ファーストラブ①

懸賞 2017年 08月 15日 懸賞

村上物産の大きなプレゼンを山本主任と二人で担当することになった。
山本主任は、うちの部でものすごく仕事が出来る人で・・・
クールな人だ。

受付の美咲なんかは
「私、顔のいい男は嫌いだけど山本主任のクールさは好き」
なんて言って
外回りから帰って来た時の笑顔はほかの人と違う気がする。

総務の真子は
「山本主任の仕事への厳しさは総務でも有名だよ。
でもそこがかっこいいよね!」
と言って、書類を持って来る時にほかの人より優しい気がする。

2人とも私が山本主任とチームを組むことを
心から喜んでくれて、羨ましがった。

私は、と言えば確かに山本主任はかっこいいし、イケメンだなぁ~とは思うけど
それ以上に仕事に対する姿勢が好きで
何事にも動じない、そのクールさを尊敬してた。

経管の山崎は、同じ部で仕事のできる先輩をたくさん見ているはずなのに
山本主任のすごさに感動してた。

そんなすごい人と一緒に仕事が出来て本当にラッキー!

プレゼンの準備も何もかも。
盗めるものは全部盗む!

そう決めて、私も必死に仕事をした。

「池田。まだ残っているのか」
「主任」

別の案件で外出していた主任が9時を過ぎたころ帰社して。
この時間なら直帰の人も多いのに。

「帰らなかったんですか?」

ホワイドボードには、直帰の印の「NR」の文字が書いてあるのに・・・

「池田が残ってそうで戻ってきた」

そんなことをさらりと言う。

「でも直帰のはずだからな。仕事はしないぞ」
ニヤッと笑いながら、私の机に来てパソコンの中を覗き込んだ。

「へぇ・・・よくここまで進んだな」

主任は自分の仕事だって手一杯のはずなのに
私の仕事の進行具合まで的確に判断していた。

「今日はほかの案件の書類もあっただろうに、頑張ったな」

そう言って肩をポンと叩いた。

「でも、ここで今日は終わりだ」

それは有無を言わせないきっぱりとした物言いで。

「支度しろ。ご飯食べに行くぞ」

主任はカバンから書類を出して、カギのかかる机にしまう。

「でも、キリのいいところまで」
あと少し。
そう言い訳をしそうになる私の言葉を遮って
「池田が今ご飯を食べに行かないなら、俺帰るけど?」

一緒に仕事をするようになって気が付いたのだけど。
主任はきちんと3食を食べないことが多い。

きっとこのまま帰れば、主任は適当に夕飯を済ませて仕事の続きをするんだろう。

「ずるいです・・・」

ご飯をきちんと食べない主任に注意をしたら
「じゃぁ、池田が一緒に食べるなら」
と笑いながらメガネを直した。

「早くしろよ」
私のほうを軽く見て、主任は先に部屋を出ていく。

私は急いで作りかけの書類を保存してパソコンの電源を切る。
机の上を簡単に片づけてバッグを手に持った。

「たまには私におごらせてください」
部の部屋の電気を消して、エレベーターホールで主任に追いついた。

あれから度々、一緒に食べるご飯はいつも山本主任がおごってくれて

「部下は黙って奢られてろ」
笑いながら言う答えはいつも一緒だ。

「でも・・・」
「俺は池田が一緒じゃないと適当に済ませるから。
俺の健康管理だと思って付き合ってよ」

一緒に食事をするたびに、仕事の話をする。
普段の仕事では分からない細かいところや注意点など
勉強になることは多い。

回を重ねるごとに、プライベートの話もするようになって
仕事帰りの食事は頻繁になった。


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by ichigo-ichigo205 | 2017-08-15 05:00 | ・セカンドラブ | Comments(0)

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