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懸賞 懸賞

君が泣かないためならば

懸賞 2018年 08月 10日 懸賞


好きな人がいる。

入社以来ずっとずっと好きな人だ。
手の届かないところで笑っていた。
幸せそうに笑って、幸せそうに綺麗になって行った。

友達としてそばにいられればいい。
せめてもの願いとして、友達としてでもそばに居たい。

そう思って来た。

その人の幸せだけを願って
その人の笑顔だけが見たかった。

その人を幸せにするのが俺じゃなくても
その人を笑顔にするのが俺じゃなくても
そばにいられるだけで十分だと思った。

男と別れて
心からの笑顔が見られなくなって
俺は何も助ける事が出来なかった。

そばに居ても、その人を幸せそうに笑わせる事は出来ない。
自分で自分のふがいなさに、泣けてきた。

やがて、俺の気持ちにほんの少し答えてくれて
彼女の隣の席に座る事が出来た。

夢みたいだった。

でも明日香―――

本当はあいつを心の奥底で忘れていない事は分かってる。
2番目でも良いんだ。
そばに居られるなら。

2番目でも良いんだ。
そばに居てくれるなら。

そう思って来た。

だから、俺が全部かぶってやるよ。

幸せになれ。明日香。

俺が幸せに出来るのなら1番いいんだけど。
でも、それは出来ないんだよな。

大好きだよ。
世界中で誰よりも。

例え、世界中の人が俺をカッコ悪いと笑っても
君が泣かないためならば俺は何でもしよう―――


END*****


皆様、残暑お見舞い申し上げます!
まだまだ暑い日が続きますのでご自愛ください

 2018/夏 いちご








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by ichigo-ichigo205 | 2018-08-10 14:51 | ・君が泣かないためならば | Comments(0)

Happy Wedding!

懸賞 2017年 04月 29日 懸賞

兄貴と明日香さんの結婚が決まって
式場も決まり、ウエディングドレスを選ぶ段階になって
明日香さんが紗江子さんを誘った。

兄貴が「俺もついていく」といったのでなんとなく俺もついてきた。

何だか良く分からないけど明日香さんのドレスを決めるのに4人でワイワイとやってきた。

「明日香。これが似合う!」
「紗江子ちゃん見て!このドレス可愛い!」

完全に兄貴と俺は蚊帳の外で、用意された椅子に座っていた。

「お前、紗江子と結婚すんの?」
明日香さんと紗江子さんのはしゃぎっぷりを遠くから眺めながら
兄貴がぽつりと言った。

俺と紗江子さんのことに何かを言うのは初めてで

「そのつもりだけど」
「紗江子の年齢知ってるよな?」
「兄貴と同じ年だろ」

「この年の女が後4年待つってどんだけ大きいかちゃんと分ってるよな?」
「分かってるつもり」
「絶対大事にしろよ」
「分かってる」
「これはお前の兄貴じゃなくて、紗江子の友達として、だから」
「あぁ」
「大学で同年代の女の子にフラッと行きそうになるんだったらさっさと別れてくれよ?
もっといい男なんか会社にたくさんいるんだから」

「分かってる。紗江子さんが今俺を選んでくれたことを絶対に後悔させない」
「すごい自信・・・」

兄貴はそう言って笑った。

「俺、世界中で俺より紗江子さんを愛せる男はいないと思ってるから」
「まぁ、俺も明日香にそう思ってるけど」

笑いながら兄貴は同調した。

「明日香はかわいいからなんでも似合うよ」
持ちきれないほどのドレスを腕に抱えた紗江子さんは
嬉しそうに明日香さんを眺めて
それとは対照的に、明日香さんの顔は浮かなかった。

「明日香、どうした?」

そんな明日香さんに兄貴も気が付いて声をかけると

「結婚式辞める」

と明日香さんがぽつりと言った。

「明日香?」
兄貴と俺は椅子から立ち上がって二人のそばへ行くと
「ねぇ。啓、いいでしょう?」
「分かった」
兄貴は苦笑いしてて
俺と紗江子さんだけが慌てて
「ちょっと明日香!何言ってるの?」
「兄貴!分かったって」

「二人とも落ち着けよ。明日香は結婚をやめたんじゃなくて
『結婚式』をやめたって言ったんだ」
「・・・・」
「・・・・」

「明日香、紗江子と一緒に結婚式したいんだろ?」
「うん。さすが啓!」
そう言って明日香さんは兄貴に抱きつく。

結婚式を?

