カテゴリ:・蛍の想ひ人( 7 )

懸賞 懸賞

花火大会⑥

懸賞 2018年 08月 28日 懸賞


「直子、今から町内のお祭りだけど一緒に行かねぇ?」

春先にフラれて、ボーっとしている事が多くなった。

何も考えずに仕事をすれば
残業する程多くの仕事を抱えているわけではなくて
毎日のように5時に上がれる。

好きだった人にいつ誘われても良いように
ここ1年ぐらい友達と遊びに行ってない。

こんな時に、泣きながら愚痴を言って
慰めてくれる友達なんかいやしない。

隣の家の3つ下のクソ坊主が、気にしてくれるけどガンムシだ。
年下は興味ない。

「行かない」

昔よく2人で行った町内のお祭りは
大きいわけでもなく、短い商店街に露店が出る程度だ。

「行こうぜ。近頃ふさぎこんでるだろ」
「あんたに関係ない」
「フラれたぐらいでなんだよ」
「うるさいな!」

こいつは年下とは思えないほど遠慮がない。

「だから、俺にしとけって言ってんだろ」
馬鹿じゃないの?
「年下には興味ないから」

年下には興味ない。

ううん。他の誰にも興味ない。

「なぁ、俺だってしっかり社会人してんだよ?」
「へぇ~」

「もう3つ下の隣のクソ坊主じゃねぇんだよ?」
「へぇ~」

「って、死ぬまで3つ下だけどさ」
「だね」
「クソッ。こんなこと言いたいんじゃないのに」
「悪いけど、ほっといてくれない?」

無表情でそう言えば、いきなり目の前が真っ暗になって何事かと思った。

一瞬ビックリした後、ああ、祥一に抱きしめられてるんだ。と気が付いた。

「直子バカじゃねぇ?」
「・・・・」
「お前純粋なくせに、遊んでるオンナの振りして」
「・・・・」
「そいつのそばに居たいからって、遊んでるオンナのふりして」
「・・・・」
「いつそいつから声がかかっても良いように、友達全部切って」
「・・・・」
「それで、本気の女と両想いになったからってあっさりフラれて」
「・・・・」

「直子、ほんとにバカじゃん」
「・・・・うん」

「だから!だから俺にしとけって前から言ってんだろ!」

涙が出てきた。
フラれてから、ずっと泣けなかった。
眠れなくて、辛くて、寂しくて、悲しくて。
それでも泣けなかった。

加賀くんが幸せになれるのなら、それでいいと思った。

「ほら!浴衣着ろ!」

祥一は、勝手知ったる私のタンスから浴衣を出した。

「俺のために着ろ!」

「・・・」

「んでお祭り行くぞ」

「・・・・うん」

「これからは俺にしとけ」

「・・・・」

「そこは、即答するところだろ!」

「あっはっはっは」
久しぶりに笑った。

うん。
すぐに加賀さんを忘れられる訳はない。
こんなに好きだったんだもん。
でも、きっと祥一はそれも分かってる。

でもゆっくり忘れて行こうと思う。

「忘れられるかな?」

ほんの少し気弱に言えば

「直子の事『吉村ちゃん』なんてふざけた呼び方するオトコなんか祭りから帰ってきたら忘れてるさ」

ニカッと笑った祥一は3つ下とは思えないオトコの顔をしていた。

END****



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by ichigo-ichigo205 | 2018-08-28 13:55 | ・蛍の想ひ人 | Comments(6)

風が吹き始める日

懸賞 2018年 08月 19日 懸賞

由布子さんと結婚しようと決めて
善は急げと準備をする時点で

案の定、というか、ここか、というか、想定内、というか
結婚にストップがかかった。

母親「たち」だ。

「博之があんなことになって、由布子さんと思い出に浸り合っていたことは
今となっては申し訳なかったと思うわ。
私が寂しいから、由布子さんを道連れにした感じになってしまったけど
由布子さんは早く博之を吹っ切って幸せを探さなきゃいけなかったのにね」
「おばさん・・・」
「でも、ごめんなさい。信之も私の大事な息子なのよ。
博之を忘れ切れていない由布子さんと一緒になっても幸せになれるとは思えないわ」
「・・・・」

