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懸賞 懸賞

桜色

懸賞 2018年 03月 15日 懸賞

春、真っただ中の日曜日。

お弁当を持って、レジャーシートを持って山下公園にやってきた。
いつもより早い満開の桜は、それは見事で
散り始めた花弁がゆらゆらと海の水面に吸い込まれて落ちて行った。

山下公園の広い芝生にシートを敷いて
お弁当を食べ終わった後、矢野さんがごろりとなって
「良い季節だな」
と言った後
「うわ。やなもん見ちゃった」
と目をつぶった。

イヤなもの?

周りを見るけど、そんなものは見当がつかなくて
きょろきょろしている私に
「会社が見えた」
なんて苦笑いした。

山下公園の左手には、桜木町のみなとみらいが一望出来て
その中の高層ビル群の中に、矢野さんの勤める会社がある。

「さくら。おいで」
寝ながら両手を広げて私に、おいでをする。
「ココで2人で寝るの?」
「誰も見てないよ。会社を見ちゃった俺を慰めて」
会社を見ちゃったって・・・
だったらココに来なきゃいいのに。

そっと矢野さんの隣にごろんとなれば
腕枕をしてくれて、私の頭を抱え込む。

横を向いて、矢野さんの身体にすりよれば
矢野さんは私の左手をとって自分のお腹に乗せた。

「すげー幸せ」

爽やかな春風と桜と
海の匂いと右隣にいる好きな人。

「私も幸せ」

そう言って矢野さんの腹筋を撫でた。

そんな私に笑って
私の手を握って指先のピンク色の爪を見る。
「どこもかしこも桜色だな」
なんて笑いながら指先にキスをした。

矢野さんはジーンズのポケットに手を入れて
ポケットの奥の方から何かをとりだした。
「もう1つ。桜色のモノを身に着けてほしいんだけど」
そう言いながら、私の左手の薬指に、指輪をはめた。

「矢野さ・・・」

「俺のお嫁さんになって」

指にはめてくれたのは淡いピンクのダイヤモンドで
「指輪を買いに行って、もうこれしか目に入らなかった」
矢野さんは恥ずかしそうに私の指に収まった指輪を眺めた。

私は名前からとって昔から自分のラッキーカラーはピンクだった。

そんなピンク色をした綺麗な指輪が私の左手に好きな人がはめてくれた。

「矢野さん!大好き。本当に大好き。この季節にプロポーズしてくれてありがとう。
ずっとずっと一緒に居たい」
「うん。ずっと一緒に居よう」

そう言いながら亮は私にそっとキスをした。

桜が満開のこの季節に
桜が咲く横浜の山下公園で
私は好きな人のお嫁さんになる事を決めました。

END****





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by ichigo-ichigo205 | 2018-03-15 15:20 | ・横浜発 7:54 | Comments(2)

自慢

懸賞 2017年 05月 05日 懸賞

いつもの電車に横浜から乗って、職場のある桜木町を1つ過ぎた駅で降りる。
改札は工事中でいつもとちょっと勝手が違っていた。

ここでいいんだよね?

何だかいつもと違う雰囲気の改札を出ると
すでに矢野さんが待っていて。

「さくら、こっち」

と、さわやかに笑う。
今日は矢野さんのお兄さん夫婦と一緒に食事会だ。

この前、私の姉と矢野さんが会ったので
(って、同じ会社の人だから顔見知りだけど)
今度は、矢野さんのお兄さんに会わせてくれるという。

お店は駅から5分も歩かないギリシャ料理のお店で
私はギリシャ料理なんか初めてだ。
ちょっとワクワク。

ブルーとホワイトを基調とした店内は明るくて
いかにもギリシャっぽい雰囲気でいい感じ。

私たちがお店に入ると先に着いていたお兄さん夫婦が軽く手をあげた。

あ。矢野さんに似てる、かな。

純さんと晴菜さんだと自己紹介されて
楽しく話していると、純さんの晴菜さんへの過保護っぷりは
夫婦というより兄妹のようで
恋人は・・・・矢野さんと晴菜さんのような錯覚さえ起こした。

晴菜さんも旦那さんであるはずの純さんを「純にぃ」と呼んで
恋人ではないはずの矢野さんを「亮ちゃん」と呼ぶ。
この幼馴染の三角関係は私の知らない歴史があるんだろう。

そんなことにふと気が付いて、愛想笑いをしているとき
矢野さんが
「ちょっと丸山呼んでくる」
と席を立った。

え?丸山さん?

