』ってやけに勧めてきてね」
「山田がココにいたんだけど、いつの間にかいなくなったな。アイツ」

「先輩たちがすみません」

2階の廊下にすでに3人の姿はなくて
エントランスは通常の動きとざわめきが戻っていた。

「いや。いいものが見れた」
「常務、若いころを思い出します?」
「まぁ、俺はもう少しスマートだったけどね」

なんて笑いながら常務と武田さんは秘書課に帰って行った。

「こんなところで大声出して・・・恥ずかしい奴!」

美咲は顔を真っ赤にして、拗ねていた。

「しょうがないだろ。好きなんだから」

開き直ってそういえば、隣の村松さんが声を我慢して笑いだした。

「お二人とも素直なんだか素直じゃないんだか・・・
似た者同士ですねぇ」

「似た者同士・・・」

俺たちは似た者同士。

「似た者同士ね。俺が美咲を愛してるのと同じぐらいお前も俺の事、愛してる?」

「知らない!!」

美咲は耳まで真っ赤になっていた。


END*****




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# by ichigo-ichigo205 | 2018-03-23 14:25 | ・乙女☆大作戦 | Comments(0)

似た者同士①


「お前、なにイライラしてんの?」
「お前って呼ばないでよ!」
「・・・美咲ちゃん、何イライラしてんだよ?」
「あんたに関係ない!」

「お前さぁ。俺に『お前』って呼ばないでって言っておきながら
自分は俺の事『あんた』って呼ぶのな。それやめろよ」
「はぁぁ?なに自分の事棚に上げてんの?」
「・・・・」

「その言い方、ほんと嫌い」
「ったく。素直じゃねーな」
「素直じゃなくて悪かったですね!
あ~ぁー。山崎は素直な可愛い子が好きだもんね?」
「なんだ?それ」
「総務の女の子が『わざわざ』私に言いに来たわよ。
経管の山崎さんにぃ~凄く優しくしてもらいましたぁ~って」

美咲はわざと甘えたような声を出した。

「重い荷物を持ってもらっちゃってぇ~重くて大変だったんです。ありがとうございましたぁ~って言ったらぁ~
素直にお礼の言える子はイイネってぇ~優しく笑ってくれたんですケどぉ~
井上さんは山崎さんに素直にお礼言わないんですかぁ~?
って!!何でわざわざ受付まで良いに来るのよ!あの子!!」

「あぁ」
昨日、総務の子が重そうな荷物を持ってたから持ってやったんだっけ。

「それってヤキモチ?」
何気なく言った言葉が、美咲をさらに激怒させたらしい。
「は?ヤキモチ?私が、あんたに?
まさかっっ!!!仕事中に知らない女にいちゃもん付けられてイラついただけよっ!」
「いちゃもんって・・・」
「いちゃもんでしょうが!仕事とは一切関係ないからね!」
「かもな」

こうなると美咲は手がつけられない。

「もう、別れよ」
「え?」
おいおい!話しが飛び過ぎだろう!
「もうさ~。社内恋愛疲れた」
「なんだ?それ」
「みんなに冷やかされたり、勝手にライバル視されたり、いちゃもん付けられたり」

んなもん・・・
俺だって、露骨に飲み会でヤロー達に受付嬢の優しい対応を自慢されるぞ?

「お互いそんなに好きじゃないのかも」
「何だよそれ!」

お互い?
俺は美咲を大事にしてるけど全く伝わってないって訳?
美咲はそもそも俺の事そんなに好きじゃないって訳?
なんだよ・・・それ!

「あ~。そうかもな」

売り言葉に買い言葉

「とにかく冷却期間を置こうぜ!」
「だね!」

そうして俺と美咲は冷却期間という名の『お互い無視』期間に突入した。





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# by ichigo-ichigo205 | 2018-03-22 15:07 | ・乙女☆大作戦 | Comments(0)

往年のスター


久しぶりに経営管理にイイ男が入ってきた。
しかも3人も。

そのうちの一人は主任になるとすぐに結婚してしまって
女の子たちのターゲットからは外れたけど
イイ男には違いない。

残りの独身の二人はそれは女の子たちに人気で
「ツートップ」なんて呼ばれている。

職場は、確かに仕事をする場だけど
華やかな目の保養があってもいいじゃない。
私はそう思う。

「野口さんって素敵よね」
「山田さんだって」

若い子たちが休み時間やお茶の時間にそんな事を話すのを聞くと微笑ましくなる。

「吉村さん、野口さんや山田さんや楠さんが入社する前って誰が人気あったんですか?」

そう聞いて来る女の子たちの言葉に
私はふと意識を昔に飛ばした。

「常務と、経管の部長かしらね」

「あ~!あの二人ですか!」

納得!というように揃いも揃って首を縦に振った。

「どんなだったんですか?」
ワクワク!という表情を隠しもせずに聞くその顔を若いなぁと思いながら
私は25年前を思い出す。

「イイ男だったわよ。新田くんも加賀くんも」
「おお~!常務も部長も君付け!!」

「2人で花金に会社のエントランスからタクシーに乗って遊びに行く姿は有名だったわね」
「花金!」

「山下にある横浜ベイサイドがお気に入りだったみたいよ」
「ベイサイドですか!聞いたことあります!」
「そう?クラブじゃなくてディスコって呼ばれていた時代だったわね~・・・」
「ディスコ!!」

