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いちごの妄想小説

恋は盲目

いつもの居酒屋で軽く飲んだ後
金曜日だからと、早々に切り上げて由紀と一緒に俺のマンションに帰ってきた。

コーヒーを入れてテーブルに置く。

「で?由紀は何を怒ってる訳?」

もともとお酒は強くない由紀だけど
今日はほとんど飲んでいないはずだ。

「え・・・怒ってる訳じゃないです」
「そうか。じゃぁ言い方を変えるよ。何をふくれてるの?」
「ふくれてるって・・・」

プッと不機嫌になって横を向く。
本当に何か理由があって俺に怒っているなら
今日もここまで着いてこないはずだけど。
何かしたかな?

「柳下さんは思いつかないんですか?」
「うん。ごめん」
マジで分からない。

「柳下さんは皆に優し過ぎます」
「え?」

「今日、食堂で山口さんと笑ってましたよね?」
いや、あれは午後から2週間ぶりに会える金子さんとの惚気話を無理やり聞かされていただけなんだけど。

「そう言えば、朝もエレベーターホールで武田さんと笑ってました」
え?あれは社内でクリスマスイベントやる?って武田さんが無茶を言いだしたんだけど。

「受付で村松さんに呼びとめられていましたよね?」
あれは、小野寺の留学先の音大の評判を聞かれていただけなんだけど。

「昨日は外食営業の横手さんと笑っていましたよね」
あれは、同期会の幹事を押しつけられていたんだけど。

「とにかく!柳下さんはうちの会社で人気者すぎます!」
「え・・・・?」

「あっはっはっはっは」
色々と誤解があるようだけど。
やきもちを妬かれるのは悪くない。

「由紀の思いすごしだよ。俺は由紀だけ。
今ここに由紀がいるのも夢が醒めないで欲しいと思うぐらいだ」
「柳下さん・・・他の人に心変わりしないでね」
そう言って俺の首に抱きついてきた。

「大丈夫。由紀。向こうの部屋で靴ずれしてないか見てあげるよ」
俺はそう言って由紀を抱き上げた。

END*****
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by ichigo-ichigo205 | 2015-11-06 14:15 | ・運命という名の恋 | Comments(0)