カテゴリ:・噂をすれば恋( 6 )

懸賞 懸賞

花火大会⑧

懸賞 2018年 09月 02日 懸賞

暑い暑い夏。
自由に取れる夏季休暇を少し早めに申請した。

8月7日の花火の日に、山梨の花火大会に金子さんと一緒に行くためだ。
花火の街として有名な市川三郷町での花火大会に行こう。と金子さんが誘ってくれた。

ホームページで過去の画像を見るとものすごい花火で
さすが花火の街!と思うような花火だった。

ワクワクして朝早く家を出て山梨に行く。
渡されている金子さんの部屋の鍵で家主のいない部屋にそっと入る。

金子さんは午前中だけ仕事に行っている。

家事が出来るらしい金子さんの部屋はいつもきれいで
今日も私がやることはない。

「さて」

横浜から持ってきた荷物の中から浴衣を出す。
荷物になるから下駄は持ってこなかった。
サンダルで許してね。

つくり帯で簡単に着つける。
1人でも、着付けを知らなくても簡単に着られる浴衣に感謝だ。

「ただいま。真樹、来てる?って・・浴衣持って来たんだ?」

玄関でびっくりした顔で私の浴衣姿を眺める。

うん。この顔が見たかった。
持ってきてよかった。

「この部屋からも小さいけど見れるよ。出かけるのやめようか」

ハグしながらそんなことまで言う。

「行きたい。せっかく金子さんの住む山梨のお祭りだもん。
夏休みを取ったから2泊はいられるよ」
「え・・・明日以降も休み取ったの?言えよ~だったら俺も取ったのに」
「金子さん今忙しいじゃない。今日だって半休取るのやっとだったでしょ」
「そうだけど・・・」
「朝、送り出して、夜、お出迎えしてあげる」
「あ~・・・それいいな」

ぎゅーっと私を抱く腕に力を込める。

「さ、行こう!金子さんの住む山梨の花火大会に!」

END*****




[PR]

by ichigo-ichigo205 | 2018-09-02 22:43 | ・噂をすれば恋 | Comments(0)

ご対面

懸賞 2017年 03月 14日 懸賞


「真樹。こっちが俺の妹のナオと悪友のヒロ」
「こちらが、俺の彼女の真樹さん」

今日はナオとヒロに真樹を紹介した。

「よろしく『真樹さん』」

訳知り顔でずっとニヤニヤする2人の顔が気に入らない。
この二人は結婚してから似て来やがった。

「ニヤニヤするなよ!」

「あれ?ヒロくん、私ニヤニヤしてる?」
「してないよ。いつものようにナオは可愛い」
「ありがと」
「俺は?ニヤニヤしてる?」
「してないよ。いつものようにヒロくんはカッコいい」
「ありがと」

バカップルのように2人で小芝居をして、マオを抱きながらヒロはナオにキスをした。

「おい!マサ!俺の事を悪友って紹介するな!」
「なんでだよ?」
「ナオの旦那だって紹介しろ!」
「俺はまだ認めてねーんだよ」
「マオ?いやだねー。マサおじちゃんは今だにおバカなこと言ってるよ」
「マオにチクるなよ!ずるいぞ!」

「はいはいはいはい。お兄ちゃんとヒロくんはマオを寝かせるために散歩してきて。
その間、お昼を用意しておくから」

ナオのその言葉に、ちらっと真樹を見る。
「平気?」
「平気よ」
その言葉に苦笑いして、ヒロと二人で散歩に出かけた。

「いい子じゃん」
少し歩いたところで、ヒロにそう言われて、てれ隠しに
「数分で分かるのかよ」
と、強がった。

「俺。刑事だし。人を見る目はあるつもり」
「あっそ」

んなもんあるかよ。

「大事にしろよ」
「ヒロに言われなくてもな」
「うん。良かったよ。マジで・・・」

ヒロのその真剣な声に何も言えなくなった。


「お兄ちゃん、マオを日曜日に見ててもらうの真樹さんに言ってなかったんだって?」
「うん。そうなの」

それで、大きな勘違いをしたんだっけ。
思い出し笑いをしていたら、それをナオちゃんはじっと見ていて。

「ごめんね。付き合っている人がいるなんて知らなかったから」
「ううん。でもいい保育園が見つかってよかったね」
「これでやっと、お兄ちゃんも日曜日自由よ」

そう言って2人で笑いあった。

「だれか、金子さんには本命がいてその人と会っていると思ったの」
「え?そうなの?」
「うん。でも、本当に本命と会ってたんだけど」
「え?」
「マオちゃん」
「あ、ぁ。マオか」
「ヒロさんと金子さんって親友なの?」
「ずーっとね。私が小さい時から」
「へぇ」

