カテゴリ:・運命という名の恋( 4 )   

運命の人はだれ?   

2016年 05月 05日

学生のころから男の人を嫌いだと思って、もうどれぐらいだろう。
昨日もお兄ちゃんが「会社にいい人いないのか」なんて心配していた。

彼女とラブラブのお兄ちゃんには私の気持ちなんか分からないよ!と
思ったけど、ちょっぴり羨ましいのも事実。

武田さんに頼まれた資料を隣駅の取引先に持って行く途中でエントランスが騒がしかった。
忙しそうに電話をしながら半分怒鳴っている広報部の方たち。

あぁ。。。
そう言えば、今日CM撮影のはずだったけど
ピアニストが無理になったって武田さんが言ってたっけ。

そんな中でも人一倍、走り回って、電話をかけまくっているのに
大きな声を出さずに、冷静に対処している柳下さんが目に入った。

柳下さんはいつも、親切で嫌な仕事もやってくれる印象がある。
この前も、本当は総務か秘書の仕事だと思うのに
お花見のセッティングを全て引き受けてくれた。

あんな大変な仕事を嫌な顔1つせずに引き受けてくれるって凄い。
って思ったんだっけ。

柳下さんはいつも的確に仕事をして
部外にも知り合いが多いからついつい仕事を頼まれちゃうんだろうな。
そんなたくさんの仕事をこなして、広報では加藤さんのサポートもきっちりやって。
すごい。

いつも秘書課もお世話になっているから、この資料を届けた後も大変そうだったら
私も何か手伝えないか聞いてみよう。
そう思ってエントランスを抜けた。

柳下さんは運命の人を待ってるって、お花見で言ってたっけ。

その柳下さんの運命の人・・・いいな。

私はさわやかなGWの谷間の五月晴れの空のもと、得意先までの道のりを急いだ。

END*****


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by ichigo-ichigo205 | 2016-05-05 14:08 | ・運命という名の恋 | Comments(0)

本命チョコ   

2016年 02月 14日

あれ?
由紀と会ったのはいつだっけ?

ほぼ毎日社員食堂で会ったり、居酒屋で会ったりとしていて
土日以外は約束をしたことがない。
どこかで会えると、タカをくくっているからか。

でも考えてみたらもう2日ほど会っていない。

メールをしてもlineをしても返事がない。

嫌な予感・・・・

付き合う前。あまりにかわいくてはっきりと意思確認をする前に抱いた翌日に似てる。

金曜日の夜に、少しでも由紀に会える可能性を求めて居酒屋に行こうとしたとき
エントランスで山田さんが電話をしていた。
話の内容からして、大学時代の岡部さんとらしい。
その後に、彼女の新田さんを社内なのに抱きしめて。
山田さんも変わったな。なんて思った。

一緒に退社した加藤さんは彼女とデートだと居酒屋には寄らなくて。
一人で行った居酒屋は、今日は参加が少ないな。
そう思いながら、10時過ぎまで飲んで。
仕方なく家に帰る。由紀が10時過ぎから来る可能性はない。

ネクタイをはずして。水を一杯飲んで
もう寝よう。ごちゃごちゃ考えても仕方がない。
そう思って、風呂に入って寝た。

土曜日はなんとなく、連絡を取るのをやめて。
由紀のことばかり考えないように一人で映画を見に行って早めに寝た。
翌朝、チャイムの連打で目を覚ました。
「何時だよ・・・」
時計を見るとまだ5時半で。
「誰?」
若干不機嫌になってドアを開ければそこには由紀が立っていた
「由紀?」
ここ数日会えなかった疑問とは裏腹に
まだ完全に日が出ていない冬の早朝に上気した顔で由紀が機嫌良さそうに立っていた。

「柳下さん!」
「あ、あぁ。どうぞ」
パジャマのまま、はだしの俺はとりあえずリビングの暖房を入れた。
「こんな早くにどうしたの?」
「これ」

真っ赤になって差し出した小さな包みは・・・・たぶんチョコだ。

「初めてのバレンタインは手作りをあげたくて」
「・・・・」
「数日、練習したんですけど。手作りなんて初めてで。
なかなか上手く行かなくて。でも夜中にやっと納得できるものが出来たので。
居ても立ってもいられなくて始発に乗ってきちゃいました」
「・・・・・」

そうか。今日はバレンタインか。

包みを開けて驚いた。
「本当に手作り初めてなの?」
「はい」
これを作るのは大変だっただろう。

そう思って由紀のほうを見ると、ソファにもたれかかって寝ていた。
「このこ、どうしてくれよう」
無防備に寝ている由紀に笑って。
「よいしょ」と声を出して抱き上げた。
「柳下さん?」
由紀がうっすらと目を覚ました。

