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いちごの妄想小説

冬になっても・・・

俺は好きな女に泣かれた記憶がほとんどない。

「桃花、お前は俺の彼女って自覚あんの?」
「・・・・」
「何?あの男、なんでホイホイついていくわけ?幼稚園児かよ」
「・・・・」

白木と講義の移動中に向こうのほうで男についていく桃花が見えて
「わり。俺遅刻するわ」
そう言って桃花の後を追った。

誰も行かないような校舎の隅で
知らない男に手首を握られて、なんだか強引に迫られている桃花がそこにいた。

「何やってんの?」
そう言って強引に桃花を奪い返して
そのまま無言で俺のアパートまで連れてきた。

何か喋れば、震えている桃花を今以上に傷つけそうで
気の利いたセリフさえ言えなかった。

アパートに入って、落ち着いたふりをしてみても
桃花が何かをされた後じゃなくて良かったと安心と怒りが増してきた。

「あ、の・・・あの。ぜんばいの・・・元カノさんのことを
あのじどがおしえてぐれるっで、いっだんでず・・・」

みっともないほどに泣いたその顔は
「涙を流す」って感じじゃなくて
「泣きぐずった子供のよう」だった。

「ごめ、ごめんなざい。ぜんばい、ぎらいにならないで」

あの男が手首を離さないで、怖かっただろうに
それでも、俺に嫌いにならないでという。

「元カノ?何でも教えてやる。ほかの男に聞くな!」

つい荒くなる俺の声の意味を、この女はきっと理解してない。
俺の心配を理解せずに、俺に嫌われないかと心配している。

「ごめんなざい~~」

俺は大きく息を吐きだした。

「ぎらいにならないでぇぇ~」

こいつは可愛い。
俺のひいき目かもしれないけど、可愛い。

「ごめんなざい~~」

自覚してくれよ・・・

「桃花!」
「はい・・・」

「あれ持ってんだろ!あれ!」
「?」
「夏の終わりに白木にもらったフェロモンの液だ!」
「え・・・」
「お前のことだから肌身離さず持ってんだろ?出せ!」
「は、はい」

ティッシュで涙と鼻水をふいて
ガザガサとバッグをあさる。

やっぱりもってやがった・・・

「かせ!」
俺は蓋を取ってにおいをかぐ。
もうすっかりいちごのにおいはなくなって
ただのピンクの液体だ。

「ぜんぱい?」
「この匂いをかいだら、今より桃花のことが好きになった」
「ほ、ほんとですか?」
「あぁ。桃花のことは嫌いにはならない。大丈夫だ」
「せんぱ~い。大好きです~」
「もう心配かけるな」
そう言って桃花を抱きしめた。

「あの男のことは心配ない」
そう言った途端、俺の服をぎゅっと握りしめた。
怖かったよな。

「大好きだよ。桃花」

「先輩・・・」
「ん?」
「やっぱりこの液、本物ですね!」

桃花はキラキラした目でかき氷のシロップを眺めていた。

END****





Commented by おーひら at 2017-11-26 07:44 x
少女まんがの主人公みたいで
かわいいな。
性格よしこの桃花ちゃんは
女の子の人気者ですよ。

センパーイ!とか、、、
やってみたかった。
やり直せるものならば(´∀`=)
女子校そだち。
Commented by ichigo-ichigo205 at 2017-11-26 07:58
おーひらちゃん
分かる…私も女子校育ち(笑)
せんぱーい!は想像上の妄想(笑)
いいよね!女子校も楽しかったよね!

きっと、せんぱーい!の次位に・・・(笑)
Commented by たーたん at 2017-11-26 20:38 x
ヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。
可愛すぎて、おばちゃんもギュッてしたくなった💕
Commented by ichigo-ichigo205 at 2017-11-26 21:27
たーたんちゃん
可愛いと思っていただけて嬉しいわ~!
先輩が大好きで素直な桃花と
桃花が大好きで不器用な先輩
いいコンビです♪
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by ichigo-ichigo205 | 2017-11-26 00:28 | ・キスの後で… | Comments(4)