「マオもね。お兄ちゃんのマサヤの『マ』と私のナオの『オ』でマオなの。
そう、ヒロくんが付けてくれたの」
「へぇ。素敵」
「私とヒロくんを会わせてくれたのはお兄ちゃんだから、って」
「うんうん」

「金子さんね、シスコンだけどって自分で言ってて」
そこまで言って2人で笑う。

「でも、ナオちゃんはヒロさんがめちゃめちゃ愛してくれるから
もう心配いらないんだって言ってた」

私がそう言うとナオちゃんはちょっと驚いたように笑った。

「お兄ちゃんは、モテたらしいんだけど・・・」

ちょっと言いにくそうにナオちゃんが言う。

「でも、1回も彼女を私に会わせたことはないの」
「うん」
「私がいくら言っても、会わせてくれたことはないの」
「うん」

「でもね、真樹さんはお兄ちゃんから会ってくれって言われたの」
「え・・・」

「お兄ちゃん、真樹さんの事ものすごく好きなんだね」
「・・・・」

ナオちゃんに言われたその一言が凄く嬉しくて。

「ただいま」
「マオ寝たぞ」

小さな声でそう言って、そっと帰ってきた2人に
私たちはうれし涙でお出迎えした。


END****






[PR]

by ichigo-ichigo205 | 2017-03-14 14:29 | ・噂をすれば恋 | Comments(6)

婚約式

懸賞 2015年 07月 07日 懸賞

1週間前に金子さんが
「来週の火曜日、午後に半休とれるかな?」
と聞いてきたので、仕事の調整をして休めそうだったので
加藤さんに確認を取ったら
「金子から聞いてる。水曜日も午前中半休とっていいぞ。
山口、近頃頑張ってるからな」
なんて、あっさり休むことが出来た。

「本当は迎えに行くつもりだったんだけど、ごめん。
どうしても研究の関係で俺も午後半休しか取れなかった。
悪いけど、真樹一人で来れるかな?」
と言われた先は
横浜から八王子に出て、特急かいじに乗ってと指示され
塩山という駅で降りて。と言われた。

言われた通りに2時間かけて塩山まで行くと
半月ぶりの金子さんがいて、
なんだか嬉しくて駅で抱き付いてしまった。

「良く来たな。久しぶり」

その笑顔が嬉しくて
半月という時間がものすごく長く感じた。

ほぼ毎日電話をしているし、メールはまめにくれる方だと思う。
でもやっぱり、ぎゅって抱きしめられるこの距離は
何物にも代えがたい。

「どこに行くの?」
「乙女高原」

初夏だというのに、着いた高原は肌寒くて
空気がひんやりと透明だった。

「ほら」
と差し出された上着を着て
二人で少し歩いた。

辺りはゆっくりと薄暗くなって、
持ってきた毛布に用意がいいなと思いながら
二人で包まって、あっという間に暗くなった空を見つめた。

「うわっっ!」

真っ暗な夜空に浮かび上がったのは
それこそ無数の星で。
横浜から2時間電車に乗っただけなのに
この星の数にびっくりした。

「なに・・・これ。すごい!」
「真樹。これが山梨から見る天の川。真樹に見せたかったんだ」
「これが・・・天の川、かぁ」

初めてみる星の数と
初めてみる天の川に感動してずっとずっと眺めていたい気分だった。

「俺たち、横浜と山梨で離れてて、お互いにさみしい時とか
辛い時にそばにいることはできないけど。
それでも、一生ずっと一緒にいたいんだ」
「金子さん・・・」

「真樹。結婚しよう」
「金子さんっっ」

「私、私仕事辞めたほうがいい?」
「やめたいのか?」

1枚の毛布の中で抱き合ってそう聞かれる。

「そばにいたほうが良いんじゃないかなって」

「うん。そばにいたほうがいいと思うことも多いけど。
でも、今お互いがそばにいるために何かを犠牲にしなきゃいけないのなら
そのひずみは必ず出るよ」
「・・・・」
「真樹が辞めたいなら、辞めてもいいけど。
仕事をしたいならしたほうがいい。俺たちはどんなに離れていても平気だよ」
「・・・・」

「そのために、ここでプロポーズしたかったんだ」
「え・・・?」

「俺たちの結婚に真樹が犠牲になってほしくない。
また、数か月後や数年後にはいろいろな状況も変わるかもしれない。
焦るのはやめよう。
真樹がさみしいなら、今まで以上に連絡をするよ」
「金子さん・・・」