そのセリフに純さんと晴菜さんが堪え切れない様に笑い出して。
その二人を矢野さんが睨んでお店の奥に行った。

「ねぇ。さくらちゃん」
「はい」
「今日、このお店にするって亮ちゃん何か言ってた?」
「私はギリシャ料理を食べたことがないだろうから
美味しいお店に連れて行ってくれるって・・・」

その言葉を聞いて純さんと晴菜さんはさらに噴き出して笑った。

「確かにこのお店は美味しいんだけど」
「本当の理由はそこじゃないのよ」
「え?」

「今呼びに行ってる丸山さんね、ここのシェフなんだけど」
「はい」
「亮ちゃんの学生時代からの友達なの」
「はい」
「自慢したいんだろ。さくらちゃんを」
「え・・・」

「家でも、さくらちゃんを可愛い可愛いってずっと言ってるの」
「そうなんですか?」
「あら?さくらちゃんには言わないの?」
「あ、言ってくれますが・・・」

「言ってるのか!亮やつうるさく言いそうだな」
「ね!亮ちゃん、しつこく言いそう」

そう言ってまた二人で笑い出す。

「俺たちにも自慢したくて会わせて
丸山君にも自慢したくて、ここで食事をすれば一石二鳥だしな」
「確かに!」

そうなんです、か?

「さくらちゃん、亮ちゃんが嫌なことしたら私たちに言ってね」
優しく笑うその顔は
きっと昔矢野さんが好きだった顔だ。

「はい」

「俺たちはさくらちゃんの味方だから」
優しく笑うその顔は
すべてを知っているお兄さんの顔だ。

「はい」
多分私のカンはあってる。
そしてそれを見越して矢野さんは今日この二人に会わせてくれたんだ。

「なんだ。彼女の自慢かよ」
恰幅のいいコックコートを着た男性が笑いながら席に来て

「悪い?かわいいだろ。彼女のさくら」

矢野さんは丸山さんに私を紹介してくれた。

「さくらです。よろしくお願いします」

「予約って、俺に彼女を自慢するためかよ~」
丸山さんは、機嫌よさそうにもう1度言った。


END****








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by ichigo-ichigo205 | 2017-05-05 05:05 | ・横浜発 7:54 | Comments(4)

兄弟

懸賞 2016年 12月 21日 懸賞

1週間の本社勤務のためにフランスから帰って来た私を
広報の矢野主任がエントランスで捕まえた。

「長谷川さん」

この人は妹の彼氏じゃなければ、カッコいいと見惚れるところだ。

「なんでしょう?」
「ちょっと10分ほど良いかな?」
「はい」

エントランスの奥のパーテーションで仕切ってある応接セットに座った。

「あのさ、宮本くんと結婚するつもりだよな?」
「え?」
「いや。深い意味はないんだけど、昨日ふと、俺とさくらが結婚して
長谷川さんと宮本くんが結婚したら、俺って宮本くんの弟?と思ったんだ」

その困ったような苦笑いにおかしくなる。

「そうなりますね」
「だよな」

「でも、矢野主任はさくらと結婚するつもりなんですね?」
「そりゃぁもちろん。そう遠くない将来にプロポーズするつもりだけど」
「よかった」

「さくらのことをよろしくお願いしますね」
「それは任せて。結婚相手はさくらしかいないと思ってるしな」

「でも、義兄弟ってウチだけじゃないですよ」
「え?そうなのか?」

「経理の篠塚さんと経管の楠さんも義兄弟ですよ」
「え?そうなの?」

「この前退職なさった秘書の武田さんは海外の森川さんとご夫婦だったので
武田さんと、企画の森川課長代理も義兄妹って事ですよね」
「なるほど」

「案外世界って狭いですよね」
「悪い事は出来ないな」
深い意味もなく、そう言った矢野主任に

「悪いことは、しないでくださいね!」
にっこり意味ありげな笑顔でそう答えた。

END*****







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by ichigo-ichigo205 | 2016-12-21 14:48 | ・横浜発 7:54 | Comments(0)

