夏の名残り③

懸賞 2018年 08月 02日 懸賞

デートの場所をどこにするか、で綾香と口論になって3日。
お互いに何でも言い合う関係はとっても新鮮だ。
俺の言葉を、むくれながらも反撃してくる女子はそうそういない。

「もう知らない。当分話しかけないで!」

と、目に見えて怒りながら離れていく綾香を可愛いとさえ思った。

口論の後なのに、その後ろ姿を見てプッと笑いがこみ上げた。

さて、しばらく話しかけないようにするか。

そんな時、近頃、ビーズアクセサリー作りに凝っている妹から、駅前のファンシーショップで「この」ビーズを買ってきて!と
写真付きのメールが来た。

「自分で買いに行けよ」
そう呟きながらも、似合わないお店の中で画像を見ながら同じビーズを探す俺は
世の中の類にもれず、妹に甘い。

「高っ」
こんなちっちゃいもんがこんな値段すんのかよ。
そう思いつつ、レジに並んでいると、いつだったか、桃花ちゃんを騙したフェロモンの液の小瓶が売っていた。
俺は苦笑いしながらそれを手に取った。

「綾香」
次の日、構内で見つけた綾香を呼び止める。
「何よ!当分話しかけないでって言ったでしょ!」
「ほら」

おもむろに差し出した瓶は緑色の液体で。
「な、に。これ」
「フェロモンの液」
「・・・・」

そう言って蓋を開ける。
まだ新しいからメロンの匂いがして
「嗅げよ」
と、近くに差し出した。

「・・・・」
「何だよ?」
「ブルーじゃない」
「あ?」
「桃花ちゃんが、白木が持ってるのはブルーのだって言ってた」
「あ、ぁ」
「なんで入れ替えたの?」
「なくしたんだよ」
「うそ!絶対なくしてないのに。なんでブルーじゃないの?」

「お前さぁ、ガサツなくせに、変なところ細かいよな」
「ガサツ?あんた彼女の事ガサツだと思ってんの?」
「いや・・・」
「ガサツだと思ってんのね!」
「つつましくはないだろうが!」

「まぁ、ね」
「だろ?」
「うん・・・」

「で!話がそれた!なんでブルーじゃないの?」
「いいだろ」
「言いなさいよ」

「ったく・・・・
ブルーのはいやだろ?乃恵ちゃんも知ってるから。
どうせお前の事だから『乃恵にも嗅がせたんじゃないの』とか言い出すだろ」
「・・・・」

「だから、昨日作ったんだよ」
「・・・・」
「これ瓶も新しいやつな。買ったの」
「わざわざ?」
「わざわざ!」

「私のために?」
「そう!」
「私と仲直りするために?」
「そう」
「・・・・」

「仲直りしてくれる?」
「・・・・それ嗅いだら、仲直りする」

「良し。そのまま、俺の事もっと好きになっちゃえ!」


END****




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by ichigo-ichigo205 | 2018-08-02 13:49 | ・恋のばんそうこう | Comments(2)

Commented by さる先生 at 2018-08-13 17:58 x
白木君が誰かと幸せになってくれたらな~と思っていたので、良かったです♪
Commented by ichigo-ichigo205 at 2018-08-13 22:15
さる先生
お久しぶりです!
白木君を気にかけて下さってありがとうございます☆
白木君は「ケータイ小説」さんのほうでは意外な人気者です(笑)
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