「私も、反対よ」
由布子さんのお母さんが静かに話し出す。
「博之君と由布子は誰しもが結婚すると思っていたわ。
だから博之君があんなふうになったときの貴女を母親でも見てられなかった。
加賀さんと博之君の思い出を話すことで保っていたのよね。
でも、それと、博之君の弟の信くんと結婚するのは別よ。
貴女、一生博之君から離れられないわよ」

2人の言葉はそれぞれの子供を思いやる気持ちで
俺たちはそれが分からないほど子供でもなく
反対を押し切ってまで結婚する気はなかった。

「全員に祝福してほしい」

由布子さんが俺に出した唯一の結婚の条件だったからだ。

うん。俺も全員に祝福してほしい。

兄貴にも―――

「二人の心配は良く分かるよ」
「信之」

母親の辛い顔を見るのは俺も辛い。

「でも、別に俺たちは兄貴を無理に忘れようとはしていないんだ」
「信之!」
「信くん・・・」

「俺たちは兄貴の思い出も含めて結婚したいんだ」
「・・・・」

「決して傷の舐め合いじゃないよ」
「・・・・」
「本当に穏やかな気持ちで兄貴を含めて、なんだ」
「・・・・」

「俺の人生で兄貴を消せるわけはないし、由布子さんの人生でも、だ」
「うん。そうなの」
「母さんたちも、だろ?」
「・・・・」

「忘れる必要はないんだ」
「信之」

母さんが人前で兄貴の事で泣くのは久しぶりだ。
母さんはずっと独りで泣いていた。

「でも、なんだか信之が可哀そうに思えて」

あぁ、俺のために泣いてくれてるのか。

兄貴が亡くなって、しばらく母さんの頭の中は兄貴の事だけだった。
母さんの生活の全てが兄貴のことを想い出すことだけで費やされた。

俺は半分は忘れられた存在で
兄貴を思い出させるこの顔は
大人しく過ごすことがこの家での暗黙の了解だった。

そんな俺のために泣いてくれるんだ。

俺も母さんの息子なんだな。

「可哀そうなんかじゃないよ。
最高に幸せだよ。兄貴が亡くなって6年。
やっと由布子さんが俺に振り向いてくれたんだ。
やっと兄貴が俺に由布子さんを託してくれたんだ」

「・・・・」

「だから、全員に祝福してほしい。
母さんにも。由布子さんのお母さんにも」
「・・・・」

「あなたは、それで幸せなのね?」
「もちろん」

「由布子は?博之君の『弟』じゃなくて信くんが好きなのね?」
「うん」

全員に祝福してほしい。
一点も曇りのない心で。

なぁ、兄貴。祝福してくれるんだろう?

さて、み~んなで式場見学に行くか!

END****





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by ichigo-ichigo205 | 2018-08-19 11:14 | ・蛍の想ひ人 | Comments(0)

朝凪×蛍 博之の想ひ

懸賞 2018年 05月 05日 懸賞


ナツ。
キミのことを想うこの気持ちをどんな言葉で言い表せばいいのだろう。

愛しくて、愛しくて
悔しくて、悲しい。

愛しているとそんな言葉じゃ軽いとさえ感じる。

キミを残して逝くことにどれほど悔しい思いをしただろう。

これから先、年老いて寿命を迎えることを信じて疑わなかった。
その年月を一緒に過ごして一緒に成長し
一緒に家族を作り、それを一緒に微笑む時間を過ごせると思っていた。