「新田くんは正統派ね。彼女以外にはなびかないで一途だったわね」
「今でもそうですよね!常務は奥さんを愛してるって感じ!」

「加賀くんは・・・」
「部長は?」
「・・・・」

「加賀くんは、モテてね。来るもの拒まずで色々な女の子と綺麗に上手に遊んでいたわね」
「へ~!部長、遊んでたんですねっ!」

「でも・・・」
「?」
「でも、本命の彼女が出来てから、ピタッとやめたわね」
「へ~!」
「遊んでいたのは、その彼女が振り向いてくれなかったから、だったらしいわ」
「え~・・・加賀部長そんな恋をしていたんですね!」

「男の色気があってね。どの女の子にも優しくて、イイ男だったわよ」
「へ~!」
「吉村さん、加賀部長の事好きだったんですか?」

「・・・・ちょっとね」
「おおおぉ~!」

「さ。仕事しましょ」

ちょっとね。

そんな話をした数日後の帰社時刻、得意先から帰ってきた加賀くんにエントランスで鉢合わせした。

「吉村ちゃんお疲れ。今帰りか」
「加賀くんもお疲れ様」

この前の話が頭に残っていたのか、昔の呼び方をした。
「その呼び方懐かしいな」
そう言いながら、変わらない笑顔で笑いかける。

「なんか、ここ数日、若い女の子に俺人気なんだけど。吉村ちゃん理由知ってる?」
ほんの少し困ったような顔でそう聞くけど。
そういえば私の話を聞いていた女の子たちが言いふらしていたっけ。

「さぁ?加賀くんはいつも人気者じゃない」

「ふぅん。まいいか。気を付けて帰れよ。お疲れさま」

変わらぬ魅力に変わらぬ罪なオトコ。

昔、ちょっとだけ好きだったオトコ―――


END****


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# by ichigo-ichigo205 | 2018-03-20 12:33 | ・蛍の想ひ人 | Comments(2)

最大の魅力 最大の罪


社内で1番モテて1番女遊びが激しいのは経管の加賀さん。
同じ経管の新田さんもモテるけど、女の子の誘いには乗らないし反応もイマイチ。
真面目なんだよね。

加賀さんは話していても楽しいし、女の子を楽しませる事を知ってる。
女遊びが激しいと言っても別に彼女がいる訳じゃないし
加賀さんと遊んでいる子はみんな加賀さんの1番になりたくて
それでもなれない事を肌で知ってる。

加賀さんは女の子を贔屓しない。
容姿で贔屓をする男が多い中で、加賀さんは誰にでも同じように優しい。

私たちみたいな地味な事務員にも優しく接してくれる。
それが彼の最大の魅力で、最大の罪なんだと思う。

そんな加賀さんが近頃、女の子のお誘いをことごとく断りだした。
本命が出来たと噂だ。

「ねぇ。本命が出来たってほんと?」

そんな時、3階の給湯室にお茶っぱの補充に行った時に、誰もいない廊下で小さな声が聞こえてきた。

「ほんと」

顔は見えないけど、加賀さんの声は弾んでいて
嬉しそうに短くつぶやいた。

「この会社の子?」
「いや」
「そうなんだ。どんな子なの?」

「蛍が・・・」
「蛍?」

「そう。蛍が愛して愛して、愛してやまない女」
「・・・・?」
「やっと、俺だけのものになったんだ」

蛍?誰かの名前なのかな?

「加賀くん、本気なの?」
「本気じゃなかったら手に入らなかったよ」

「じゃぁ・・・もう誘わない方がいい?誘っても無駄?」
「楽しかったよ。ありがとう。キミが本命の男に出会える事を祈ってるよ」

「もう!ばか!私の本命は加賀さんだったのに!」
「ごめんな」

「その女とダメんなったら連絡してよね!」
「あっはっはっは。分かった」
「大好きだったんだからね!」
「ありがとな」

一緒にいる女の人は誰だろう・・・
パタパタと長い廊下のカーペットの上をヒールで走り去るのが聞こえた。

フー・・・

思わぬところに遭遇してしまった。

「で?」

急に頭上で聞こえた声にビックリする。

「キミは総務?立ち聞きはよくないな~」

苦笑いしながら私の肩をぽんと叩く。

「す、すみません」
「あ~・・・給湯室の補充か」
私の手の中のお茶っぱを見てつぶやいた。
「はい・・・」
「邪魔したのは俺か。ごめん」

「いえ」

「今のはナイショな」
「・・・はい」

私に向けたウインクがやけに色っぽくて。
その笑った顔が可愛かった。

年上の加賀さんを可愛いなんて変だけど。

加賀さんに・・・
本気の彼女が出来たとしても。
彼の魅力と罪は色褪せない―――


END****






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# by ichigo-ichigo205 | 2018-03-19 14:46 | ・蛍の想ひ人 | Comments(0)

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