「俺たちは離れていても大丈夫だ。
天の川に誓って」

どこからそんな自信が出るのか分からなかったけど。
それでも金子さんに曇りもなくそんなことを言われれば
そうなんだ。と私も自信がわいてくる。

「今日が・・・・お天気が悪かったらどうするつもりだったの?」
私が笑いながら聞けば
「プラネタリウムへいったさ」
と、笑いながら答えて。

夜空に輝く大粒の星のような真珠の婚約指輪を私の左手にそっとつけてくれた。

大好き。一生大好き。

そう心に誓って七夕の天の川の真下で私たちは婚約した。

END*****
[PR]

by ichigo-ichigo205 | 2015-07-07 07:07 | ・噂をすれば恋 | Comments(6)

借り・・・再び②

懸賞 2014年 09月 13日 懸賞

な・・なに?
こんな時間に何?
恐る恐るインターフォンのモニターを見ると
なんとそこに映っていたのは金子さんだった。

「金子さん!」

私は驚いてドアを開けた。
「なんで?いま電話切ったじゃん。なんでいるの?」

金子さんはニヤっと笑って部屋の中に入ってくると
腕時計を見て大きく深呼吸したあと私をぎゅっと抱きしめた。

「え?え?」

「真樹。お誕生日おめでとう」

「―――っ!」

金子さんは少し体を離したあと私の頬にキスをした。

「最終で急いできた。もう日付が変わったよ。『今日』誕生日だろ?」
「な、なんで知ってるの?」
「それより、なんで誕生日のこと言わないの?」

困ったように苦笑いしながらデコピンをした。

「え。あの。『明日私の誕生日なの』ってなんか言いづらい」
「ふ~ん」
「金子さんはなんで知ってるの?」
「真樹は俺には言わないつもりだったんだ?」
「え・・そんな」

「真樹。26歳は俺に出会ってくれてありがとう」
「え・・・・」
「27歳は一緒に思い出を作っていこう」
「・・・・」
「山梨と横浜で距離はあるけれど。気持ちはいつも隣にいよう」
「うん」
「真樹。お誕生日おめでとう」
「ありがとう」

ぎゅっともう一度抱きしめられて私は誕生日を言わなかったことを悔やんだ。

「来てくれてありがとう。すごく嬉しい。
電話でももちろん嬉しいけど。やっぱり会えると嬉しいよ」
「ん」
「でも、今日は平日なのに。始発で間に合う?」

来てくれたことはもちろん何物にも代え難いぐらいに嬉しいけど。
でも無理をさせちゃったことに申し訳ない気持ちもある。
中距離恋愛の辛いところだ。

「俺は今日、休みとった」
「え!」
「真樹の休みも加藤に申請しといた」
「えぇ・・!」
「だから昨日は今日の分も働かされただろ?」
「あっ!」

「今日の誕生日は一緒に過ごそう」
「雅哉。大好き。愛してる」

私は金子さんに飛びついてキスをした。


END****

おまけ****

「真樹~。昨日の誕生日は最高だったでしょう~?」

金子さんと二人で素敵な誕生日を過ごした翌日、
朝一番ですみれから内線がかかってきた。

「・・・・」
「私が金子さんに教えたのよん」
「すみれか!」
「真樹、これは『貸し』だからね♪」

森川さんになにか聞いたらしい。

「その『借り』はいつ返したらいいわけ?」
「私の婚約発表でお願いします~。もちろん社内報で」
「・・・・いいけど。先に相手を見つけないと?」
「!!真樹が紹介しなさいよ!」

そう言ってすみれは内線を乱暴に切った。


END****
[PR]

by ichigo-ichigo205 | 2014-09-13 10:00 | ・噂をすれば恋 | Comments(2)

借り・・・再び①

懸賞 2014年 09月 12日 懸賞


「森川さん、今さらになりますがご結婚おめでとうございます。
ご妊娠も。ダブルで幸せですね~」

海外事業部の先輩の森川さんが実は武田さんと結婚していた。
私はいつも穏やかで仕事ができる森川さんが
武田さんの話になると本当に嬉しそうにするのにびっくりした。

「ありがとう。長谷川さん」
「あの記事、真樹が書いたんですって?いい記事に仕上がってましたね」
「そうか。長谷川さんと山口さんは同期だったね。
山口さんには、前に社内報のインタビューを受けたときに貸しを作っておいたんだ」

