来世でも

懸賞 2018年 10月 11日 懸賞


人間の50年はきっと悟には一瞬に思える事だろう。

1千年をいい加減に生きてきたと言っていた。

それでも私に出会った3年間は毎日毎日、大切に生きてくれたように思う。

50年たった今でもあの3年間を思い出して生きている。

あの3年間が私と悟の全てだった。

悟の子を産んで、大事に大事に育て上げた。

あなたは人間ではないと小さい頃からそれとなく教えて伝えて
それでも成人するまでは半信半疑だった。

今目の前にいる50歳になる私の息子は
見た目は20代の青年にしか見えない。

「これから先、950年を有意義に過ごして。
たった一人の花嫁を見つけなさい」

その若い頬に手を伸ばす。

自分のしわくちゃになった手に悟と別れた年月を感じる。

「一人にさせてごめんなさいね」

悟は一人の時間をどんなに寂しく思った事だろう。
その寂しさを息子に味あわせたくないと思っていただろうに。

結局私も人間だ。
そろそろ天寿を全うする。

悟に恋い焦がれ
悟だけを愛し
悟の忘れ形見を大事に育ててきた。

その人生も終わろうとしている。

霧となった悟にあの世で会えるのだろうか。

「来世では、普通の人間の親子として会いましょう」

息子は静かに泣いていた。

あなたが天寿を全うする950年間
私は、そっと転生を願って待っているわ。

悟。
あなたが自分の弱さと象徴した息子は
私の強さの象徴でした。

あなたの思い出だけを抱いて人生を全うしました。

ありがとう。
来世でも、永遠の番いに―――


END****










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by ichigo-ichigo205 | 2018-10-11 15:19 | ・永遠の番い | Comments(2)

Commented by カナ at 2018-10-20 23:02 x
いつも楽しく拝見しています。
「永遠の番い」は切なくてとても心に残る作品だったので
続編を書いてくださって、とても嬉しかったです。
やっぱり切なかったですが、それでも、きっと美香さんは
幸せだったと思えて嬉しかったです。
ありがとうございました。
Commented by ichigo-ichigo205 at 2018-10-28 22:17
カナちゃん
いつも読んでくださってありがとうございます。
この話は一気に書いた作品で私も好きです。
彼女は幸せだったと思う。
自分で選んだ人生ですから。
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