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いちごの妄想小説

卒業

12歳の春に付属中学校に入学して10年。

中学・高校と卒業式はあったけど
同じ敷地内に内部進学するので大して卒業って意識をしなかったけど。

今日、この学校の10年とお別れなんだなと思ったら
ほんのちょっぴりセンチメンタルになった。

蒼くんと出会って、蒼くんとあっという間に終わった高校生。
再び付き合いだした大学生活。

色々な友人とともに、この学校での思い出がある。

「里香」

いつもとは違うスーツ姿の蒼くんが、桜のつぼみの中をかけてくる。
そのつぼみは、今度の新入生のために咲くんだね。

「謝恩会に行くのに向こうで皆待ってる」
「うん」

さよなら。大学生の私。

「何?寂しいの?」

ほぼ毎日会っていた蒼くんとは毎日会えなくなる。

「蒼くんは寂しくないの?」
「卒業することが?里香に毎日会えない事が?」
「どっちも」

「どっちも寂しくないよ」

男ってさっぱりしてる・・・

「里香とは毎日会えなくなっても心は繋がってるって信じてる。それは揺るがない」
「うん・・・」

「学校は、10年いたんだ。感謝して笑って卒業しよう」
「うん」

「俺たちは、またいつでもここに戻ってくれば今この瞬間に戻れるさ」

うん。うん。うん・・・・

「里香、寂しかったら俺に抱きつけ?」
「って!佐藤が何でここに居るんだよ!なんで里香がお前に抱きつくんだよ?」
「あー?卒業式ぐらい良いだろうが」
「ダメだ」

「ったく。ケチくさいオトコだな!皆待ってるぞ。里香も蒼も早く来い!」

私たちは佐藤のセリフに顔を見合せて笑った。

ありがとう。
私、卒業します―――


END*****






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by ichigo-ichigo205 | 2017-02-28 14:15 | ・カウントダウン | Comments(0)