キミが俺以外のだれかを愛するのが許せなくて
ずっと君が一人でいればいいとさえ思った時期もあったよ。

でも、今は。
キミを支えてくれる男がいればいいと思っている。
1人で泣くキミを見るのはつらいよ。

キミを支え
キミを包み込み
キミの悲しみを半分にして
キミの嬉しさを共に笑える相手が。
そして俺と同じぐらい君を愛してくれる男が・・・

いつまでも泣いていてはいけないよ。

キミには笑っていて欲しいんだ。

その顔が大好きだったから。

その笑顔を引き出すのが俺じゃなくなったことは悔しいけれど
その役を、その隣を、信之に譲ろうと思う。

あいつは、ずっと昔からキミが好きだったんだ。

あいつに幸せにしてもらえ―――

俺が唯一、キミの隣を許した男だ。

きっと君を笑顔にしてくれるだろう。

でも。
願わくば。
たった1つの俺のわがままをかなえてほしい。

年に1日でいいんだ。
ほんの少しの時間だけ俺にくれないだろうか。

そうだな。
想い出すのは、俺の命日でもなく誕生日でもなく・・・
あの日がいいな。

高校1年のあの日。
その年の夏のにおいがしたあの日。
俺がナツに初めて好きだと告白したあの日。

ほんの一瞬でいい。
あの日に心を飛ばしてほしい。

俺だけのナツだった日を一緒に旅したい。

愛してるよ。
誰よりも。

幸せにしてもらえ―――

愛してるよ。


END****




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by ichigo-ichigo205 | 2018-05-05 14:59 | ・蛍の想ひ人 | Comments(2)

朝凪×蛍 信之の想ひ

懸賞 2018年 05月 03日 懸賞


由布子さんと出会ったのは中学2年の時だった。
兄貴の彼女として紹介してもらった由布子さんは
クラスの女子なんかとは違って、いい匂いがした。

掃除の時、ほうきを持って「男子掃除しなさいよ!」と声を荒げるクラスの女子たちと
本当に同じ生き物なのかと疑いたくなるような女の子で。
年上なのに可愛いと思ったのが第一印象だ。

それでも少しでも一緒にいれば、兄貴を好きで好きでしょうがないって気持ちがダダ漏れで。
そんなところも、俺からすれば大人に見えた。

高校の制服を着てほほ笑む姿や
大学生になり、真夏に髪を持ち上げてうなじの汗をふく姿にドキドキした。

由布子さんはいつも兄貴だけを見つめていて
兄貴だけを好きだった。

兄貴が死んで・・・
由布子さんの心も死んだ。

去年まで兄貴と過ごしたクリスマスを由布子さんがひとりで過ごすにはあまりに酷で
俺はクリスマスディナーを予約する。
兄貴のいなくなった由布子さんの隣の席にこっそり座ろうとしていた。

俺のそんなこざかしい策を見透かしているのか、俺の誘いを笑って断る。
「信くん、私の事は気にしないで。
可愛い女の子と楽しんでいらっしゃいよ」

だからさ!
俺にとっての可愛い女の子は由布子さんなんだよ!

兄貴がいた時に、絶対に口から出せなかった言葉は今も出せない。

由布子さんにとって1番は兄貴で
兄貴しか愛してなくて
それは永遠に続くかのように思われる。

兄貴はずるいなぁ。
いつまでも由布子さんの心を握って離さないんだな。

俺はいつまで待てばいいんだろう。
俺はいつまで貴女を想っていればいいんだろう。
俺はいつまで・・・貴女を愛せばいいんだろう。

愛しても、愛しても愛しても・・・
報われない恋ならば。

いくら愛しても、貴女が振り向いてくれないのならば
いっそ諦めるのも・・・愛なのか―――

俺は最後の賭けに出る。

END****







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by ichigo-ichigo205 | 2018-05-03 07:00 | ・蛍の想ひ人 | Comments(0)

朝凪×蛍 ナツの想ひ

懸賞 2018年 05月 01日 懸賞


「好きな人、出来たよ」

そんな私の嘘を見破るように博之は聞いて来る。

「その男に決めた理由は?」

どんな理由を挙げたって私の中で博之に敵う男はいない。
どんな理由にしようかと一瞬迷った時
ふと、先日博之の弟の信くんに言われた言葉を思い出した。

27歳になった信くんは今年・・・・
博之の年を追い越した。

「・・・10年以上、私と一緒にいてくれるって約束したから」

信くんはそう言って、私を背中から抱きしめた。

「・・・・そうか」

きっと博之は全部全部、全部気がついてる。
その言葉を言ったのが信くんで
少し前から信くんに告白されてる事。

そして―――好きな人が出来たって言う、私の嘘も。

それでも10年以上一緒にいるなんて
今の私には何よりも欲しい言葉で
信くんはそれを知りながら、私を抱きしめた。
10年以上一緒にいて。
でも、その言葉は言葉にならなかった。