「少し寝よう。まだ早い」
そう言って頬にキスをした。

END*****



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by ichigo-ichigo205 | 2016-02-14 11:30 | ・運命という名の恋 | Comments(0)

恋は盲目   

2015年 11月 06日

いつもの居酒屋で軽く飲んだ後
金曜日だからと、早々に切り上げて由紀と一緒に俺のマンションに帰ってきた。

コーヒーを入れてテーブルに置く。

「で?由紀は何を怒ってる訳?」

もともとお酒は強くない由紀だけど
今日はほとんど飲んでいないはずだ。

「え・・・怒ってる訳じゃないです」
「そうか。じゃぁ言い方を変えるよ。何をふくれてるの?」
「ふくれてるって・・・」

プッと不機嫌になって横を向く。
本当に何か理由があって俺に怒っているなら
今日もここまで着いてこないはずだけど。
何かしたかな?

「柳下さんは思いつかないんですか?」
「うん。ごめん」
マジで分からない。

「柳下さんは皆に優し過ぎます」
「え?」

「今日、食堂で山口さんと笑ってましたよね?」
いや、あれは午後から2週間ぶりに会える金子さんとの惚気話を無理やり聞かされていただけなんだけど。

「そう言えば、朝もエレベーターホールで武田さんと笑ってました」
え?あれは社内でクリスマスイベントやる?って武田さんが無茶を言いだしたんだけど。

「受付で村松さんに呼びとめられていましたよね?」
あれは、小野寺の留学先の音大の評判を聞かれていただけなんだけど。

「昨日は外食営業の横手さんと笑っていましたよね」
あれは、同期会の幹事を押しつけられていたんだけど。

「とにかく!柳下さんはうちの会社で人気者すぎます!」
「え・・・・?」

「あっはっはっはっは」
色々と誤解があるようだけど。
やきもちを妬かれるのは悪くない。

「由紀の思いすごしだよ。俺は由紀だけ。
今ここに由紀がいるのも夢が醒めないで欲しいと思うぐらいだ」
「柳下さん・・・他の人に心変わりしないでね」
そう言って俺の首に抱きついてきた。

「大丈夫。由紀。向こうの部屋で靴ずれしてないか見てあげるよ」
俺はそう言って由紀を抱き上げた。

END*****
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by ichigo-ichigo205 | 2015-11-06 14:15 | ・運命という名の恋 | Comments(0)

素敵な人   

2015年 07月 30日

火曜日。昨日居酒屋で色々騒ぎを起こして
皆さんに謝りたいと由紀がいうので、
仕事帰りに待ち合わせして二人で居酒屋に行くと
いつもより多い人数が座敷にひしめいていた。

なんだ。何かあるのか?

そう思っている俺の横で座敷の入り口で由紀が
「昨日はお騒がせしてすみませんでした」
と謝ると、
みんながニヤニヤしてこっちを見ていた。

な・・・なに?

「あれは鎌田さんが悪い。で、昨日のことを詳しく教えてよ」
そう、野口さんが由紀に笑いかけた。
由紀は秘書課の営業スマイルを残しつつ、俺のYシャツをつまんで
分からないぐらい微妙に俺の後ろに隠れた。

「あ、男のみなさんになんですが・・・
由紀は男性が苦手なので、急に触ったりしないでください」

俺はまじめに言ったつもりなのに・・・

「へぇ~・・・」
と山田さんが笑った。
「でも、柳下のことは平気なんだ?」
「え・・・あぁ。はい。そうみたいです」

「何?上杉さん柳下のことは苦手じゃないの?」
加藤さんが笑いながらそういえば
「柳下さんには毒がないからじゃないですかね?」
なんて山口が笑う。
「でもな。男の毒ってある意味必要だよ」
と山田さんが言えば
「お前は毒がありすぎ。俺ぐらい爽やかなのもいいよね?上杉さん」
と、野口さんが由紀に笑いかけた。

「え・・・あの」
困った由紀がさらに数センチ俺の後ろに隠れて
「皆さん、それぞれに素敵ですけど。
でも、やっぱり私には柳下さんだけが素敵です」

大きな声で言ったわけじゃないのに。
シン・・・となった座敷に由紀の言った言葉が響いて
次の瞬間、座敷がわっっと盛り上がった。

「柳下ぁ。良かったなぁ」
「柳下、お前だけだって」
「そんなこと言ってくれるのは上杉さんだけですね~」

なんて口々にからかいながら
俺と由紀をここにいる全員で祝福してくれた。

由紀ははずかしそうに、真っ赤な顔をしてキュッとYシャツをつかんでいた。
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by ichigo-ichigo205 | 2015-07-30 13:35 | ・運命という名の恋 | Comments(0)