出会いの256分前

懸賞 2016年 12月 01日 懸賞


*sideさくら*

毎朝、同じ電車に乗る。
少し早めに会社に着いて、コーヒーを机で飲む。
この時間のために少し早めの電車に乗るけど、姉の朝はもっと早い。
あの会社はなんだか忙しそうで、私には今の会社ぐらいの忙しさが丁度いい。

あ。あの人、また本を読んでる。何を読んでいるのかちょっと気になる。
今日はお弁当じゃないから、
外にお昼を食べに行こう。
12時になったら早く会社を出ないとなぁ~
混んじゃうよね。

今日隣になった男の子のヘッドフォンから漏れ聴こえた曲は
確か去年はやった曲だ。

ふと反対側の隣を見れば、あの人だ。
たまに会う、すごくかっこいい人。
近頃見なかったのは出張だったのかな。
今日会えてラッキー♪
今日もいいことありそう。

*side亮*

本社に出勤の時はいつもこの電車に乗る。
始業の40分前に着くこの電車は、俺の会社では決して早いほうではない。
けど、この電車はほんの少し空いていて楽だからだ。
頭の中で、ざっと今日の仕事の流れをシミュレーションする。

あ~・・・どうしても昼前のアポがギリギリだな。
少しでも長引いたらアウトだ。
部長とのランチミーティングを今日入れなきゃよかった。

何とか無理やり帰ってくるか。

午前中のぎゅうぎゅうに詰めたアポをどう効率よくこなすかを
2分間の電車の中でひたすら考えた。

ふと、隣を見たら、あの子がいた。
かわいいな、と思って気にしだしたら
この電車に乗るときに探すようになっていた。

今日会えてラッキー!
午前中のアポもうまくいきそうだ。


256分後―――

「お疲れ様です」

「お疲れ」


End*****
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by ichigo-ichigo205 | 2016-12-01 21:37 | ・横浜発 7:54 | Comments(0)

計画通り?

懸賞 2016年 09月 09日 懸賞

約束通り、フットサルの試合を見に来て
亮の腹筋にドキドキ・キュンキュンする。

ユニを着替える時にあからさまに裸の腹筋を見るのも好きだけど
胸元をつまみ上げて顔の汗をぬぐった時に見える
チラ見の腹筋がたまらない!

ルールを知らない私は
ゴールの時にしか歓声をあげることは出来なかったけど
亮の腹筋にずっとドキドキしていた。

その後、この前のように飲みに行き
亮がみんなに無事に付き合い始めたことを報告すると
皆は「良かった、良かった」と大笑いだった。
(女の子は不機嫌だった)

少し酔って来たころ、亮が席を立った時に一人が思い出したように言った。
「木曜日だったかな?亮から電話で試合を組んでくれって言われたのは?」
「そうそう。確か木曜日だ」
「俺らが絶対に勝てる、年配チームを選べって言われたんだ」
「お前今仕事が忙しいから、当分試合無理だって言ってただろ?って言ったんだけど」
「絶対に次の土曜日に試合組めって言われたんだよな~」

そうなの?

「で、さくらちゃんを連れてきたから、ああ、って皆納得したんだ」
「え?」

「今まで、女の子なんか試合に連れてきたことないのにさ」
「年配チームと組んだのは自分たちが絶対に勝ちたいから」
「カッコいいところを見せたかったんだろ」
「でも、それでうまく行ってよかったよ」

亮ってば・・・声をかけた翌日、私が電話した後に試合を組んだの・・?

「あのさ、そーゆーのって普通ばらさないのが友達じゃないの?」
席に帰ってきた亮が、顔をしかめてそう言った。

「まぁいいじゃん。上手く行ったんだから」
「・・・まぁね。でも、さくらが俺に惚れたのは、
試合中にカッコ良かったからじゃないけどね・・・」
「へぇ」
「さくらちゃんは矢野のどこに惚れたって?」

「腹筋・・・」

END*****





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by ichigo-ichigo205 | 2016-09-09 07:54 | ・横浜発 7:54 | Comments(0)

