姉妹のナイショ話

懸賞 2015年 05月 03日 懸賞

「夢ちゃん。今日一緒に寝てもいい?」
「花。良いよ。一緒に寝よう」

今日、夢ちゃんが篠塚さんとのデートから帰ってきて。
篠塚さんにプロポーズされたと教えてくれた。

あたしにその事を話す夢ちゃんはものすごく幸せそうで。
「駿ちゃんの事は?」なんて聞けなかった。

「夢ちゃん。寝た?」
「寝てないよ」
「篠塚さんの事おめでとう。夢ちゃんが幸せそうで本当にあたしも嬉しい」
「うん。ありがとう」

夢ちゃんはベッドの中で向きを変えてあたしをにこにこしながら見つめた。

「花。花は周りの人をその笑顔で幸せにする力があるんだよ。
普通の会社勤めがいやなら他で働いてもいいんだよ」
「・・・・」

夢ちゃんはあたしがシュウカツで四苦八苦しているのを知ってる。

「みんな。お父さんもお母さんも夢ちゃんも駿ちゃんも篠塚さんも・・・
普通に会社で働いているのに。どうしてあたしには出来そうにないんだろう」
「花。普通なんてないんだよ。良いんだよ。自分の好きな仕事をして」
「夢ちゃん・・・」

夢ちゃんは小さいころからいつもあたしの味方だった。

「夢ちゃんが結婚したら寂しいな」

小さく流れた涙は枕の布にスッと吸い込まれた。

「私が篠塚さんと出会ったように、花にも素敵な人が現れるよ。
きっと誰よりも花を大事にしてくれる」
「・・・・うん」

「夢ちゃん。駿ちゃんの事はもう良いの?」
「駿?う~ん。本当はまだダメなのよ?主任になってないから。
でも篠塚さんにも、駿を応援しろって言われてるしなぁ~」
「?」
「花!ここらではっきりさせたいの!花は駿をどう思ってるの?」
「え?え?え?」

夢ちゃんは今までゆったりとした空気の中で、まどろんでいたのに
急にガバッと起きだして、あたしに問い詰めた。

「駿を男として好き?嫌い?」
「男として?」
「そうよ。幼馴染の隣の駿ちゃん、じゃなくてオトコとしてよ!」
「・・・・・すき」
「え?好きなの?」
「・・・・うん。今まで言えなかったけど・・・」

「男として好きなの?」
「うん」

あたしもガバッと起きて夢ちゃんと向かい合った。

夢ちゃんはしばらく独り言をぶつぶつ言って
何やら考えているようだった。

「本当に好きなの?あの駿よ?あの駿を好きなのね?」
「うん。好き」
「あの駿よ?間違えてないよね?あの駿のことだよ?」
「うん。駿ちゃんが好きなの」
「・・・・」

夢ちゃんは笑いながらあたしの髪をくしゃっとして
「モノ好きな子ね!」と笑った。

「私に任せておきなさい。同棲させてあげるわ」
「・・・え!」
「一緒に住みたいでしょ?花は料理が得意なんだから。
バカみたいに仕事して疲れてる駿にご飯を作ってあげたら
あんな奴イチコロよ!」
「そうかな?」
「そうよ。あんな単純な奴。美味しいご飯ですぐに花のモノになるわよ」
「そうかなぁ・・・?」

「お姉ちゃんに任せなさい!」

あたしたちは昔から名前で呼び合っていた。
夢ちゃんが自分の事を「お姉ちゃん」と呼ぶ時は何か企んでいる時だ。


それから。
夢ちゃんと篠塚さんは結婚式を迎え。
あたしは夢ちゃんのシナリオ通りに駿ちゃんと暮らすことになった。

夢ちゃんのシナリオを聞いた篠塚さんは苦笑いしていたらしい。

そして、今日も駿ちゃんはあたしに夜中のキスをしに来る。

「夢。ごめん」
その言葉の意味を知るのは、もう少し後の話。


END******
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by ichigo-ichigo205 | 2015-05-03 07:00 | ・夢を見るころ | Comments(0)

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