寂しさで一緒にいてもらったとしても
信くんを博之の様に愛する事は出来ないから。

博之は私が好きな人が出来たって言わないと
いつまでもこの世をさまようことになる。

成仏して、欲しい。

亡くなった直後は、どんな理由でもどんな姿でも
例え1年に1度でも一緒にいたかった。
そばに居てほしかった。

でも、もう十分だよ。
その心を開放して、あげたい。

「これで、やっと成仏できるよ」

博之は全てを知った上で
私の気持ちも知って
そして、私のために成仏すると言ってくれた。

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

引きとめてごめんなさい・・・

この涙が枯れることなんてあるんだろうか。

博之を過去にする事なんて出来るんだろうか。

それでも私は博之の心を私から解放する義務がある。

―――あんなに愛してくれたんだから。

愛してるよ。
愛してる。

なにがあっても愛してる。

あいしてるよ、ひろゆき・・・


END****





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by ichigo-ichigo205 | 2018-05-01 14:09 | ・蛍の想ひ人 | Comments(0)

往年のスター

懸賞 2018年 03月 20日 懸賞


久しぶりに経営管理にイイ男が入ってきた。
しかも3人も。

そのうちの一人は主任になるとすぐに結婚してしまって
女の子たちのターゲットからは外れたけど
イイ男には違いない。

残りの独身の二人はそれは女の子たちに人気で
「ツートップ」なんて呼ばれている。

職場は、確かに仕事をする場だけど
華やかな目の保養があってもいいじゃない。
私はそう思う。

「野口さんって素敵よね」
「山田さんだって」

若い子たちが休み時間やお茶の時間にそんな事を話すのを聞くと微笑ましくなる。

「吉村さん、野口さんや山田さんや楠さんが入社する前って誰が人気あったんですか?」

そう聞いて来る女の子たちの言葉に
私はふと意識を昔に飛ばした。

「常務と、経管の部長かしらね」

「あ~!あの二人ですか!」

納得!というように揃いも揃って首を縦に振った。

「どんなだったんですか?」
ワクワク!という表情を隠しもせずに聞くその顔を若いなぁと思いながら
私は25年前を思い出す。

「イイ男だったわよ。新田くんも加賀くんも」
「おお~!常務も部長も君付け!!」

「2人で花金に会社のエントランスからタクシーに乗って遊びに行く姿は有名だったわね」
「花金!」

「山下にある横浜ベイサイドがお気に入りだったみたいよ」
「ベイサイドですか!聞いたことあります!」
「そう?クラブじゃなくてディスコって呼ばれていた時代だったわね~・・・」
「ディスコ!!」

「新田くんは正統派ね。彼女以外にはなびかないで一途だったわね」
「今でもそうですよね!常務は奥さんを愛してるって感じ!」

「加賀くんは・・・」
「部長は?」
「・・・・」

「加賀くんは、モテてね。来るもの拒まずで色々な女の子と綺麗に上手に遊んでいたわね」
「へ~!部長、遊んでたんですねっ!」

「でも・・・」
「?」
「でも、本命の彼女が出来てから、ピタッとやめたわね」
「へ~!」
「遊んでいたのは、その彼女が振り向いてくれなかったから、だったらしいわ」
「え~・・・加賀部長そんな恋をしていたんですね!」