ビックリ②

懸賞 2016年 09月 06日 懸賞


「海外の長谷川さんがお姉さんだって言ってくれればよかったのに」
「なかなか言い出せなくて・・・」
「そっか」

「あれ?もしかしてさくらちゃん?」
「山崎先輩!」
「うわ。久しぶり。加奈に会うことある?」
「はい。元気ですよ。吉岡先輩とうまくいってます」
「そっか。俺も吉岡にはたまに会うよ。今度皆で会おうか」
「良いですね。加奈に連絡しておきます」
「おぅ。俺も楽しみ。って、矢野主任?」
「・・・・経管の山崎とも知り合い?」
「あ、大学の先輩です」
「そうなんだ」
「矢野さんはなんでさくらちゃんと?」
「付き合ってるんだ」
「へぇ~。さくらちゃんの大学時代の話、良かったら教えますよ。元彼の話とか」
「山崎先輩!」
「うそうそ。じゃ、俺あっちで飲むんで」


「あれ?さくらちゃん?」
「麻子さん?去年イギリスに行ったって聞きましたけど・・・」
「うん。ちょっと里帰り。珍しいところで会うわね。梨乃ちゃん、元気?」
「はい。レン先輩とうまくいってます」
「そう・・・よかった」
「梨乃ちゃんにもちゃんと会って、話がしたいけど今回は時間がないわ・・・」
「麻子さん、今幸せですか」
「うん。とっても。梨乃ちゃんに会うことがあったら
今度直接会って話がしたいって言っておいて」
「はい」

「懐かしいわね・・・ってさくらちゃん矢野主任と?」
「・・・・君はたしかシステムの吉野くんと結婚した佐々木さん?」
「はい。吉野がお世話になっております」
「・・・いえ。佐々木さんとはどんな知り合い?」
「大学の先輩です」
「へ~」
「矢野主任はどうしてさくらちゃんと?」
「付き合ってるんだ・・・」
「へぇ。そうなんですか。さくらちゃんの大学時代の事、今度教えますね」
「麻子さん!」
「ふふ。嘘よ。じゃぁ、私はあっちで飲みますので」


「さくら、キミは俺よりこの会社の人と知り合いみたいだね」
「たまたまです!」

「なんだか一歩出遅れた感じ・・・」



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by ichigo-ichigo205 | 2016-09-06 07:54 | ・横浜発 7:54 | Comments(6)

ビックリ①

懸賞 2016年 09月 03日 懸賞


「矢野さんは兄弟はいるの?」
「亮って呼んでよ」
「・・・・亮、兄弟はいるの?」
「いるよ。兄貴。結婚して隣に住んでる」
「え?隣に?」
「そう。隣の一人娘と結婚していまだにバカップル!」
「そうなんだ」
「さくらは?兄弟は?」
「姉が一人・・・・」
「へぇ。今度会わせてよ」
「いいけど・・・」
「うん。楽しみ。俺、さくらのお姉さんに気に入られると思う?」
「しつこくしなければ・・・」
「え?なに?なんて言った?」
「ううん。なんでもない」
「善は急げでさ。今度の金曜日、3人で会おうよ」
「金曜日、ですか」
「うん。どこにしようか」
「いつもの、亮の会社の近くの居酒屋さんでいいよ」
「え?あんなところでいいの?」
「うん・・・」


金曜日―――

「さくらのお姉さんに会うの緊張するな」
「・・・・・」

「矢野主任」
「ん?山口と、海外の長谷川さん。キミたちも飲み会?」
「ふふふ。一緒に飲みましょう」
「いや。今日はだめだ。大事な人と飲む約束だから」
「へぇぇぇ~」「へぇぇぇ~」
「さくら、この人たちは会社の人なんだ」
「・・・・」
「あの・・・亮?」

「亮だって!」
「矢野主任のこと亮だって!」
「・・・・・」
「どうした?さくら」
「あの・・・姉のすみれと、よくしてもらっている真樹さんです」
「は?」
「・・・・」

「はぁぁぁぁ?」

「よろしく。さくらの姉のすみれです」
「よろしく。さくらをかわいがっている真樹です」
「・・・・よろしく。さくらとお付き合いさせていただいている、矢野です」
「・・・・・」

「さ、二人の馴れ初めからゆっくり聞かせていただきましょうか!
ね。矢野主任!」
「・・・・」
「・・・・」
「ま、リアルタイムで知ってるけどね」

二人はにやにやと笑いながらビールを飲んだ。
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by ichigo-ichigo205 | 2016-09-03 07:54 | ・横浜発 7:54 | Comments(0)