「そのドレスを脱いだら、式のキャンセルに行こう。
4年後に4人で式をしよう」
「啓!ありがとう!」
「籍は入れるぞ」
「うん!」

2人で周りをはばからず抱き合っているけど・・・

「ちょっと待って。私たちに合わせることないわよ。
ちゃんと予定通り結婚式して!」

紗江子さんが慌てて
「4年後の・・・100%の約束なんかできないし」
小さい声でそう言った。

「それは俺が保証する」
俺は紗江子さんの肩を抱き寄せた。

「当たり前でしょ!そんなの私が許さないわよ!」
明日香さんが俺を笑いながらにらみつけて・・・

「よし。じゃぁいい日に籍だけ入れよう。
4年後の式が楽しみだ」
パンと手を叩いた兄貴に、それで話はついたとばかりに4人がうなづいた。

「ハワイがいい!」
「いいね!」
「海がダーと見える式場がいいわ」
「いいな」

そう話し合った4年後。
4人でハワイの教会で結婚式をした。
おそろいのウエディングドレスとおそろいのタキシードで。
2歳になる兄貴たちの息子も一緒に。

「紗江子さん世界中で1番綺麗だ」

俺が思わず口から出たそのセリフに兄貴が大笑いして

「明日香が世界で1番綺麗だよ」

2人の男のセリフに女性陣が嬉しそうにはにかんで

「一緒に結婚式が出来て本当に幸せ」

泣きそうだった。

Happy Wedding!







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by ichigo-ichigo205 | 2017-04-29 14:15 | ・君が泣かないためならば | Comments(0)

妹よ・・・おまけ

懸賞 2016年 06月 26日 懸賞

おまけ***

「じゃぁ、さえちゃん・さっちゃん・さえさえ」
「はぁぁ?」

俺がどんどん紗江子の呼び方を提案するたびに
司の機嫌が目に見えて悪くなる。

「じゃぁ、可愛く、ちゃえこ・ちゃえちゃん・ちゃーこ?」
「兄貴、いい加減にしろよ・・・」

ちょっと面白くなってきた。

「じゃぁ、面白く、さえっぺ・さえっち・さえりん?」
「・・・・」

はじめはキョトンとしてた明日香と紗江子がニヤニヤしだした。

「あのさぁ、兄貴。俺の言ってる意味わかる?」
「わかるよ。わかるから、選択肢を考えてやってるんだ。どれがいい?司が選んでいいよ」
「・・・・」

「紗江、にするか?」
「ダメだ!」

「司は何を言っても駄目だっていうんだな」
「・・・・」
「じゃぁ、いっそのこと武田さん、でいいか」
「はっ?」
「名前がだめなら苗字しかないだろ?」

「・・・・だめだ。紗江子さんは『森川』だ」
「でも、森川さん、とは呼べないだろ?」
「・・・・・」

「そうね。会社でもし呼んじゃったら困るしね」
明日香がニヤニヤして言う。
「そうね。武田さんでいいわ」
紗江子もニヤニヤして言った。

「・・・・」
そんな二人に司が黙り込む。

「じゃぁ、武田さん、な」
「そうね」
「そうしましょう」

そう言う俺たちに
「・・・いいよ。今まで通りで」
そうふてくされた司がいた。

紗江子と明日香と俺はそんな司を見て大笑いした。


END****
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by ichigo-ichigo205 | 2016-06-26 22:08 | ・君が泣かないためならば | Comments(4)

妹よ・・・

懸賞 2016年 06月 22日 懸賞


「あら。お兄様」

またかよ・・・
また、実家に来る日が紗江子と司と一緒になった。

「紗江子も司も久しぶり」

全然久しぶりじゃないけどな。
たしか、先月も会った。

「兄貴さぁ!」

会ったとたんに司の機嫌が悪くなった。
な、なんだよ・・・

「前から言おうと思ってたんだけどっ」

お。おう。

「紗江子さんの事、『紗江子』って呼ぶのやめてくれない?」
「は?」
「なんで、夫の俺が『紗江子さん』って呼んでるのに、兄貴が紗江子な訳?」
なんでって・・・同期だから?

「じゃぁ『紗江子さん』?」
「それも俺と一緒だろ?」

はぁぁ?

「じゃぁ、『紗江子ちゃん』?」
不本意だな・・・

「ダメぇぇ!『紗江子ちゃん』は私の呼び方!一緒にしないでっ」
一緒にしないで!って・・・明日香・・・
呼び方に一緒も何もあるか?

「おーっほっほっほ。お兄様。私をなんとお呼びになる?」

ちくしょっ・・・

そこで、コソッと紗江子が俺に耳打ちした。

「明日香って啓より私のことが好きなんだって」

はぁぁぁ?

「紗江子ちゃんお義母さんが呼んでる。一緒に行こう♪」

「ふふ。じゃぁお兄様、また・あ・と・で」

笑いながら紗江子と明日香が向こうに行った。

「いい?兄貴。『紗江子』ってもう呼ぶなよ?」

司もそういいながら母さんの所に行った。

もう、どいつもこいつも!

『妹』って呼べばいいのかよっっ!

END*****
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by ichigo-ichigo205 | 2016-06-22 21:55 | ・君が泣かないためならば | Comments(2)