そんな風に笑う森川さんは爽やかな笑顔の裏で策士だ。

「へぇ。貸しですか・・・今の話で私、いい事思いついちゃいました―――」

*:・'゜☆。.:*:・'゜★゜'・:*:.。.:*:・'゜☆

「真樹。今日はどんな日だった?」

毎日、仕事が終わって家に帰った頃、金子さんから電話が入る。
技術者のくせに「メールなんてまだるっこしい」と言って必ず電話してくる。

「メールは真樹がどんなに疲れていても『♪』マークでいくらでも隠せるから。
ちゃんと声を聞いて、真樹を感じたい。
そばにいられないけど。抱きしめることが出来ないけど。
俺には強がらないで」

そんな風に言ってくれて。
毎日電話をくれる。

時には一緒に星空を見ながらビールで電話越しに乾杯して。

時には同じテレビを見て電話越しだけど一緒に笑う。

寂しくないと言ったらそれは嘘になるけれど
中距離恋愛としては最大限に優しくしてもらっていると思ってる。

「今日は忙しかった~。
なぜか加藤さんがバンバン仕事を回してきて。
パンクしそうだった!」
「そうか。お疲れ様」
「金子さんは?」
「俺も超忙しかった!」
「へ~。そーゆー日なんだね」

「真樹、明日の予定は?」
「特になし。すみれと飲みに行く約束をしていたんだけど。
昨日、急にキャンセルされたの~。また海外かな?」
「そっか」
「うん。そろそろ寝よう。明日起きれなくなっちゃう。
今日も電話ありがとうね」
「うん。おやすみ」

そう言って日課の電話を切った。

ピンポン

歯を磨いて、さて寝ようとした時にインターフォンがなった―――
[PR]

by ichigo-ichigo205 | 2014-09-12 19:54 | ・噂をすれば恋 | Comments(0)

「噂」

懸賞 2014年 06月 25日 懸賞

「聞いたわよぉぉぉ~」

朝も早くから私のデスクの内線が鳴った。
まだ就業時間前なんだけど!
と思って取ったらすみれで
どうも海外出張の時差ボケで早くに目が覚めたので会社に来たらしい。
私は来てるんじゃないかと思って電話したという。

「何を?」

とそっけなく答える私に

「金子さんの事♪社内ですっごい噂になってるわよぉぉぉ~♪」

と嬉しそうに答えた。
フンフンフンと鼻歌まで歌いそうな雰囲気だ。

「作業服の金子さんと二人で手をつないでランデブーに行ったんですってぇ?」

らんでぶー・・・
おふらんす帰りか?

「金子さんったら、作業服のまま慌てて山梨から真樹に会いに来たんだってぇぇ~?」

・・・・

「いやん。ラブラブじゃん!」

時差ボケのくせによくしゃべるな。

「それよりさ?すみれ、私に嘘ついたでしょ!」
「ん?」
とぼけてる、とかじゃなくて本当に「?」の様子。
「金子さんの噂!」
「ああ~シスコンだってヤツ?」
え・・・・
「ドン引きじゃないの?真樹は良いの?」
え?噂って初めからシスコン?
「だってさ~彼女より妹の方が優先なんだよ?」
うん・・・

「すみれさ。金子さん、いい男って言わなかった?」
「言ったよ?顔はいいじゃん」

あ・・・ぁ。
初めから私の勘違いなんだ。
そっか・・・
そっか。
初めから勝手に私が金子さんを女にだらしないと勘違いしていただけなんだ。

「金子さんったら妹より私が可愛いんだって♪そんなこと思ったの初めてなんだって♪」
悔しいからノロけてみる。
「あっそ」
口調はそっけないけど、喜んでくれてるのが分かる。

「きっかけ作ったのは私だからね!誰かいい人紹介しなさいよ!」

ふん!といってすみれは勝手に内線を切った。

なんとなく私もうれしくなって
すみれにもいい人が出来るといいな。
なんてニヤニヤしてたら。

後ろから
「へぇ。金子でもそんなこと言うんだ」

なんて声が飛んできて。
ビクッとして振り向けば
出社したばかりの加藤さんがニヤニヤしていた。

ヒッッ・・・・

「9時までにその顔直せよ」

そう言って自分の席に歩いて行った。

自分だって彼女の事話す時は顔崩れるくせに!

今度。加藤さんの彼女と居酒屋で会ったら
話しかけてみようかな。

そんな事を思った9時20分前だった。


END*****
[PR]

by ichigo-ichigo205 | 2014-06-25 12:10 | ・噂をすれば恋 | Comments(0)