「男の色気があってね。どの女の子にも優しくて、イイ男だったわよ」
「へ~!」
「吉村さん、加賀部長の事好きだったんですか?」

「・・・・ちょっとね」
「おおおぉ~!」

「さ。仕事しましょ」

ちょっとね。

そんな話をした数日後の帰社時刻、得意先から帰ってきた加賀くんにエントランスで鉢合わせした。

「吉村ちゃんお疲れ。今帰りか」
「加賀くんもお疲れ様」

この前の話が頭に残っていたのか、昔の呼び方をした。
「その呼び方懐かしいな」
そう言いながら、変わらない笑顔で笑いかける。

「なんか、ここ数日、若い女の子に俺人気なんだけど。吉村ちゃん理由知ってる?」
ほんの少し困ったような顔でそう聞くけど。
そういえば私の話を聞いていた女の子たちが言いふらしていたっけ。

「さぁ?加賀くんはいつも人気者じゃない」

「ふぅん。まいいか。気を付けて帰れよ。お疲れさま」

変わらぬ魅力に変わらぬ罪なオトコ。

昔、ちょっとだけ好きだったオトコ―――


END****


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by ichigo-ichigo205 | 2018-03-20 12:33 | ・蛍の想ひ人 | Comments(2)

最大の魅力 最大の罪

懸賞 2018年 03月 19日 懸賞


社内で1番モテて1番女遊びが激しいのは経管の加賀さん。
同じ経管の新田さんもモテるけど、女の子の誘いには乗らないし反応もイマイチ。
真面目なんだよね。

加賀さんは話していても楽しいし、女の子を楽しませる事を知ってる。
女遊びが激しいと言っても別に彼女がいる訳じゃないし
加賀さんと遊んでいる子はみんな加賀さんの1番になりたくて
それでもなれない事を肌で知ってる。

加賀さんは女の子を贔屓しない。
容姿で贔屓をする男が多い中で、加賀さんは誰にでも同じように優しい。

私たちみたいな地味な事務員にも優しく接してくれる。
それが彼の最大の魅力で、最大の罪なんだと思う。

そんな加賀さんが近頃、女の子のお誘いをことごとく断りだした。
本命が出来たと噂だ。

「ねぇ。本命が出来たってほんと?」

そんな時、3階の給湯室にお茶っぱの補充に行った時に、誰もいない廊下で小さな声が聞こえてきた。

「ほんと」

顔は見えないけど、加賀さんの声は弾んでいて
嬉しそうに短くつぶやいた。

「この会社の子?」
「いや」
「そうなんだ。どんな子なの?」

「蛍が・・・」
「蛍?」

「そう。蛍が愛して愛して、愛してやまない女」
「・・・・?」
「やっと、俺だけのものになったんだ」

蛍?誰かの名前なのかな?

「加賀くん、本気なの?」
「本気じゃなかったら手に入らなかったよ」

「じゃぁ・・・もう誘わない方がいい?誘っても無駄?」
「楽しかったよ。ありがとう。キミが本命の男に出会える事を祈ってるよ」

「もう!ばか!私の本命は加賀さんだったのに!」
「ごめんな」

「その女とダメんなったら連絡してよね!」
「あっはっはっは。分かった」
「大好きだったんだからね!」
「ありがとな」

一緒にいる女の人は誰だろう・・・
パタパタと長い廊下のカーペットの上をヒールで走り去るのが聞こえた。

フー・・・

思わぬところに遭遇してしまった。

「で?」

急に頭上で聞こえた声にビックリする。

「キミは総務?立ち聞きはよくないな~」

苦笑いしながら私の肩をぽんと叩く。

「す、すみません」
「あ~・・・給湯室の補充か」
私の手の中のお茶っぱを見てつぶやいた。
「はい・・・」
「邪魔したのは俺か。ごめん」

「いえ」

「今のはナイショな」
「・・・はい」

私に向けたウインクがやけに色っぽくて。
その笑った顔が可愛かった。

年上の加賀さんを可愛いなんて変だけど。

加賀さんに・・・
本気の彼女が出来たとしても。
彼の魅力と罪は色褪せない―――


END****






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by ichigo-ichigo205 | 2018-03-19 14:46 | ・蛍の想ひ人 | Comments(0)