カテゴリ:・今から恋を始めよう( 4 )

懸賞 懸賞

5つのプレゼント

懸賞 2016年 11月 22日 懸賞

2人でUKに移り住んで初めての冬がやってきた。
吉野さんは仕事でUKのみならずヨーロッパ中を出張で行くことが多くなった。
近頃、二人で過ごす時間はあまり多くない。

11月も終わりになると吉野さんはソワソワして
「せっかくUKに居るんだから本物のツリーを買う?」
と嬉しそうに言った。
「え?」
本物って、本物の木?
「ほんとに?」
ワクワクした気持ちも、つかの間。
「え、あ。やっぱりいらない。ここアパートだし・・・」
「だったら俺の仕事も落ち着いてきたから一軒家に移るか?」

ツリーのために・・・・???

「それはちょっと・・・ここで十分よ」
それじゃなくても一人の時間が多くなってきたのに・・・

「そうだ。オックスフォードストリートにイルミネーションを見に行こう」
それはとっても幻想的で早くも10月の頭から点灯されていた。

UKの冬は日本の横浜より格段に寒い。

ギュッと身体を寄せ合って肩を抱かれてストリートを歩く。
「クリスマスのプレゼント、色々考えたんだけど・・・」
その言葉に私はクスクス笑う。
「GPSがついたピアスはいらないわよ」
「うん・・・あれは感度が良いから、1個で十分だ」
「そうね」
「麻子、プレゼントはもちろんサプライズで用意するけど」
「ありがとう」
「でも麻子が欲しいものもプレゼントしたい」

そう言われて私は1つ、ずっと欲しかったものの名前を言った。
それから結局ツリーは用意しないまま、吉野さんは出張の毎日で。

クリスマスの当日。
息が凍るような寒さの中、吉野さんは私を連れだした。
郊外と都会の中間ぐらいの素敵な街並みで車を止める。

「はい。1つ目のプレゼント」

そう私の手に乗せたのは、目の前の素敵な家の鍵で。
機嫌のいい吉野さんと二人でその家に入ると

「2つ目のプレゼント」

そこには私が欲しかったおおきな本物の木でツリーが飾りつけられていて・・・

「3つ目のプレゼント」

ツリーの奥のリビングのテーブルにポツンと1つプレゼントの包みがあった。
お礼をはっきり口に出せないままにその包装紙で分かってしまった。

モニッケンダムだ・・・・!

少し震える指先でその包装を取り去ると
おおきなピンクダイヤが現れて。

「麻子に似合うと思って」

ほんの少し恥ずかしそうに笑いながらそう言って左の指にはめてくれた。

「仕事にめどがついたから。退職して一本に絞ろうと思う」
「・・・・うん」
「この家で、一緒に暮らしてずっとそばにいてほしい」
「うん」
「ごめん。日本には帰らない。それでもいい?」
「覚悟は・・・着いてきた時から出来てる」
「うん」

「はい。4つ目のプレゼント。麻子のリクエストしたものだよ」
「ありがとう!」

私は吉野さんのつけているトワレをリクエストした。

「これ、男性用だぞ?」
「うん。吉野さんが出張で居ない時につけようと思ったの。
抱きしめられているような気持になれるかな・・・って」

そういってシュッとひと吹き手首にかけた。

吉野さんは何も言わずにギュッと私を抱きしめる。
きっと吉野さんは今日のプロポーズのために無理に仕事を入れていたんだろう。
ありがとう。

私は、クリスマスに「5つ目のプレゼント」の魔法をかけられて・・・・
吉野麻子になる―――


END*****



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by ichigo-ichigo205 | 2016-11-22 12:48 | ・今から恋を始めよう | Comments(0)

頑張れ吉野さん!②

懸賞 2016年 03月 01日 懸賞

「何やってんの?」

ゲーム作りに煮詰まって部屋から出てみれば
麻子が珍しくゲーム機とにらめっこしていた。

「恋愛シュミレーションゲーム」

麻子がゲームをするのは人並み以下だ。珍しい。

「どれ?」

どんなのをやっているのか気になった。

「え?これ?」

あまりに意外すぎてビックリした。
1回、冗談半分で作った男性用美少女ゲーム「ときめき♡いちごメモリアル」。
意外にも売れて今ではシリーズ化してる。
それの初期バージョンをやっていた。

