花火大会⑦

懸賞 2018年 09月 02日 懸賞

今年の花火大会はことごとく見逃した。

私が常務と出張だったり、ツカサが海外出張だったり。
お互いに出張が続いて、月の半分以上顔を合わせないことはよくあるけど
それがことごとく花火大会と重なった。

南米出張のツカサが帰ってくるなり
「明日の日曜日、紗江子さん休み?」
と、ネクタイを緩めながら聞いた。
「うん。明日は休める」
「良かった。なら実家に行こうか」
「うん。明日香達呼ぶ?」
「もう連絡した」

長期の出張で、久しぶりに見るツカサは日焼けしてさらにいい男になっていた。

「その顔で出勤したら、女の子たちがまた騒ぐね」
「ん?」
「いい男になっちゃって」

10年間、成長を見続けてきたひとりの男の顔をなでる。

「何?急に」
「ううん。イイ男に成長したなぁ~って」
「そりゃそーでしょ」
自信ありげにニヤッと笑った。
「紗江子さんの隣に並んでも見劣りしない男になるために、
それだけを考えて日々を過ごしてますから」
少しおチャラけていうその言葉は、実際にはすごく努力している証だ。

翌日、疲れを取って夕方近くに森川の実家に行けば
明日香と啓はすでに来ていて浴衣姿だった。

「わ!明日香可愛い!」
「紗江子ちゃんのもあるよ」
「え!」
「ツカサ君が、今年は紗江子ちゃんと花火大会に行きそびれたから、みんなでやろうって。
サプライズでしたいから悪いけど紗江子ちゃんの浴衣も用意してほしいって
昨日連絡してきたんだよ」

え・・・・

「俺には花火を買っとけって言いつけやがった」
「言いつけたなんて人聞き悪いな。兄貴」
「ま、いいけどね」

「兄貴も明日香さんもありがとう。紗江子さん着替えておいでよ。
手持ち花火だけど、みんなでやろう」

「あら、花火?いいじゃない」

森川のお義母さんたちも家から出てきた
「ツカサの案?」
「買ってきたのは俺ですけどね!」

いつものようにみんなで啓をいじって笑って。
みんなで花火をした。

「はい。これで最後。みんな1つづつ持って」

と啓がみんなに線香花火を渡した。

「今年は忙しくてごめん」
ツカサと二人並んでジーッと小さな音がする線香花火を眺めながらツカサがそう言った。

「ううん。みんなでする花火のほうが幸せ」

ツカサと結婚してよかった。

「ツカサ、だ~いすき」
「俺も。どんな花火よりもきれいな紗江子さんが大好き」

周りのみんなに聞こえないように小さく小さく愛をつぶやいた。

END****



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by ichigo-ichigo205 | 2018-09-02 00:18 | ・キスの花束を | Comments(0)

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