「なんでこんなのやってるの?」
「この前、同期の新田のぞみが色々日本のモノを送ってくれて」
「うん」
「その中に入ってたの」
「へぇ・・・。新田さんこんなのやるんだ?」
「ううん。同じ部の橋本さんにもらったんだって」
「へぇ・・・」
「のぞみが家に帰ってから暇だって言ったら
橋本さんが、面白いからやってみれば、ってくれたんだって。
のぞみも彼氏が欲しいとか言いながら作らないからね」

「新田さんって、常務のお嬢さんだろ?」
「・・・・知ってるの?」
「人事のセキュリティシステム、誰が作ってると思ってるんだよ」
「あ・・そうか」

「面白いな。そのゲーム橋本さんと話してて冗談で作ったんだ」
「え!そうなの?」
「うん。巡り巡って麻子が遊ぶなんてな」

不思議なもんだ。

「あ・・・ダメだ」
「ん?」
「またフラれちゃった」
「あっはっは。頑張れよ」

さて、新しいゲームの開発でもするか。


END****
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by ichigo-ichigo205 | 2016-03-01 11:32 | ・今から恋を始めよう | Comments(2)

頑張れ吉野さん!①

懸賞 2016年 02月 29日 懸賞

UKに来て以来、吉野さんがずっと仕事部屋に閉じこもって仕事をしていた。
数日ぶりに部屋から出てきたかと思ったら
小さい可愛いピアスをくれた。

「一緒に暮らすようになった記念」

いつものあの笑いをして。
手のひらに乗った小さいピアスは、私たちの恋人のスタート記念だ。

嬉しくなって両耳に付けた。

「ありがとう」

ちょっと泣きそうになって、そう言ったら

「いや~その大きさに作るの意外に大変だった」
なんていう。
これ・・・作ったの?
不思議そうな顔をしている私に、ニヤッと笑って。

「UKってさ?街中のセキュリティカメラの数が世界一だって知ってる?」
「はぁ?」
「420万台って言われてるんだよね。UKで暮らしてて、外出時に1回もカメラに映らないって日はないんだ」
「へぇ・・・」
「だから、そのピアスと連動させた」

「は?」

言ってる意味が分からないんですけどっ!

「そのピアスの近くのセキュリティカメラの映像を自動的に仕事部屋のいくつかのモニターに
送信されるようにUK中のカメラに登録した」

「登録って・・・それってハッキングって言うんじゃないの?」
「う~ん。まぁ専門用語ではそう言う言い方もあるね」

さらりと言うわね・・・

「私子供じゃないんですけど」
「子供じゃないから心配なんだ」

「・・・ロンドン警視庁とか大丈夫でしょうねっ!」
「そんなヘマするかよ」

無事にUKで暮らせますように。
私は願わずにはいられなかった。


END****
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by ichigo-ichigo205 | 2016-02-29 11:27 | ・今から恋を始めよう | Comments(11)

イヤなヤツラ

懸賞 2016年 02月 25日 懸賞

年末に迫ったころ、第4会議室でメンバーの最終調整が行われた。
システム開発部の吉野さんが開発した全社で入れ替える相互システムを
対社外の注文システムだとカモフラージュして
社内の各部から集められた社員に動かしてもらい
スムーズに動くかのチェックなどが主な目的だ。

このプロジェクトの本意は各部の部長以上クラスと経管にしか伝えられていない。

プロジェクトメンバーさえ
新しい対社外の注文システムの立ち上げだと思っているはずだ。

そのメンバー表をシステムを開発した吉野さんがチェックしていて
「一名、替えることは可能ですか?」
と言ってきた。
「別にかまわないんじゃないかな。
その人が重要な案件を扱っていれば部長の許可が下りない可能性はあるけど」

「外食営業からのメンバーを佐々木さんに変更したいのですが」
「佐々木さん?」
「はい。無理でしたら構いません」
「いや。部長に確認するよ」

そう言った経緯でメンバーに加えられた佐々木さんが
今度はハンティングに接触したと報告が上がった。
ほかならぬ吉野さんからだ。

「で?吉野さんはその会話を全部聞いたわけ?」
「はい」
「プロジェクトに全く触れていないと言う証拠は?」

ハンティングに接触はしたが、解雇は見逃せと言う。

「これです」

吉野さんは自分のスマホにすべての会話を録音していた。

「へぇ~・・・準備がいいね」
多少の嫌味も込めてそういえば
「俺は、自分の開発したシステムの情報がどこかから漏れて
狙っている会社がある、と『社員の』義務として報告しているまでです」
「ふ~ん」
「別に黙っていたって良かったんですよ?」
「で?その情報の見返りに佐々木さんを見逃せってこと?」
「彼女、社内規定は知らなかった、ってこと?」
「はい」
「それで済む?4年目でしょう?」
「だから、目をつぶってくださいとお願いしてるんです。
情報と引き換えに!」

録音から彼女が白なことは想像に難くない。
3人で目配せをして、ちょっと吉野さんをからかうことにした。

「その情報と彼女の解雇と同列に扱うなんて虫が良すぎないか?」
「と言うと?」
「会社としては彼女一人を解雇したほうが見せしめにもなっていいと思うな」
「そうだな。実際に情報を流したやつがいるんだから」
「・・・・」
「じゃぁ、お願いから、警告に変更します」
「警告?」
「情報は提供しました。彼女を見逃してほしいとお願いしたにもかかわらず
見せしめにしようと言うなら、プログラムを1つダウンさせます」
「へぇ・・・」

「吉野さんはうちの社員だよね?それって入社の契約に違反するよな?」
「すべてをダウンさせるわけではないです。
ほんの1つ数字をいじってほんの1つのプログラムを使用不可能にするだけです」
「使用不可能にするだけって、軽く言うね」
「開発にいくらかかってると思ってるんだよ」
「ですから、見逃してくれと、お願いしていたじゃないですか!」

「そこまで彼女をかばうのは、個人的感情?」
俺らが意地悪く言うと、
「関係ありません」
と、吉野さんは不貞腐れた。
感情が顔に出てるぞ。

システムの天才も恋には勝てないか。

ここら辺にしとこうぜ。
と、3人で目配せして。
吉野さんの意見を飲んだ。

そして約3カ月後
吉野さんの恋は上手く行ったのかと探りを入れるために
エントランスで佐々木さんを捕まえたら
明日から1週間、UKに準備に行く吉野さんのことを
知らないようで。

ちょっと吉野さんにあの情報をくれた『お礼』をしようと思いついた。

案の定、佐々木さんは明日から吉野さんがずっとUKに行くものだと勘違いして
羽田に半休を取って会いに行った。

出国ロビーでの感動的な場面に立ち会いたかったよ♪

1週間後に帰ってきた吉野さんは経管に文句を言いに来た。

「あんたら、佐々木さんに何言ったんだよ」
「え?俺ら余計な事しちゃった?」
「俺が1週間で帰国するって知ってたよな?」
「佐々木さんが吉野さんと話したそうだったから、飛行機の時間を教えたんだけど
いけなかったか?」
「だよな?俺らもしかして二人のキューピッド?」
「・・・・」
「感謝してほしいぐらいだよな~」

「経管、ほんっとにムカツク!」

その一言で俺ら3人は一斉に笑い出した。

「これでお相子だよ。あの時、俺らを脅しただろ?」
「経管を脅したらどうなるか分かった?」
「システムダウンさせるぞ!」
「またまた~。本当は俺らに感謝してるくせに~」
「あんたら、本当にいい根性してるよ。
人の恋路にここまで首突っ込んで」

「俺ら、花の経管ですから」
「威張るなよ・・・」

「今日飲みに行こうぜ。羽田での話聞かせてよ」
「・・・・」
「感動的な再会だっただろ?」
「・・・・」
「まさかロビーでチューとかしちゃった?」
「・・・・」
「図星かよ!飲みに行こうぜ!」
「詳しく聞かせてよ!」
「・・・・・しょうがねぇな。経管のおごりだからな」

「じゃぁ、いつもの居酒屋で」

END******


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by ichigo-ichigo205 | 2016-02-25 11:47 | ・今から恋を始めよう | Comments(0)